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デザスターデザート

「どわぁぁぁぁぁぁ」


俺は砂漠の中を走っていた。


ここはデザスターデザート。

入ったが最後生きては帰れないと言われている場所だ。


俺は今キングワームに追われていた。

キングワームとは体長100メートルを越すワームのことだ。



亡霊船から逃げていたら神獣の作った迷宮に落ちて、そこから放り出された直後キングワームが俺めがけてその巨大な口を広げながら地面から飛び出してきた。

それを感知し避けようと一本踏み出したところで、また別の個体が飛び出そうとしていることに気づいてしまった。


「ここら一帯キングワームの巣じゃんか!どこに飛ばしてくれてんだ!?」

巣の近くのせいなのか、キングワームの数が収まる気配がない。


一歩踏み出すごとにキングワームが一匹出てくるため、俺はずっと走り続けるハメになった。

走るの楽しい!!




「どわぁぁぁぁぁ」


後ろから常に「ドコン!」と音が聞こえる。勢いよく土から出てくるのでそう音が出るのだ。



「そういえば今何匹くらい飛び上がってきたんだろうか?」

ふと気になって走りながら後ろを振り返ってみた。


「おぉ〜。なんかすごいな」

そこには二十匹ほどの巨大なキングワームが真っ直ぐに列を為して、飛び出していた。

面白いのが、飛び出した後のキングワームはそのまま落ちるように真っ直ぐ地面に戻るわけではなく、決まって俺が向いていた左側に口を突き刺して潜ろうとしていた。

そのせいで、キングワームのトンネルができていた。


ここをくぐってみたい!

そう思ってくぐってみたが、特に何もなかった。

キングワームが飛び出してきてトンネルをぶち抜く、なんてことも起きずに普通に通過できた。


「ふむ。別になんてことないな。なんでくぐったんだろうか?」

そう立ち止まって考えていた。


「ん?」

不意に周りが明るくなった。俺はまだワームのトンネルにいたはずと思っていたが、どうやらトンネルを作っていたワームが潜り終わったらしい。それと同時に鳴り響く地面。

またワームが飛び出してくる合図だ。


ドカーーーン

「どわぁぁぁぁぁ」

また走り出した。



ワームは必ず俺の進行方向の左側に潜ろうとする。

それを利用して何か面白いことでもできないかと考えていた。

まずはワームの三つ編みトンネル。


まず一匹ワームを飛び上がらせると縮地で左前に一瞬で移動する。そしてくるっと反転して走る。そうすると反転した方向の左、つまりさっきまでいた右側にワームが潜るはず。そして縮地でもといたところよりも前に移動して走ればうまくいく!!


そう思っていたが、失敗した。

ワームは左側に潜るがやや左前なのだ。つまり反転して交差させようとしても、結局前に出てしまうので普通に一直線に走ってできたトンネルと変わらないということが実践してみてわかった。



「俺がバカってことだけわかったじゃん」


ちょと悲しくなったので、もうそのまま真っ直ぐ走ることにした。





それからそこそこ時間が経った。

後ろを振り返るとそこにはいつまでもワームのトンネルができていて、いつまで追いかけてくるのかと飽きかけていた。

ワーム自体が複雑なことを考えることが出来ないので、群れで協力するとか一切せずに、地面が揺れたら食べにいこうと飛び出す。これしかできない。キングワームにもなると口だけで5メートル近くにもなるので、その大きさだけで脅威となっている。



つまりワームがいる間はずっと追いかけられている、ということを理解してうんざりした瞬間。


ボコッと目の前の土が膨れ上がり、ワームがこちらに口を向けて飛びかかってきた。

キングワームと比べるまでもなく明らかに小さい。口は50センチメートルほどしかない。

しかし、俺はめっちゃ驚いた。このワームは俺がこの位置にくると予想して飛び出したことになるからだ。


「ワームが変な動きするんじゃねぇ!!」


びっくりしすぎて蹴ってしまった。そのせいでワームの頭が消し飛んだんだが、もっとめんどくさいことになってしまった。


俺はワームを蹴るときに立ち止まってしまった。キングワームが飛び出してくるこのデザスターデザートで。


あ〜やべ。ッと思いとっさに横に移動したが無理な体勢で無理矢理動いたため次にスムーズに走り出せない。

足をつけた瞬間にはもう次の場所に移動しないといけないのに、スムーズに移動ができない。

このせいでギリギリを変な体勢で避け続ける地獄の時間が始まった。


ぶっちゃけ食われても中から脱走できるけど、そんなの嫌で。汚いもん。


何回避けたかわからいくらい時間が経って時だった。遠くから何か飛んでくるのがわかった。


「あれ、土竜じゃね?」

一対の巨大な羽。長い尻尾。あれは竜の特徴だ。

空の民のところで見た土竜はもっとがっしりしていて、デカかったが、こっちはスマートだ。


「クオォォォォォォォォォ」

綺麗とすら思える甲高い土竜の鳴き声を聞いたキングワーム達が一斉に砂に潜っていった。


なんでだ?と思う暇すらなく唐突に巨大な砂嵐に襲われた。


「これは土竜の仕業か?」

普通の砂嵐は周囲のものを吹き飛ばす程度だが、この砂嵐は地面である砂漠の砂すら吸い込み吹き飛ばしている。


あと純粋にサイズがおかしい。

100メートル級のキングワームが数十匹砂嵐の中に吸い込まれている。

そしてその砂嵐で刻まれ、バラバラにされていた。


空間固定(エアロック)


俺は空間魔法で自分のいる空間を固定した。そうでもしないと砂嵐に吸い込まれる。


天まで届いていた砂嵐が収まったときには、あたり一面キングワームだったものが散らばっていた。

そして砂漠に住んでいる生き物がいつの間にか現れて土竜と共にそれを食べていた。


「なかなかにグロいな。

 そういえばどっかの学者が砂漠の生態を知りたがっていたな。」


その学者曰く、ワームは簡単に数を増やすことができる。更にかなりの量を食べる。それに加えて普段は地面の中にいるから食われることが少ないと。


それなのに砂漠でワームで溢れかえって砂漠の外に出てこないのは、何かしらの理由があるはずって言っていた。



「答えは土竜らしいね」


まさか砂ごと掘り返してキングワームを食うとは。


さすがは砂漠の頂点だなぁ。

キングワームを食べていた土竜をみてそう思った。


「あと乗ってみたい!!」

ワームのトンネル矢印で書くとこんな感じ



予想       結果    一直線

        

↘︎        ↘︎     ↘︎

 ↙︎       ↖︎     ↘︎

↘︎        ↘︎     ↘︎

 ↙︎       ↖︎     ↘︎

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