98話 魔法が使えない俺とイジャとの対決
「まあまあ、この男が死にかけてるザマも面白いんだけどね!野心?正義?バカすぎ!んなもん、魔物にでも食わせておけってさ!そう思わない?」
頭のおかしい言葉を並べる魔王の幹部さま。こんなやつ、生かしちゃおけないね。
「だから僕もお手伝いして、魔力の粗悪品を冒険者に売ったりしてたのにさー!アハハ!思い出しただけでお腹痛いよ!あの3人組ったらコンプレックス丸出しでさー!」
「お、そうか!とりあえず斬るわ!」
『縮地』と『空蹴術』での、高速突進を出してからの抜剣術を繰り出す俺。
腕を切り落とす勢いで振ったんだけど、ギリギリでかわされて、外まで逃げちゃったよ!ちょっとはやいかも?
でも、手応えはあったかな?出血してるし?
イジャは、ベランダから外まで逃げて、空中に浮いてるね。
俺もとりあえずベランダまで行っとくか。
「・・・痛いなぁ。大目に見てあげてたけど、痛い目に合わせないとダメみたいだね。というか、殺す」
「大目に見てあげてたのは俺だよ?お前そろそろうざいわ」
ベランダから飛び出そうとしたら、後ろから「たくやさん!」って声が聞こえたから、アンジェたちだね。
「私達も幹部を倒します!」
「やっつけるのですよー!」
「私もそろそろ、鬱憤が爆発しそうよ。あなた様のお手伝いします!!『フロート』」
うお、すげ!アンジェ、ニナ、ミシアが浮いてるんだけど!いいなぁ!
「はぁ、ちょっとだけ遊んであげるよ。戦うのは得意じゃないんだけどね」
「そうなんだ、じゃあ楽に死ねる、ね!」
ベランダから飛び出して、空を蹴りながらイジャに接近!
俺の後ろに続いてきてるね、よしよし。
イジャは短剣を2本取り出して、両手それぞれに持つと。
で、なんか剣を交差させてかっこいいポーズを取ってる。
いや、かっこよくないか!
「見せてあげようか、幹部の力をさ。トリシューラ達みたいな雑魚とは、レベルが違うのさ」
「へー、それは楽しそうだ、ね!!」
懐に入る為に加速する俺に対して、イジャは2本の短剣を俺に向けて投げてくる。
それを剣で弾いた瞬間、イジャが目の前まで接近してたね。
弾いた短剣をすぐに掴んで、そのまま俺を斬りつけてくるも、それを防ぐ。
おー、中々やるじゃん?
「たくや君よく反応したね。褒めてあげるよ」
「俺のことだけ見てていいのかい?」
「おっと」
後ろから、アンジェの雷属性魔法『トール・ブレスター』が飛んでるのと同時に、ニナも急接近して殴りにかかる。
「ニナパーンチ!」
「おっとぉ」
ワープして、ニナのパンチとアンジェの魔法を回避するイジャは、ちょっと先あたりまで移動してるね。
ワープって便利だなぁ。
「早いです!魔法がかわされました!」
「ニナのパンチ当たらなかったのです!」
アンジェとニナは驚いてる様子だな。ミシアは忌々しそうな顔してるけど。
「奴は素の機動力とワープを駆使して戦うゴキブリみたいな奴よ。どこから攻撃されるか分からないから、注意して!」
「ミシアー?余計なことを言うんじゃないかー。ほいっ」
あいつ、ワープでミシアのところまで行ったな?させるかよ!
ふう、ワープホールから出て来たイジャの攻撃を防いだけど、危なかったねぇ。
「あ、あなた様!わたくしの為にそこまで!あぁ体が熱って・・・」
「言ってる場合か!」
ミシアはこんな時に何言ってるんだ・・・
なんとか、ワープ中の気配はわからないけど、ワープした瞬間に感知することはできるから、対応は出来るかな?
「ふうん、たくや君ってすごい速いね。僕の速さより一段階上だよ」
「感謝の言葉として受け取っておくよ」
「でも、僕は特別なんだよね、おっと!」
アンジェが至近距離で、弓と同じかそれ以上の速度を出しているであろう、高弾速魔法をイジャに向けて放ったようだね。
しかし、明らかに見えてから反応したにも関わらず、一瞬でワープホールを出現させ、それに入り回避したな。
おいおい、やってることが、めちゃくちゃじゃねえの?
「すいませんたくやさん、逃してしまいました」
「気にすんな、まだチャンスはあるよ」
悔しがってるアンジェとは裏腹に、イジャはまたちょっと先に現れて、余裕そうな雰囲気で空を漂ってるよ。
「だから、僕は特別だって言ってるでしょ?君たちの攻撃なんて当たらないし、この程度なら瞬殺できるの!あ、たくや君は無理!強いからね」
まるでアンジェ達が足手まといみたいな言い草だな?ちょっとイラっとしたね。
こいつに、一泡吹かせてやろうか。




