召喚7 ホワイト公爵家での日々7〜ずっと誰かに……〜
アルマとの話が終わり、プリスティンの街へと帰ってきたハルマ。
何事も無かったかのように調達を続ける。
だが彼はホワイト家の違和感に気づいた。
シュンッ
プリスティンの街へと帰ってきた。
〈では、私はこれにて失礼します。くれぐれも他の方に気づかれないようにしてくださいね。〉
シュンッ…パッ!
ガヤガヤ……
「どうしましたか?ハルマ様」
「…いえ‥硬貨を落としてしまっただけです。」
本当に街が元通りになってる
みんな何も気づいてないみたいだ。ヘレンさんも…
「……早く行きましょう!買い物するの楽しみだったんです!」
その後、何事もなかったかのように木(?)で作られた歯ブラシと、硬め(?)の石鹸を買ったりと無事に調達を終えた。
しかし帰り道は上りに荷車と、苦労したよ
「ハァ〜今日は色々と疲れたな」ポスッ
執事服を脱ぎ、ベッドに横たわる。
「でも…感謝を伝えられた」
アルのことを思い浮かべる
「自由に生きろか…これからどうしようかなぁ
当面はホワイト家にお世話になるだろうし、その後にこの世界を旅してみるのも良いのかもな」
でもこのままじゃ旅に出ても絶対に死ぬよな
今日だって急にあんな事があったんだし
次は容赦なく襲われるかもしれない。
「よし!明日からケラーさんやヘレンさんでも稽古や教養をつけてくれと頼もう。忙しいかな?」
この時、昨夜のホワイト家に対する違和感の正体に気づいた……気づいてしまった………
ホワイト家で出会った人達ってアリアさん、クリス、ヘレンさん、ケラーさんの四人だけだよな…
おかしい…少なすぎる
普通ならこの大きな屋敷に四人だけなんてことあり得ない
大貴族だし、使用人の100や200はいる筈だ。
何か…俺に隠してるのか?
心がまた重くなる気がした……
ーーー翌日ーーー
パチッ!昨夜あんな事を考えたからか、
今日はいつもより少し早く起きてしまった。
すぐに着替え、食卓に向かう。
俺たちは毎朝一度は全員が揃うように食卓に集まるようになっている。(朝食を摂るためでもある。)
扉を開けるといつもより早かったからかクリス以外の三人が座っており、全員が集まっているわけではなかった。
クリスはまぁいい
来る前にこの三人に聞いた方が早いだろう。
『おはようございます。ハルマ様』
挨拶の返事はしない
「…俺に隠してることありますよね……」
怒るには気が早いのかもしれない
自分でも分かっている
でも‥隠し事なんかされてたら今まで通りに接するなんて事、俺には耐えられない。
前の世界のようになるなんてもう無理だ…
「ハルマ様?……何を仰って…」
「みんなが俺になんか隠してる事なんてもう分かってるんだよ!」
言った…言ってしまった
こんな風に伝えるつもりじゃなかったのに……
「そうですよね…ハルマ様が気づかない方がおかしいですよね‥」
隠し事してたなんて言わないでくれ…
お願いだから嘘だと言ってくれ!
「今まで隠していて申し訳ありません…ハルマ様」
やめてくれ!それ以上は!
ダダダッ!バンッ!
「ハルマ様!待って!………」
ダダダッ
聞きたくない!聴きたくない!
「ふわぁ〜あっ!カエルどうした…の…」?ダダダ
バンッ!
結局こうなるのか……
もう俺に居場所なんて……
扉に鍵をかけ、ベッドの布団に包まる
どのくらい時間が経っただろう、この苦しみは数秒さえも永遠にも等しく感じる。
ーーハルマが部屋に篭った頃ーー
テクテク
「お姉様、今カエルがすごい形相で走っていったんだけど、どうしたの?」
「クリス……ちょっとね‥ハルマ様が私たちが何か隠してるんじゃないかって…」
「それを伝えようとしたら急にね………」
「お姉様!カエルにちゃんと伝えたの?私たちがカエルの為にこの屋敷には四人だけが居るってこと!」
「伝えられてないなら、ちゃんと説明しないと!」
「そうよね…でも‥多分私たちの話をもう信じてはくれないかもしれないわ……あんな苦しそうな表情初めて見たもの………」
「もう!信じてもらうとかじゃないの!伝えてあげないと!お姉様が行かないならわたしが行くわ!」
「そうね……その方がいいかもね………」
『失礼ながら私共も宜しいですか。』
ヘレンとケラーがクリスに提案する
「うん……お姉様は行かないの?」
「………行くわ…」
ーー同刻ーー
コンコンッ
「ハルマ様宜しいでしょうか?」
この声は……ケラーさんか…
「今は放っといて下さい…」
返事はない
コン‥コン
「ヘレンですお時間よろしいですか?」
「放っといてください……」
またも返事はない
コンッ
「ハルマ様お話ししてもよろしいですか…」
「放っといてくれ………」
「……誤解だと思うんです…」
ゴンッ!
「放っといてくれって言っただろ!!」
「はい……ごめんなさい……」
弱々しい返事が聞こえた
コンッコンッ!
「開けてー!中にいるんでしょ!」
「……………」
「ねぇ!あけてよー!」ドンッドンッ!
「…もう俺に構わないでくれよ!!うるさいんだよお前ら!!」
「うん…分かったよ」
ガチャ!キィ
「入ってくんな!!なんも分かってねぇじゃねぇか!?」
「うるさくして…ごめんね…でも…放っておくなんて無理だよ…」
「なんでお前が謝るんだよ!?心にもないこと言って満足か?謝るべきなのは俺の方だって自分でも分かってるよ!?」
「心にもないなんて言わないで!わたしの顔をちゃんと見てよ!」
パッ!ポロポロ‥
そこには酷い顔をしている男よりも小さな女の子が、涙を下に落としていた
「……俺は…そんなつもりじゃ…」
そうだ…俺は何をしてるんだ
こんな年端も行かない少女が、なりふり構わず怒号を飛ばすような男のところに来るのには、すごい勇気が必要だっただろう。
「わたし…こんな風にお別れなんてしたくない…あなたと分かり合いたいよ…」
ブワッ!ポタッポタッ
感情が溢れる
俺もみんなと分かり合いたかったんだ
ずっと誰かにそう言って欲しかった…
「わたしの話…聞いてくれるよね…」
ーーー続くーーー
クリスによって分かり合いたいと言われたハルマ。
ちゃんと分かり合い、先に進めるのか。
*主人公ハルマは普通ではありません。




