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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
五章

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第234話 セリアとメリッサの買い物に付き合うクラウス

「それじゃあ、今日からはしっかりエスコートしてもらうからね?」


 サイラスの問題を解決した翌日。俺は早速二人の観光に付き合わされていた。


「それにしても、クラウスのマジックバッグが使えるのは大きいわね」


 本日は観光名所を回るとのことで馬車に乗り移動をしている。


 各地には御当地でしか販売されていない土産もあるので、知り合いに贈る土産を買うことも目的の一つらしい。


「いつの間にか、私がサイラス旅行に行くことが他の貴族の息女にバレちゃったのよね。誰かさんのせいで!」


 確認するまでもなく、俺のことを言っているようだ。


 どうやら、俺とメリッサが同じ馬車で王都から出ていく姿が目撃されたらしく、メリッサの身分証に貴族令嬢からメッセージが届いたらしい。


「ただでさえ誤解されてるのに、お土産もなしだと何を言われるかわからないのよね」


 貴族同士の付き合いというのは非常に面倒くさい。


 通常であれば、親しい間柄のみで済むはずが、事前に知られてしまった以上用意しないと軋轢が生まれるのだという。


「それにしても貴族の土産ともなると見栄えの良い物でないと駄目だろう? 手に入るのか?」


「そこは安心していいわよ。外国の御当地の土産ともなると箱も凝ってるし、わりと人気があるんだから」


 メリッサは自信満々にそう告げる。


「ステシアの貴族が好む土産とか何かないかな?」


 俺も親しくしている貴族の土産で悩んでいる。


 やはり無難なのはお酒ではないかと考えていたのだが、メリッサなら何か良い土産を知っているのではないかと思い聞いてみた。


「あ、あるにはあるんだけど……滅多に出回る物じゃないし……女性では手に入れるの難しいし……」


 メリッサは顔を真っ赤にした。彼女のそんな反応は珍しい。


「何だ? どんな物なんだ?」


 この様子からして、贈れば喜んでもらえそうだ。何とか聞き出そうとするのだが……。


「あ、あんたに言えるわけないでしょっ!」


 彼女は顔を真っ赤にして睨みつけてきた。


 メリッサはロックを俺に押し付けると足早に離れていく。


「一体何だったんだ?」


『…………(傾)』


 ロックとともに首を傾げる。俺には言えない土産という物が存在しているのだろうか?


 メリッサのあのような表情初めて見る。


「兄さん、こっちですよ〜!」


 いつの間にか離れていたので、俺はセリアと合流する。


「とにかく、私たちは色々見て回るからちゃんと付いてきなさいよねっ!」


 そのころにはメリッサも持ち直したのか、俺に普通に話し掛けてきた。


 この旅行中、かなり彼女に助けられている自覚がある俺は、メリッサに従い後ろを歩く。


「いいこと、セリア。遅れたスケジュールを今日で一気に取り戻すわよ」


「はい、メリッサさん」


『なんとも元気なものだな。昨日まで疲れ果てていたというのに』


 そんな二人をダキーニが呆れた表情で見ている。


「いいか、ダキーニ」


『ん?』


「女性が買い物をする時は絶対に逆らっちゃいけない。これは家の家訓なんだ」


 俺はダキーニの肩に手を乗せると父さんからの忠告を伝える。


 故郷に住んでいた時も、セールとなると父さんと母さんが出掛けていたのだが、戻ってきた時父さんはぐったりしていた。


 その時に「買い物の時には女性に逆らうな。余計に体力を消耗する」と言われている。


「メリッサさん、あっちの工芸品見ましょう」


 事実、食材の買い出しでもセリアは同じ野菜でも一番良い物を選ぼうとその場から動かなくなることがおおかった。


 メリッサがセリアの手を引いて店に入った。彼女が興味を持ったのはドワーフの店の工芸品のようだ。


 ドワーフは手先が器用で、金属の扱いに長けているので、装飾などを作るのに向いている。


 このような一般向けの土産でもかなり細かい細工が施されているのだ。


「どれにするか悩みます」


 セリアは真剣な表情を浮かべると装飾を選び始めた。


「うーん、女性向けが多いわね。花柄ってがらじゃないんだけど……」


 メリッサも真剣な様子だ。


「そっちの、宝石とかもいいんじゃないかな?」


 俺がそう提案すると、二人はふと考える仕草をすると……。


「いいです」


「いらない」


 俺の提案を跳ね除けてきた。悪くない提案だと思ったのだが苦笑いを浮かべ気を遣われてしまった。


「そうか……」


 俺は二人の反応に釈然としないもの、それ以上提案するのをやめた。

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