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81: かの船は烈火の雷竜の靄に伏せる

“Џ※”


?


以津真天、何か言った?


≪いや、なにも言ってない、…、大丈夫?≫


大丈夫じゃない、なにか、分からないものを聞いた?いや、見た?、気がする。


≪なんだろう、私は何も分からなかったよ?≫


そっか。


なんとなく気になって空を見上げる。


心なしか、亀裂が煌々と輝いているように見える。


異形に変化はない。


変わらず体の芯にまで響くような重い攻撃が襲ってくる。


精神的な疲労のせいか、悪魔の体にあり得ないはずの身体的な摩耗、筋肉痛、あるいは、筋肉疲労、を感じる。

筋肉がジンジン悲鳴をあげている気がする。


≪仄葉、亀裂が出てきてから、魂力が継続的に消耗するようになっちゃった、、、今はまだ余裕あるけど、危うくなったらまた言うね≫


分かった!


ということであれば、早いとこ蹴りを付けないといけないしかし、異形の殲滅は現時点では不可能。

無限に異形が湧く、見えない壁があるから。

もっと根本的な部分を解決しないと無理。

研究室の皆さんが賢明に現況を分析してくれていると信じて、海璃和と一緒に戦線を下げないことが今は大事。


理解できないことに、異形は所狭しと空間を埋め尽くして蹂躙してくるのではなく、ある種正々堂々と、正面衝突をしてくる。

それは、私たちだけでなく、眼下、地上で戦っている他の皆も一緒。

たぶん、戦線は下がっていない。


戦うことを強いている、そんな布陣。


本当に理解できない。

異形サイドが何をしたいのか、なぜ亀裂が出てきたのか。

一見、亀裂は異形サイドの何かに見えるけど、確かな話ではない。

亀裂は白、異形はモヤが紫で体色も暗い色のヤツが多い。

関連してないことはないんだろうけど、印象として同じものには見えない。


必死に異形を消滅させながら考える。


海璃和からは疲れを感じさせる荒い息遣いが聞こえる。

私と以津真天の関係と同じように、シュニーさんと呼ばれるよく分からない存在と会話しながら頑張っているが、傍目に映る海璃和の表情には明らかな苦悶が浮かんでいる。


海璃和の能力の全容はもはや今の私の知識じゃ計りきれない。

海璃和だけじゃなく、咲も楓さんも私が知っていた以上の力を伴って、この戦場に居る。

でも、それも限界なんじゃないか。

海璃和も咲も眼下のみんなも、私と1時間前まで戦った上で今、相当消耗しているはず。


だから、このままじゃ、仮に異形を突破したとて、欠けた平穏になる、そんな気がする。

ただのケガとかじゃ済まない。

私は回復魔法がとても得意だけど、回復すらさせてもらえない、そんな錯覚。

今の異形達の圧からは、単純じゃないモノを感じる。


そんなことにならないとしても、早く、なんとかして解決したい。


倒しても、倒しても、倒しきれない。



雪崩に飲まれるというより、じわりじわりと重い物に潰されようとしている、そんな感覚。


普通のアプローチじゃ絶対に無理。

本能か裏人格かは分からないが、私にそう告げる。


悪魔の在り方を変えたときみたいに、根底からひっくり返せれば、、、



・・・



あの時、私、どうやったんだっけ。



魔法、使ったはず。

長い時間掛けて。

どんな魔法?



・・・



そんなはっきり名前を付けられるような魔法ではなかった気がする。


ふんわり、やりたいことを願うような。


長い時間がかかったのは、どうすれば悪魔の枷を外せるか分からなかったから。


そこから、いろいろイメージしながらやってたらいつの間にか。


多分、以津真天達から初めて身体の権利を取り戻したあたりから、私は魔法行使の意識を変えてた。

曖昧でも行使できるんだって気づいたから。


だから、はっきり何をやったから、悪魔の枷が外せたのか分からない。

長い時間を掛けて考えていたのも含めて成功していたのだとすれば、今それを応用することは無理。


でも、曖昧でいい、ただそれだけなら。

異形の存在がなかったことにしたい。

そうすれば。


全て解決する。


私も皆も。


平和になる。


無心で。

ただそれだけを。


“異形、消滅”


思い浮かべる。


跡形も消滅して、綺麗になって、穏やかになる未来を。


今使えるだけのオド残量に見合うだけの魔素が集まる感覚がある。


「ほ、仄葉?!どんな魔法を使うつもりなの?!」


海漓和の焦る声が聞こえる。


でも反応しない。


集中も。


ただぼんやりと、”異形、消滅”とだけ、思い浮かべる。


魔法が発動、


「グフッ」


···


し、しかい、が、あかい、


「仄葉?!仄葉っ!しっかりして!!」


海漓和の声。


自分に回復魔法を···


あ、ダメだ、今はもうオドが負に落ちきってる。

今使っちゃダメだ、でも、


「み、みりあ、いま、どう、なってる···?」

「え?!···え···え?」



いつまで、聞こえる?


≪                ≫



「仄葉、何したの?異形が変形、した?してる?よ?」


いい変化あり?!

やった!


今の成功の達成感でオド少しでも癒えてないかな。

視界を綺麗にするくらいなら。


血が流れたような感じはない。

神経やっちゃったか。


“クールダウン”

“神経鈍化”


・・・


で、できた、鈍化しすぎて上手く体動かないけど、、、、


・・・


ぼやっと視界が晴れる。


異形から襲われる気配はなさそう、、、!?

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




今のなに!?

視界が真っ暗に、、、


■       ■

  ■   ■

    ■

  ■   ■

■       ■



また、なにか見えたような聞こえたような、、、


か、身体がなんか動く気がする、でも、


なんか、


いやだ。


動きたく、ない。


自分に機械が埋め込まれたような感覚。


何かに包まれているような感覚。


何かがいた。


いや、感じた。


そう思った。


いや、違うかもしれない。


そうだと分かったんだと思う。


上手く言葉にはできないけど。


でも


何がいたか。


なにも説明できない。


ぼやけて見える亀裂には多分変化はない。

あれが、異形関連のモノかは分からない。

でも、違う。

なんでかそう思う。


これは、異形側が何かしてきたんだ。


確信は持てない。

でも、そうじゃないと説明できない。


何が居て何をされたかも説明できない。

なんで、異形が沈静化したの。

私の魔法だけではない。

なんなら、私の魔法は失敗している可能性が高い。


状況はよく分からない。

私を支えている海璃和の顔も少しぼやけて見えるけど、不安そうなことだけは肌から伝わる。


なにが起きてるの・・・

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