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戻って来た福永は自分を落ち着かせている感じに見えた。
だが、時折ブツブツ言い「おかしいな」と俯いている。
ソファーセットを片付け、テレアポ社員にお茶を出させ福永を促し、説明を聞く。
「まず…、俺らが着いて…、アパートの周りに誰も居ないのを確認して…、ピンポンを押しました…。」
何だか学生が授業で音読させられている様な抑揚の無い話し方だ。
自分自身に何かを言い聞かせているのかも知れない。
秋山が逮捕されショックなんだろう。
だが、詳細を掴まないといけないのでこれでは困る。
それにいくら秋山が逮捕されたとしても、取り立てに関わる事だ。せいぜいが小松に対しての暴行で傷害罪。脅しで脅迫罪だろう。どちらにしろ微罪、不起訴案件だ。
それを伝える。
「おい、福永。秋山が逮捕されてショックなのは分かるが、もう少し要点から簡潔に話してくれないか?取り立ての際の逮捕なんて、小松に対しての暴行で傷害罪。脅しで脅迫罪。そんなもんだろう?どちらにしろ微罪で7日や10日で不起訴になる案件だ。
だが、早目に動かないと刑事に知恵を付けられた小松が有る事無い事話をでかくしたり、示談に応じなくなったりとこじれてしまう。懲役前科の有る秋山にとっては不利になるのは分かるだろう?一発実刑が無いとは言えないからな。」
懲役前科が有ると、それだけで初犯の人間に比べ情状は格別に悪くなる。通常、逮捕されてから20日勾留で略式起訴、又は不起訴。どちらにしろ身柄は釈放となるで有ろう事件でも、身柄を拘束され続け不起訴にならず懲役10ヵ月等、一発実刑になる可能性も有る。
だからこそ、すぐにでも弁護士を動かし状況を好転させなければならない。今ならまだ間に合う。
いや、殺人で引っ張られました。
小さく福永が呟いた。
殺人?
何の話だ!?
秋山が小松を殺したのか?
何故?
福永も共犯なのか?
花火大会の終盤の花火の様に、考えが脳内にバチバチチカチカと明滅した。
「社長。ピンポン押したら出てこなかったので、秋山と裏に回ったんです。そうしたら窓が壊されていて…入ると小松の死体が。
隣に凶器だと思いますが、小さい棍棒みたいなのが落ちていて、それを掴んで見ていたら、警察が窓とドアから乗り込んで来まして、秋山がその棍棒を持っていたので引っ張られて行きました。」
大体の話は分かった。
小松は死んでいた。
だが、これからもっと詳細を聞かないとならない。不鮮明な点が多すぎる。
どうして福永の身柄は拘束されなかったのか。
「社長。この話しは本部からきたんですよね?俺はその場で解放されて、当たり前の様に秋山だけが連れていかれましたが何なんですか?普通、殺人の現場に居たら俺も引っ張られてるでしょう?どういう事か真島さんに聞いてもらえませんか?これは本当にただの取り立ての話しなんですか?」
福永と同じ疑念を抱き、真島の番号を呼び出し電話をかけた。
コール音。コール音。