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2,小悪魔の証明



 覆いかぶさるようにあたしの胸に顎を乗せている可愛らしい子。

 突然の出来事に目をぱちくりするしかないあたしは何も言うことができない。

 そんなあたしを不思議に思ったのか、可愛らしい顔をちょっと傾けて不思議な顔をしている小悪魔のれもんと名乗った子。



「お姉さん。自己紹介は大切だと思うの。もう一度言うよ?

 ボクは小悪魔のれもん。よろしくなの」


「ぁ、えっと……あたしは、しあき。相良詩秋です。

 よ、よろしく?」


「うん! よろしくなの!」



 困惑しながらも諭されるような言い方に思わず自己紹介をしてしまう。

 そんなあたしに満足したのか、あたしの胸に乗せられた顎を顔に変えてぎゅうぎゅうと押し付けてくる。

 そ、そんなに押し付けられるとくすぐったい……。



「お姉さんいい匂いなの。おっぱいも柔らかくて大きいの。ボク大好きなの」


「あ、や……んっ……ちょ、ちょっと離れて!」



 顔を埋めるだけじゃなくて、今度は手であたしの胸を揉み始める小悪魔。

 学校にいけば友達に毎日挨拶代わりにパイタッチされるほど大きく育ってしまった胸を、優しく……でも緩急つけて嬲るように揉んで来るので慌てて引き離した。



「あん、なの。うー……もうちょっと揉ませてほしいの」



 胸を隠すようにして少し後退ると、物欲しそうな円らな瞳で人差し指の先をちょっとだけ咥えて上目遣いに見つめてくる。

 何この可愛い生き物! くぅ! もうちょっと揉ませてもいいかもしれない……って、そんなわけないでしょー!



「あ、あのねぇ……いきなり出てきて人の胸揉むとか! もっと常識考えなさい!」



 なんとか脳内の悪魔と天使の戦いは天使が勝利し、言い返すことに成功するが物欲しそうな顔の子は変わらない円らな瞳で上目遣いアタックを続けている。


 だめだ! この子の目は危険だ! 危険物だ! 取り扱い証がないあたしには無理すぎる!

 混乱した思考が暴走し始めるが、なんとか意識を留めようと奮闘する。



「と、とにかく! あなたは一体なんであたしのところに来たのよ!」


「ん~? だってお姉さんがボクを召還した(呼んだ)んだよ?」


「あたしは呼んだ覚えなんてないし! そのビーズだって偶然そうなったんだよ!」


「でも~ボク、もうこうして顕現しちゃったし、契約は解除できないの」



 また人差し指の先をちょっとだけ咥えて、上目遣いにそんなことを言ってくるれもん。

 なんなのこの子の破壊力は! 鼻の毛細血管が張り裂けそうよ!


 鼻の頭を抑えていると、破壊力抜群の可愛い子はテーブルの上にある完成間近な大作を見つけて目を大きく見開いている。



「お姉さん! お姉さん! 何これ! 何これ!

 とっても綺麗なの! すごいの! 綺麗なの!」



 こちらと未完成のブレスレットに視線を何度も往復させて、はしゃいでいるれもんになんだか毒気が抜かれてしまう。

 いきなり出てきて、胸揉まれて何がなんだかわからないけれど、この子は悪い子じゃないんじゃないだろうか。そんなことを思ってしまうには十分な無邪気なはしゃぎようだ。

 未完成とはいえ、時間をかけて頑張って作ってきた大作を褒められるのは悪い気はしない。いやむしろ嬉しい。

 だからだろうか……突然現れたこの子の素性とか帰る家はあるのかとか、そんな考えは吹き飛んでしまった。



「でしょでしょ! まだ未完成だけど、3日もかけて作った大作なんだよー!」


「すごいの! 何色も色んな色がいっぱいなの! 間に挟まってるのもすごい綺麗なの!

 これは宝石なの? でも宝石にしては浸透力が足りない気がするの」


「浸透力……? これはとんぼ玉っていって宝石の代わりにつけているものだよ。

 宝石なんて高くて買えないから代わりにしてるの。でも綺麗でしょ?」


「うんうんなの! すっごく綺麗なの! こんなすごいの作れるなんてお姉さんはすごいの! 尊敬なの!」


「えへへ~そんなに言われちゃうと嬉しいなぁ~もっと見る? 違うのもいっぱいあるよ!」


「見るの! いっぱい見たいの!」



 大はしゃぎするれもんにあたしも気をよくして、たくさんの自作のビーズアクセサリーを見せ始める。

 初期の作品達から凝った物までたくさんのビーズアクセサリーに目を輝かせ、可愛らしい顔が相乗効果であたしの鼻の毛細血管を爆裂させそうな程の凶悪な代物になる。


 そんな素晴らしい顔を見ながら、自慢の子供(アクセサリー)たちを1つ1つ説明していく。


 あたしの説明をキラキラした瞳のまま、熱心に聞き入るれもん。

 20数個あるアクセサリー達を説明し終わると、れもんの顔は興奮ですごいことになっていた。

 そんな表情が微笑ましくて、あたしの毛細血管は炸裂寸前だ。



「これとこれなら、浸透率が低くても十分魔力を通せるの! お姉さんはすごい魔道具師なの!」


「……ん? 魔道具師?」


「ボクは小悪魔なの。浸透率が高い物や、低くてもボクが大丈夫だと思う物に魔力を通すことができるの!」



 えっへんと胸を張るれもんだけど、胸はぺったんこ。でもその仕草は可愛いを通り越してお持ち帰りしたくなる。



「えいなの!」



 手に取っていたアクセサリーがれもんの一言と共に淡く光り、すぐにそれも収まる。



「え、えぇぇ……。な、何をしたの?」


「魔力を通したの。はい、これ着けてみてなの」



 はい、と両手で可愛らしく渡してくるあたしの作ったシンプルなブレスレット。

 渡されるままに受け取り、手首に着けてみる。

 すると、ブレスレットから何か流れ込んでくる。

 流れ込んでくる何かは暖かく、なんだか暑くすらなってくるようだ。



「暖かい……っていうか暑いくらい?」


「ボクの魔力は特別だからなの!」



 えっへん、とまたない胸を張る可愛らしいれもんだが、あたしの方はどんどん暑くなってきて汗までかき始めた。

 手で扇いでみるが、あまり効果がない。

 季節は秋に入って涼しいほどの温度のはずなのに、まるで真夏の昼間のような暑さだ。


 だんだん暑さに耐え切れなくなってきて、着ている服を1枚脱ぐと少し暑さは和らいだ。



「はふ……なんだか暑いね……」



 あたしが服を脱いだのを見て目を輝かせる小悪魔。

 でもあたしはそんな彼女の様子を気にすることはできなかった。

 なんせ服を脱いでもどんどん暑くなってくるのだ。

 もう1枚脱ぐともう上半身はブラジャーだけだ。でも耐え切れなくて脱ぐとまた少し暑さが和らぐ。

 一息吐いた途端、目を爛々と輝かせたれもんが飛びついてきた。

 勢いに負けて押し倒されると、あたしの胸も大きく跳ねる。

 跳ねる胸に顔を埋めるれもんと、その吐息がちょっとくすぐったい。

 暑くなっている体にれもんの体はひんやりとして気持ちいいくらいだ。


 でもそこからがいけなかった。

 埋める顔が胸にかぶりつく。柔らかい唇の感触と小さな舌にチロっと舐められる感触。



「ひゃぁ……んっ……ぁ、やっ……」



 小さな舌が胸を這う度に、ぴりぴりと電気が流れるように快感が流れ込んでくる。

 口から自分の物じゃないと思えるような声まで出てしまう。

 そんな初めての体験に困惑して……流されてしまっていることに気づいたのは、たっぷりと胸を舐め回したれもんが口を離したあとだった。


 ぐったりと意識が朦朧としている中で、彼女は怪しい微笑みと満足げな舌なめずりをしているのが印象的だった。



「これがボクの魔力の力なの。すごいでしょ?」



 そういってぐったりしているあたしの腕からブレスレットを外すと、感じていた暑さも痺れるような快感もすっかりなくなってしまった。

 ちょっと名残惜しかった、なんて思いを頭を振って消す。



 ふふーん、と自慢げといった感じのいい表情をしている彼女の顔に、あたしはこの子が本物の小悪魔であることを確信した。



はい、全然エロくない。

細やかなエロさを目標に書いたのに、なぜこうなったのでしょう。

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