31話 模擬戦
ゼートとの模擬戦の約束を取り付けた後、クラスで簡単なガイダンスがあり、特に何事もなく解散となった。
「それで、模擬戦ってどうやるんだ?」
「なんだ経験ないのか?自由に打ち合って、相手を行動不能にしたら勝ちってのが多いが、お前が初心者ならもっと簡単なルールにしよう」
随分物分かりのいいやつだな。
と言うか相手を行動不能にするって危険すぎないだろうか。
「10mほど距離をとってその場から動かずお互いに撃ち合い、先に当たった方が負けということにしよう。攻撃の練度、相殺の練度が見られるから、ちょうどいいだろう」
そう言ってゼートは立つ位置を指差す。
「殺さない程度に調整するから、心配するな。もし怪我しても、すぐに医務室に連れて行ってやる」
「わかった、やろう」
ゼートが杖を構えたので、俺もいい感じのポーズをとる。
「開始の合図はどうするんだ?」
「シャルロット、頼んだ」
「わかったよ」
「よーい、始め」
俺もゼートもすぐには動かない。
「どうした、先に打ってきていいぞ」
「じゃあ、遠慮なく」
そしてとりあえず水精を10体呼び出し、水玉を連射してみる。
相手は火魔術師だと聞くし、連射速度が強みの精霊なら、ワンチャンこれで圧殺できるんじゃないか?
「様子見か?そんな弱い攻撃意味ないぜ『火の鳥』」
ゼートは火の鳥を作り、打ち出す。
そして火の鳥は水精の攻撃全てを消しとばし、そのままユニオの体を吹き飛ばした。
「ちょっ.....え.....?」
「「オカジマ!」」
ゼートの焦った声と、シャルロットとネイアの悲鳴が聞こえる。
シャルロットがユニオに駆け寄り、抱き締める。
「すぐ医務室にッ」
何を焦ってるんだろうか。
「今壊れたのは人形だから何も問題ないぞ」
「あ、そうだったね。壊れるのをみるのが初めてだったからびっくりしちゃった」
そう言って恥ずかしそうにシャルロットがユニオから離れる。
「血が噴き出してるじゃねぇか。どんな作りしてんだこの人形?」
ゼートがユニオの体の近くにしゃがみ込んで、しげしげと見ている。
確かに血のようなものがなぜか再現されているので、初見だと面食らうか。
腕吹っ飛んでるじゃん。
こんな壊れ方は俺も初めてみるので、流石にグロい。きも。
「これ、壊して大丈夫だったのか?貴重な人形なら流石に申し訳ないんだが」
「問題ない」
壊れたユニオを消し、改めて召喚し直す。
「なんだその格好」
「服は作れないんでな」
服が消し飛んだので、代わりに鎧を作って着せてある。
構造は知らないので、なんちゃって鎧だが。
「にしても、さっきのはどういうことだ?普通に相殺できると思ったんだが」
「いや、初めてのちゃんとした戦闘だったから、反応できなかった」
「そんなボケっとしててよく生きてこられたな......」
なんか、火の鳥が向かってくるのを見てつい固まってしまったんだよなぁ。
結構迫力があって普通にビビった。
本体じゃないんだからビビらず打ち合えばよかった。
日本で平和に慣れすぎている、というよりは、単純に俺の反射神経とかの問題だな。
元々球技とか苦手だったし。




