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幕間

とある山の中


「はぁはぁはぁ。何人やられた?」

倒せど倒せどいなくならない異神にだんだん蒼熊団のメンバーがやられ始めた。

異神はなぜか地面に倒れた相手を殺すなどせず、他の動いているメンバーに向かう。

しかし戦っている最中の異神は破壊の権化となり、容赦無く攻撃してくるので腕を取られたり、足をもがれたりするのはまだマシで、腹に穴を開けられたり首を飛ばされたりもする。


なのでまともに異神と戦えなくなった人はその場で倒れるようになっている。

それで殺されないように立ち回っているが、この防衛線を越えられると戦えない民間人とこの異神が遭遇してしまう。

そんなことになってしまえば何が起こるかわからない。それだけはなんとしても防ぎたいが、


「くそ!倒せど倒せど敵が減らん!このままでは突破されるぞ!」

どんなに喝を入れようが既に1時間ほどの戦闘で全員疲労困憊だ。

徐々に押され始め、これ以上下がれないラインまで来てしまった。


ドボルクはもう一人で3匹の異神を相手している。

「くそ!このままでは押し切られる。なんとか・・うぐ!」

異神が体にとりつき、腕を引き裂こうとした。

「うおおオオオ!!」

体にとりついた異神を剥がすためもう一度白虎解放を使おうと思った時だった。


「ヒヒーーン!」

あたり一帯に甲高い声が響き渡り、星々が輝いていた夜の空を黒雲が覆った。

そして雨が滝のように降り始め強烈な風が吹き荒れ、雷があちこちから落ち始めた。


「なんだ?なぜ突然雷が?」

突然の雷を疑問に思うが、そんなことより目の前の異神だと無理やり白虎解放を使ったその時だった。


「ヒヒーン!!」

甲高い声とともに雷が一斉に落ち始め、全てが異神に直撃した。そして雷に直撃した異神は一瞬で黒ずみになった。

「ヒヒーン!」

さらに鳴き止まぬ声に続くようにいつまでもいつまでも雷が落ち続ける。

その雷は全ての異神をうち焼き尽くす。それはもちろんドボルクの体にとりついていた異神も。


「ぐわ、俺に雷が!!・・って、あれ?なんともねぇ」

体にとりついていた異神は焼かれているのに、自身はなんともないようだ。

「むしろ力が湧いてきた!!白虎解放!!」


前までの解放とはまるで感覚が違う。

力の強化に加え、より強化された雷。 さらには自身が雷となりあたりを駆け巡ることもできるようになった。


「これでテメェらをぶっ殺す!」

雷と化したドボルクは一瞬であたりを駆け巡り異神たちを薙ぎ払って行った。



「ふぅ。なんとか倒し切ったものの、思ったより少なくないか?」

暴れる前にちらっと確認した異神の数と倒したと思う異神の数がかなりかけ離れている。

「他の誰かのお残しを倒していた気分だぜ」


その夜、非戦闘員の一人が空を駆ける金色に光り輝く生き物を見たらしい。

その生き物はいななきとともに落ちる雷は数多の異神を焼き払い、殲滅させた後にまた何処かへ、いななきながら行ってしまった。




とある海


そこにはたった一体の異神により壊滅した海賊の艦隊がいた。

船長がやられようと、最強の種族、竜人族がやられようとも、船長命令である「護衛対象を守れ」を守るため最後まで魔道砲を撃ち続けた全ての魔導船が煙をあげて機能停止となっていた。


「ちくしょう!もう撃てる球もない。あいつらは逃げ切ったか?」

大破した魔導船から甲板によじ登った船員の一人が魔道船の逃げていったはずの方向へ目を向けた。

そこにははるかに小さく見えるがまだ魔道船の姿が見えた。


逃げている魔道船に気づいたのか異神が猛スピードで向かって行った。

「まずい。あの距離だとすぐに追いつかれる。・・・まずい!やめろぉぉぉぉぉぉ!」


もうちょっとで魔道船に異神が追いついてしまう、と思った瞬間

「クォォォォォォォ」

甲高く美しい声があたりに響き渡り、異神に水の塊がぶつかった。

「何が起きたんだ?」

船員は突然の出来事に困惑してしまった。それもそのはず。遥か遠くにいた異神を飲み込んだ水の塊はこちらから見てもとんでもなく大きいからだ。海面から空まで全てを水で覆ってしまっている。


「誰が何をしたんだ?って水に囲まれた?」

地平線のはるか彼方に見える海面と空の境界線。その境界線が徐々に上昇していき、ついには水で覆われたドームができたしまった。そのドームによって異神と逃げている魔道船が隔離された。

「ふぅ。誰のおかげか分からないがこれで逃げ切れるだろう」


一安心している船員はまだ気づいていない。自分がなんとかしがみついている船の下の海面が黒く陰で染まってきていることに。


大破した魔道船を覆う程度の黒い影なら船員はすぐ気づくだろう。

実際は魔道船どころか遥か遠くにいる異神ごと覆う広大なドームの中全ての海面が徐々に黒い影で覆われ始めている。

船員がその黒い影に気付いた時にははっきりと青い海が黒く見えるようになってからだ。


「クォォォォォォォ」

再び鳴き声が聞こえると、今度は自分たちの体が青い光に包まれた。

「傷が、治っていく!」

ちょっとしたかすり傷から折れてしまった腕、さらには使い切った魔素まで回復されていくことをはっきりと感じた。


異神に何度も吹き飛ばされ魔道船に沈んでいた船長カーミラもその光に包まれていた。

「ん・・んん。  はっ!他の奴らが!!」


カーミラは勢いよく飛び出した。

周りを見渡すと魔道船は全て大破しているが、船員は全員青い光に包まれて怪我などを治療されていた。そして大破している船も徐々に直り始めている。

「あれは・・水か?なんてこった」

彼女も広大な水のドームに驚いたが水のドーム、竜人族の自分たちや壊れた魔道船までも癒すことのできる青い光のベール、これらに心当たりがある。


「水龍様のお力なのか?」

水龍は竜人族の先祖とも言われている。

遥か昔、水龍が自分の力を使って人間を作ろうとしたのが始まりと言われている。竜人族が陸や空だけでなく水中でも生活できるのはこのためだ。

カーミラは自身を癒してくれる青い光に近親間を感じていた。


「クォォォォォォォ!!!」


再び響き渡る鳴き声に他の船員は何も感じなかったが、カーミラだけはその意味が少しわかった気がする。


「全員魔道船に乗って避難しろ!」

突然の避難命令に困惑しつつも、すでに直った魔道船に乗り込み避難を始めた。避難といっても水のドームができているので端によるだけだが。


「船長!一応避難しましたけど大丈夫なんですか?!」

カーミラの近くにいた船員がたずねてきた。

「大丈夫だ!端に寄れって声が聞こえた、  気がする」

「「頼りねぇ〜」」

「うるさい!そう聞こえたものは、聞こえt」


ドゴーーーーン


カーミラが何かを言おうとした瞬間巨大な水飛沫が上がった。

異神どころか魔道船5隻くらいならまとめて飲み込めそうな大きさだ。


巨大な水柱は高く上がりドームの天井に勢いよく激突した。

ドバッという轟音とともに水が四散した。

それだけでは飽き足らず4つの竜巻が荒れ狂い異神を沈めようとしている。


「恐ろしいっすね」

「あぁ。あたしらのいるところだけ全く竜巻どころか波一つ起きていない」

しまいにはドームの中央に超巨大な渦潮が発生してとんでもない勢いで周りのものを吸い込み始めた。


荒れ狂う竜巻で海に落とされ、超巨大な渦潮に飲み込まれた異神は渦潮の中心地帯で沈んでいった。

そこで明らかにドームより大きいサイズの口のような影に異神が飲み込まれるのを見た人はいなかった。











幕間終わりでーす。


神獣全員にスポットライトを当ててみただけです

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