表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺と呼ばれた魔術師が、最強のロリっ娘魔術師を育てることになりました。  作者: 南郷 兼史


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/60

第五十二話 調合1

 自分の部屋に戻り、机の中から本のようになっている黒い装丁のメモ帳を取り出した。

 ……魔術を教える前に聞かなくてはいけないことがたくさんある。

 ――メルクリオ、お前は一体何がしたいんだ?


「ディマー! ディマは、メルクリオみたいにぶら下がれる?」


 ぶら下がれるか否かで聞いたら是であろう。失敗しない限り死んでしまうが。

 だが、アンヴィが思っているのは「首吊ったまま人間には不可能な動きができるか」という意味だろう。

 ずっと死にたいから吊って見せてもいいんだが、ちょうどタイミングよくメルクリオが現れてロープを断ち切ってしまうだろう。

 しばらく考えた後、曖昧な表現で返した。


「できなくはないけど、やりたくはないな」

「えー、メルクリオ、すごかったよ? わたしもやりたーい!」

「アンヴィは絶対あんなことやっちゃダメだからね? あれは訓練が必要で――」


 ……自分で言っていても疑問しかない。

 どんな訓練だよ……。そして、それを訓練したところでどんな時に役立つんだか。

 これは仮説だが、メルクリオは首を吊っていたわけじゃない。魔法で若干自分を浮かせてロープと接地させてなかったんだろう。それでも謎すぎるが。


「メルクリオは吊ってるときに何か言ってた?」

「うーん、『面白いものが見れるよ』っていってた! あとね、あしたおんなじ光景がひろばでみれるって!」


 ……見せしめ処刑の事か? 子どもにとんでもないことを教えるなよ……(実際恥辱を見られてしまったけど)。

 

「そしたらね、さっきのハチさんがとんできてびっくりしてたよ。メルクリオがバーンってけって、まほうじんにしばられちゃったんだ」

「あー……そうなのか」


 うん、ビーネの言っていたことは合っているな。可哀想に。

 

「それとね、よくわかんないこといってたの」

「……例えば?」

「きいたことないことばでね、まどにむかってしゃべってた」


 それって傍から聞くと痴呆としか思えないんだが。

 何か魔術でもかけていたのかな。あれはヘブライ語だから分からなくて当然だ。

 

「メルクリオってたまにぼーっとしてるよね」

「あぁ、悩み多き男だからな」

「なやんでるの?」

「あんなことするくらいだから悩んでいるだろう。僕より面倒な奴だからな」


 昔は怒りだすと憎悪のまま動く奴だったからな。どっちが保護者か判然としないよ。

 基本ここにいる男性らとバチバチに殺り合ってたから……。実際ジャーダは一、二回殺されかけてるし、統率者にまで刃向いてたことがあったりしたし。その割にはちょっかいかけてるけどな……。

 最近は諦めてるのか血族同士で一切争いはしないけど。

 

「……まぁ、そんなことはいいや。アンヴィ、魔術を教えてあげよう」

「ほんと! うれしい!」

「必要なものを取りに行くものがあるから、ジャーダの部屋に行こうか」

「うん!」



 ――魔力がなくてもできる魔術の基礎中の基礎、ハーブについて教える。

 僕も全てを知っているわけではないが、一般的に使われているものだけは教えることができる。

 ハーブは海を渡った先の国にしかないものもある。輸入に関してはオーロやプラーミャが率先して取り入れ、その種を絶やさないよう魔法で温度管理をして育てている。

 どうしても早急に欲しい時は無理矢理成長させるが、効能が弱くなるので推奨されていない。

 

「ジャーダ、入るぞ」


 特にノックもせずに堂々と入る。

 ジャーダの部屋は調合室と兼ねているので二部屋分ある。

 中に入ると部屋中様々な薬草が吊るされて干してあり、草原の中にいるような感じである。

 こんなところにいてよく酔わないよな……。僕は10分も居れないよ。

 今日は物見の番じゃないはずだから、ここで調合しているはずだ。


 

「んー? ディマ、どうしたの?」

「ルリジサとレモンはあるか?」

「レモンはあるけど……ルリジサはちょうど使い切っちゃったなぁ」


 ジャーダは申し訳なさそうに乳鉢を見せると、青紫色の花がちりぢりの状態で他の薬草と混ぜ合わされていた。

 

「あと10分くらい早く言ってくれればなー。薬草園にあるからそこから取ってきて。……って、何に使うの?」

「魔術的な能力を強めるためだな」

「ベイリーフじゃダメなの? マジカルオイルで良ければテンプルとかあるけど――」

「ハーブティを作る予定だったんだが……」

「……なるほどね? 神秘を見せようってことか」


「にゃははー、やるなー」とにやけながら右頬をツンツンとつついてくる。

 この二つを組み合わせると面白いことが起きるのだ。何が起きるかは作ってからのお楽しみだが。


「アンヴィちゃん、裏庭に薬草園があるから行ってみようか!」

「ジャーダもくるの? やったー!」

「えぇ……うるさくなるだけじゃん」

「僕の方が詳しいからいいじゃん、ねぇ?」


 肩を抱き寄せ、猫のように悪い顔をして僕を諭す。

 全く、悪い奴だなぁ……。


「んじゃ、アンヴィちゃんには特別に、風の如く連れてってあげよう!」


 ジャーダは軽々とアンヴィを抱き寄せ、何のためらいもなく窓から飛び降りた。

 正確には飛び降りた後、垂直に壁を走っている。人知を超えているよ……。

 あとは勢いを殺しながら着地するなりしているのだろう。


「あっディマー! 窓閉めておいて―!」


 落下しながら言う言葉ではないと思うが、何か取られても問題なので一応閉めておいた。

 ……僕も後を追うとするか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ