キュンマグ
A:クラスの中の男女が、突然仲良くなる現象に...
A:なんと名前を付けようか。
A: 「キュンキュンマグネット」略して「キュンマグ」
A: こんなもんでいいかな...なんて。
A: そうだな...あの夏の...あれが、そうだったのかな...。
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AM: 僕はどちらかというと、クラスの中でもちょっといじられ役って感じだ。
AM: でも、なんでだろう。クラスの中でも数少ない女子であるBだけは、
AM: からかってくるのに、嫌じゃなかった。
AM: いや...今思えばむしろ...ちょっと嬉しかった。
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AM: 高校一年生の夏、
AM:ちょっとだけ同級生のBと仲良くなった気がする。
AM: 近くの席になって、ゲームやマンガ、
AM:アニメの趣味が似てたからかな。
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BM: なんか最近、Aが話かけてくる様になった。
BM:マンガにゲーム、他愛のない話だけど。
BM: このクラスは特殊で、三年間クラス替えがない。
BM:つまり同じメンバー。
BM: まぁ、色んな人と友達になるのは、
BM:無事に三年間過ごす為にも、悪い事じゃ無い。
BM: 私も、嫌々相手しているわけでもなく、
BM: 高校生特有の、世間話ってこんなもんだよね。
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AM: そんなある日、BからLINEが回ってきた。
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B: 友達の誕生日が来週なんだよね。
B: なんかさ、彼女が喜びそうなもんあるかなー?
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A: ショッピングモールを回ればさ、
A:色々おしゃれなものもあるし、
A: なんかいいもの見つかるんじゃない?
B: それもそうだね。でも、何がいいのかなー。
B: 可愛いやつがいいと思うんだよね。
B: ただ...あんまり高い物も買ってあげられないし。
A: じゃぁ、僕、付いて行こうか?
B: 何? 一緒に行ってくれるわけ? オッケー。
A: 週末空いてる?
B: 週末ねー、日曜日の午前中なら、大丈夫。
A: じゃぁそれで。
0:(短い間)
AM: ……これって、デートじゃないか? これって。
AM: いや、多分違う。違うけど...。期待するなよ!僕。
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0:(B宅にて)
:
B: なんかさー、Aが友達のプレゼント選び手伝ってくれるらしいから、日曜日モール行ってくるよ。
母: えー? A君って、クラスのいじられ役の?
B: うん、いつも話してる。
母: 男の子でしょう? 彼氏なの? デートしてくるのね?
B: なんでそんな事になるの? プレゼント選ぶだけだって。
母: さーねー。ま、遅くならない様にね。
B: ほんっと、お母さんってさ……
0:(短い間)
BM:そう、Aはただの友達なのに。からかって楽しい、ただのクラスメイト。
0:(短い間)
B: おお〜もう着いてるじゃーん、早ーい。
A: 待ち合わせに遅れるのは、やっぱりダメだろうしな。
B: いい心掛けじゃん。
AM:こうして笑ってくれるだけで、嬉しくなるなんて。
A: 茶化すなって。で、ある程度目処がついてるんだよね? プレゼントって。
B: あの子はねー、あのブランドが好きなんだよねー。
A: あの、結構人気あるやつだよね。
B: なんでAが知ってんの?
A: おいおい、さすがに、それくらいわかるって。
B: そうかそうかー。えらいえらい。
A: おいおい、馬鹿にしてるだろー。
B: まぁまぁ、そんな”おいおい”言わないで、ね。気にしないでー。
AM:”気にするな”...か。そんなの無理だよ。
AM:だってBが笑うと、全部許せちゃうんだよな。
A: もういいよ。時間ばっかり過ぎちゃうよ。
A: 時間もったいないだろ?早く行くよ。
B: オッケー...って、店の場所わかるの?
A: わかるよ。さすがにこの辺の高校生なら、
A: このモールの中の、店のラインナップくらい覚えてるだろ。
B: えらいえらい。ほめてつかわそう。
A: またそうやってー。
B: はいはい、ごめんて。そんじゃ行こうか。
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AM: 仲がいいなんて。僕だけ、勘違いしてるんじゃないか。
AM: でも、Bと歩くこの時間だけは、紛れもなく「特別」だ。
:
A:ここ右だよー。あの先に...いないじゃん!
B:うわー!これかわいい!こんなのあげたら喜ぶよ!
A:なぁにしてるんだよー。
B:良いと思わない?これかわいいよね。
A:かわいいけど、目的違うじゃん。
B: そっかそっか。それもそうだね。
A:とりあえず、プレゼントを選んでから回ろうよ。
B:そっかそっか。それもそうだね。
A:そんでここを、抜けると。またいない...。なになに?
B:へー、なんか、スイーツフェアやってるって。
A:スイーツね、後で食べようか、後でね。
B:はーい、わかりましたー。
0:(短い間)
A:はーい、着いたよ。
B:案内、ありがとう。ではここで。
A:おいおい、俺は案内役かよー。
B:なーんちゃって。ね。
AM:そんなことされたら、また許しちゃうだろうがー。
A:だいたい、決まってるんでしょ?
B:そうなんだよねー。あとは、色を選ぶくらいかなー。
A:何色がいいのか?までは知らないからな。あとは自己責任で。
B:はいはーい、わかりましたー。
AM:結構、真剣に選んでるなー。あんな真剣な顔もするんだな...。
B:これに決めたー!あなたが、あの子のおうちにお嫁に行くのよーなんて。
A:女の子なの?これ。
B: 知りませーん。
A:相変わらず、調子いいよなー。
B:レジどこかなー?
A:CASHERって看板かかってるから、あそこかな。
B:あーあそこねー、行ってくるね。
A:ついていくって。
B: なんで?
A:何ででもいいだろうって。
B: 荷物持ちね。
A:好きに言ってろ。
B:6800円ね。高校生ならこのくらいでいいでしょう。
A:いいよ、僕払うよ。
B: え、なんで。
A:いいからさ、そのお金でカラオケでも行ってきなよ。
B: いいの?助かるー。Aっていいやつだね。
A:誰にでもこうするわけじゃないぞ。
B: なんか言った?
A:気にするなよ。
0:(短い間)
B: サンキュー。さーて、次はスイーツか!
A:食べ物にしか興味ないのかよ。
B: だっておいしそうじゃん。
A:しょうがないなー
B:いっくよー。あれ、LINE。
A:ん、どうした?
B:あ、お母さんからだ。ちょっと通話。
A:お母さんからか....
B:あ、そうなの?うん、じゃあ、そっち行く。買い物終わったよ。
A:そっち行くって...?
B:ごめーん、用事が出来ちゃった。また今度ね。じゃあね。
A:スイーツはいいのかよ。あー行っちゃった。
0:(短い間)
AM:これを脈ありと見るか、無しと見るか。
AM:恋愛有段者ならすぐに見分けられるんだろうな。
AM:ただ、今の僕には...そんな余裕がなかった。
AM:短い時間だったけど、二人で過ごせたということに
AM:クラスの皆より一歩先を行ったような優越感を感じていた。




