おまけ・宰相様の事情
主人公視点では出ないのでさらさらっと裏事情。
このひとどこいったーがあれば感想にて聞いてくださいませ。
極甘物語にお付き合いおつかれさまでしたん!
宰相様の事情。
「お前はどこまで暗躍していたんだ…っ」
「大体にして貴方のせいですから暗躍とは人聞きが悪いですよ?」
「知るか! お前あの女の失踪にまで関わってたろ!?」
「そりゃあ、そうですね。王女が失踪した挙句手籠めにでもされようものなら貴方が隣国ごと滅ぼしそうでしたから裏で手を回しました」
「は? なんで姉姫の話? あっちの失踪に関してはそんな……あ? まさか?」
「勿論姉姫の方も手配しましたが?」
「おおおおまああああえええええ!?」
俺がどんだけ苦労したと思ってる!? と叫び地団太を踏んで悔しがる国王に宰相は平然と答える。
「そもそもの始まりはリーレンの結婚だ」
「ああ? それは公爵が密かに姉姫を嫁がせようとかろくでもないことしようとするから、逃げ道ふさぐために手配しただけだろ?」
「リーレンは私の部下と恋仲だったんだよ。密かに研究なども手伝ってもらおうと前々から目をつけていたというのにおまえときたら」
どうみても余計な事したから困ったんだと宰相は吐き捨てた。
最初の言葉に国王ががっくりする。
「そもそも辺境は妹姫に嫁いでもらおうと思ってたんだ私は」
「ああ? アイツがあんなところ嫁ぐわけないだろ?」
「実際嫁いだだろう? しかも結構幸せそうだった」
お前ホント見る目ないよな。
ばさっと国王をこき下ろす宰相に、さらに国王はがっくりした。
「私としては内密に妹姫に打診、姉姫との入れ替わりで結婚を受け入れてもらい、姉姫とお前の婚姻をまとめる、それで丸く収まると思っていた」
「……」
「横やり入れるからこんなことになるんだよ」
結局リーレンを嫁がせるわけにもいかず、さすがに子爵令嬢との入れ替わりはどうかと悩んでいた処、部下から連絡があった。
曰く、向こうから言いだしてきたと。
「あ? 何だと。入れ替わりはアイツからの打診なのかよ!?」
「そうだよ。だからこれ幸いと変わってもらった」
「お前、気づかなかったとか云々言ってなかったかあの時……」
「最初から知ってて見逃しましたとか言ったら私の品位を疑われるだろ?」
「……」
国王は宰相に口では勝てないと思った。
おとなしく口をつぐんだ。
「そうこうしているうちにな、もう一つ問題が勃発してこっちの方が私は頭を抱えたぞ?
「なんだよ」
「『陛下は妹と結婚するべきです、私が辺境に行きます』と姉姫にまで入れ替わりを言われたんだ」
「……」
「お前何やってたんだ」
「……」
国王陛下は落ち込みすぎてめり込んだ。
「幸い姉姫の方は身分を気にしているだけでお前を嫌いなわけではないようだったし、ここはもうお互い離れて見て見直せと荒療治を敢行させてもらった」
「それでリーレンと3人で隣国へ行かせたっていうのかよ!!!」
「うちの部下優秀だし。ラブラブカップルの横だったら男いても安全だし、全員魔法使えるし。ほーら、安心安心」
「安心じゃねええええ! 道理でどっちも見つからないはずだよ3人旅とか!! お前が手配してたら余計見つからんわ!」
「おほめに頂き光栄です」
きりっとした宰相に、国王は嘆いた。
結局妹姫の行く末を見届けた後帰って来るように打診されたリーレン達は、姉姫を慮ってなかなか帰ってこなかった。
国王陛下はしびれを切らし隣国へ探しに行き、そこで姉姫とようやく出会えてまとまった、となる。
そこに宰相の影があったのかは彼は語らない。
笑うだけである。
おしまい。