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呂布伝(いや、貂蝉伝やないかい)  作者: マぬけのキンタ


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2/2

名君の着ぐるみ作戦と、帯紅の精神崩壊

冷たい雨が降り続く曹操軍の本陣。 総大将・曹操と客将・劉備は、余裕の表情で戦況を眺めていた。

曹操は笑う。

「ふはは、劉備殿。勝負は決したな。呂布め、陳宮の『掎角の勢』を却下して城に引きこもったそうだ。 あの男は武勇ばかりで、本当に頭が回らん猪武者よ」

劉備は静かに頷く。

「……ええ。身内を疑い、城に閉じこもる。あれでは自滅を待つばかりですな」

その時――

ドゴォォォォン!!

地平線の向こうから地鳴りのような爆音が響いた。

■ 赤い流星、爆誕

城門が内側から吹き飛び、 一騎の“赤い流星”が猛烈なスピードで突き進んでくる。

赤兎馬に跨り、方天画戟を振り回す男――呂布である。

曹操:「な、何ごとだ!? 呂布が出陣してきただと!? 妻に引き止められていたはずでは……!」

斥候:「ほ、報告します! 呂布軍、精鋭の騎馬隊を率いて突撃してきます! しかも……将軍の様子が変です!」

劉備:「変とは?」

斥候:「ものすごく嬉しそうなんです! 『俺は名君だー! 天下無双の名君だぞーーー!!』と叫びながら、 満面の笑みで我が軍を真っ二つにしています!!」

曹操・劉備:「め、名君……!?」

■ “褒められたい呂布”の宇宙規模モチベ

普段の呂布なら、イライラしながら暴れるだけだ。 だが今日の呂布は違う。

貂蝉に「世界一カッコいい名君」と褒めちぎられた結果、 モチベーションが宇宙規模まで跳ね上がっていた。

呂布:「ガハハハハ! 見ろ曹操! これが名君のライトニング・アタックだーーー!!」

(※そんな技名はない)

呂布が武器を一振りするだけで、曹操軍の兵士が十数人まとめて空を舞う。

夏侯惇たぶん:「うわあああ! 防げ! ……って無理だろあんなの! 聞いてた話と違うぞ! なんであんなに元気なんだ!!」

■ 城壁の上:陳宮、冷徹に指揮しつつ胃痛

城壁の上では、陳宮が冷徹な目で指揮を執っていた。

「ふっ、筋肉ダルマ……いや、呂布様の操縦法を覚えた我が軍に死角はない。 全軍、突撃! 曹操の補給部隊を背後から遮断せよ!」

高順率いる最強歩兵「陥陣営」が出撃し、 曹操軍を後ろから挟み撃ちにする。

完璧な『掎角の勢』が完成した。

陳宮(心の声): (……貂蝉殿の“天然の皮を被った怪物性”がなければ、呂布様は動かなかった…… やはり恐ろしい……!)

■ 曹操、完全に誤解する

曹操:「馬鹿な……陳宮め、どんな手を使って呂布を説得したのだ!? あの猜疑心の塊が、これほど完璧に陳宮の策を信じて動くなど……!」

劉備:「(……いや、斥候は『ヒーローになりたい』って言ってたが……)」※心の声

呂布:「逃がすかぁぁ! 曹操! お前の首をデコレーションケーキにして、 愛しい貂蝉にプレゼントしてやるーーー!!」

曹操:「デコレーション……何だと!? 訳の分からんことを言うな! ひぃぃ、引け! 全軍退却だーーーっ!!」

曹操軍は、ただただ「話が違う!!」と悲鳴を上げながら敗走するしかなかった。

■ 戦後:控室にて

呂布が豪快に笑いながら部屋を出ていくと、 貂蝉と陳宮は控室に残された。

貂蝉はにっこり笑う。

「とりあえず第一関門突破ね、陳宮先生」

陳宮は胃を押さえながら書類をめくる。

「……しかし『名君のライトニング・アタック』とは何だ。 私の完璧な戦術に、アホな名前をつけないでほしいのだが」

「いいじゃない、勝ったんだから」

貂蝉は軽く笑い、次の作戦を語り始めた。

「それより先生、次が本番よ。 徐州の民たちに『呂布は素晴らしい名君』って思わせる広報戦略を練りましょう」

陳宮は頷きつつ、ふと控室の隅を見る。

そこには、呂布の正妻・厳氏の侍女であり、曹操の密偵でもある帯紅たいこうが座っていた。

■ 帯紅、惚気で精神崩壊

貂蝉は帯紅に向き直り、恋する乙女のように語り始めた。

「ねぇ帯紅さん、昨日の戦いの前にね、将軍様にこう言ったの」

帯紅:「……なんと、申し上げたのですか?」

貂蝉は頬を染めて言う。

「『将軍様に落ち込んだ姿は似合いません。 私のヒーローのカッコいい姿がまた見たいです……』って、 涙をポロポロ流しながらすがりついちゃったの」

帯紅:「(……は?)」

「そしたら将軍様ね、 『おう! 俺が本当のヒーローってやつを見せてやる!』って出陣されたのよ。 もう、将軍様って本当に可愛いの!」

帯紅(心の声): (……惚気!? 惚気で戦局が動いたの!? 曹操様の離間計が……惚気で……? 天然って……怖い……!)

(※違う。怪物だ。)

■ 貂蝉の殺気、帯紅には“天然の圧”にしか見えない

貂蝉:「帯紅さん、将軍様のこと……単純って思った?」

帯紅:「ひっ……!? い、いえっ、滅相もございません!!」

貂蝉:「(にっこり)単純って言っていいのは、私だけなのよ?」

帯紅(心の声): (天然のくせに……なんか圧がすごい……! 天然の圧ってこんなに怖いの……!?)

(※違う。怪物の圧だ。)

■ 廊下の陳宮、貂蝉の怪物性に震える

陳宮(心の声): (……やはり噂は本当だったのか…… 董卓政権を潰した影の女……!)

貂蝉:「陳宮様、聞いてるんでしょう? 呂布様のことを悪く言ったら……刺しますわよ?」

陳宮:「ひっ……!? き、聞いておらぬ!!」

帯紅(心の声): (……貂蝉様は天然なのに……なんで陳宮様があんなに怯えてるの……? 天然って……すごい……!)

(※違う。怪物だ。)

■ 帯紅、完全に壊れる

帯紅(心の声): (……だめだ……! 私は今、呂布軍の“天然惚気の渦”に飲み込まれている……! 曹操様にどう報告すれば…… 『呂布はヒーローになりたくて出陣しました』なんて…… 死ぬ……絶対死ぬ……!)

貂蝉:「帯紅さん、お団子でも食べて元気出しましょ?」

帯紅:「(ひぃぃぃぃっ!!)」

帯紅(心の声): (……天然の優しさが……逆に怖い……!)

(※違う。優しさじゃなくて監視だ。)

(第2話・了)


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