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95話 魔法が使えない俺と姑息なやり口

剣舞・水月映華』


剣の軌跡は水面に映る花弁のように、やがて映るのは月の影・・・ってどういう意味だろうね?


要は全方位に無数の斬撃を放つ防御剣術かな?1体多数で囲まれたときに、これ結構使えるのよ。


近づけないでしょ?下がった奴が本体だね。


『剣舞・閃楼絶華』


『縮地』と『空蹴術』で高速接近しての突きで、エジールの持ってる大剣の持ち手辺りに切っ先をぶつけると。


そしたら、間に合わない防御と崩したバランスで、大剣が飛んでった。


「無敵技、破ったり」

「・・・見事だな」


首元に剣の先を当てる俺と、息を呑むエジールの構図。これもう勝ちっしょ!


「さ、首を貰うね」

「フフ、まだだぞ?」


なんか、まだ余裕そうな感じ出してるぞこいつ?負け惜しみか?


ん?後ろが熱いな・・・!?


俺が後ろを振り向いたら、うわっリーナが炎の渦に囲まれてた!


おいおいおい、人質か??


「お前が動いた瞬間に、リーナを焼き殺す。そして、今。町中のテロスに指示を出した。『無差別に殺せ』とな」

「お前マジ?恥ずかしくない?」

「なんとでも言え、お前は何もできないまま死ぬのだ。そして、下にいる仲間も今頃こと切れてるだろうな」


やばー、どうしようかなー。神速でぶった切ってもいいんだけど、下手に間違って動かれてもやばいか?


うーん、どうしよっかなあ。殺すか?


「さあ、お前にいいものを見せてやる」


エジールが持ってたのは・・・おー魔力増強石だね。


「お前もテロスになるんじゃないの?」

「いいや、これは魔王様から頂いたものだ。俺達が作っているのは、所詮失敗作だ。だが、成功さえすればこの世界を掌握できるのだがな」

「壮大な夢だねえ」

「その余裕、いつまでもつかな?」


魔力増強石をかみ砕いて、膨大な魔力がエジールの身体から発してる。角が片方だけ出て、翼も片方だけ。尻尾が二つに体が赤くなって、髪も伸びると。


うん、バケモンだね。


「さて、お前をどう殺そうか?指から少しづつか?それとも皮を削ぐか?」


んー、一か八か最速で首切るか?もしかしたら大丈夫かもしれないし、リーナを閉じ込めてる炎の渦も、殺した後に消せばいいし。


「まずは、その忌々しいてから!!!・・・あ?」

「うん?」


エジールの肩に、小さい風穴が空いたね?そこから出血してるみたい。


なんで?って思って後ろを見たら、あぁ、なるほどね。


リーナが、水属性の防御魔法なのかな?水で出来たドームを周りに展開して、炎の渦を中和してる感じ。


んで、炎を防ぎながらエジールに魔法を放ったんだね。


「リーナ、中々やる人材じゃないか。俺の書記にでもしてやろうか?」


随分また上からだなぁ。カリスマがないんじゃない?


「私は、この街を背負う。あなたに渡さない」

「・・・そうか、じゃあ街の奴ら全員魔力増強石に変えてやろうか。残念だな、万が一お前が首席になったとて、ついてくる民衆がいないのだからな!」


そっか、街ではテロスが街の人らを襲ってるのか。どういうカラクリでそうなってんのか知らんけど、厄介なおっさんだなぁ。


・・・ん?外から声が聞こえないか?


「おーーーーい!!!!!!」


あ、やっぱ誰か叫んでるわ!でも聞いた事あるような・・・


「ふん、助けでも呼んでるのか?」

「いや、違うね。外見てみな?」


のそのそベランダまで歩いて外を見る元団長のバケモン。「は!?」って驚いてるよ。


おりゃ驚くわ。そいつ、今ベランダの目の前で飛んでんだから。


「たくや!!応援に来たよ!!久しぶりじゃあないか!!!」

「おー、『クラン』。いいタイミングじゃん。なんでここに?」


火属性魔法を逆噴射して、空に佇んでるのは勇者クラン。


魔王討伐の旅をしてるのに、なんで来たんだ?


「たまたまこの街の話を聞いたから、助けに来たんだ!たくやは大丈夫だと思うけど一応ね!!あ、街は僕らがどうにかするから、君は安心して戦っていいよー!!!」

「サンキュー!流石勇者だな!」

「君に比べたらまだまださー!!!それじゃ!!」


炎を噴射して、超高速でいっちまった。てか、空ってああやって飛ぶんだ。俺いちいち蹴ってるのに。


あ、エジールがめっちゃ悔しそうな顔してんなぁ。気分がいいね、悪い奴がそういう歪んだ顔すんの。


「勇者だと!?どういう事だ!!誰から聞いたというんだ!!!」

「んー、有能な人がいるんじゃないかな?お前と違って」


おーおー、プルプル震えて可哀想に。こりゃブチギレてるなぁ。


「だが、下にはアイツがいるのだから問題は・・・」


ってエジールが言おうとした時、後ろの二枚扉がバン!って開け放たれた。


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