81話 魔法が使えない俺とお出迎えミシア
テロスってやつを撃破した後、負傷した少女を乗せて王都までたどり着いた俺達。
幸い、道中に魔物とかの戦闘が無くて良かったよ、全く。
馬車に乗せた時、風邪ひいたサリスが起きてたけど、別に少女に対して疑問を投げかけることはなかったね。
というか、ずっと他人に甘えるそぶりを見せてて、いつもとのギャップがすごかったよ。
俺らが馬車に入ったらもうずっと「頭痛いぃ」とか「頭撫でてぇ」とか「うえぇ辛いよぉ」とか、子供かってくらい泣きじゃくってて、これはこれで可愛いかもなって思ったね。
そのサリスをひたすらアンジェが「よしよし」って構うもんだから、サリスはもう赤ん坊みたいになっちゃって、端から見たらアンジェは聖母だね。
そんで、サリスを王都騎士の本部まで運んだんだけど、迎えに来たフィラがもう呆れかえってたのを思い出すよ。
「ああ、この子は人に迷惑しかかけないのでしょうか・・・」って頭抱えてたのを見て、俺はちょっとフィラに同情してしまった。
そんなわけで今、ギルドにある医務室に連れてきたところ。
「あなた様、わたくしは帰りを待っていました。お帰りのキスを・・・」
「あ、ミシア。なんで医務室にいるの?あと女の子持ってるから抱きつかないで」
「あなた様?浮気ですか?」
「ねえ、話聞いてる?」
医務室にいたのはなんとミシアだった。びっくりだよね、マジでギルドに努めるなんて微塵も思わなかったよ。
「フフ・・・釣れないお方。わたくしは今、ギルドの回復魔法使いとして医務室の担当を任されたのです。あなた様、褒めてください」
「あーすごいよミシア。綺麗だし流石だね、尊敬に値するよ。あと、この子を見てくれない?」
「キャーーーーー!!キレイだなんてそんな!わたくしはただあなた様の事を思って・・・」
と謎の会話と女性陣の冷ややかな目線を喰らいながらも、とりあえず女の子をベッドに寝かせましたと。
改めてみると酷い傷だなあ。
打撲と切り傷と、骨折も何か所かあるみたい。追手からの攻撃を貰いながら逃げてきたわけだし、そりゃそっか。
んで、ミシアが女の子に回復魔法を使ってるんだけど、こんな魔法俺初めて見たなあ。みるみる、傷口が治ってくじゃんか。
しかも、身体が発光してるよ。
そして、あっという間に女の子はきれいサッパリ回復したみたいだね。魔法って万能なんだなあ。
「これで容体は安定したと思います。あとは、目が覚めるのを待つだけ。・・・この子をどこで?」
「ありがとうミシア。任務の帰りに助けたんだよ、なんかテロスってやつに追われてるみたいだったんだ」
なんとなく助けた時の事をミシアに話した。で、一応念のため拾っといたテロスがつけてた破片を彼女に見せてあげた。
「あら、これ微量ですけど魔力が入ってますね」
「魔力ですか?」
「ええ、魔王から貰う魔力増強石に似てるわね」
「魔力増強石?」
なんだそれ?って思うけど、名前を聞く限りまんまの効果なんじゃない?知らんけど。
それにしても、俺にだけ敬語でアンジェにはタメ口って、どういう事なんだろう。
「魔力増強石は、魔王が作り出す不思議な石。人間がこれを取り入れると、身体能力と魔力を限界以上に飛躍させるの。その代わり、もう人間には戻れなくなるけどね」
ん?それって前に奴隷商の肉野郎が言ってた『魔導玉』じゃね?確かに、あれを口の中に突っ込んだら肉だるまの化け物になったんだっけ。
「俺も見たことあって、実際使ってる奴見たことあるんだけどさ?あんな化け物にはなってなかったぞ?」
「そうですね。だから、これは魔王製のものではないと考えられます。もしかしたら、人為的に誰かが作ったのかもしれません。最もこの欠片を見てのわたくしの感想ですが」
「ニナ、難しいことは分からないのです」
「私も同意―、頭痛くなるー」
「知的向上心がない者は、馬鹿か畜生よ?」
ミシアは辛辣なこと言うなあ。随分と俺以外を見下してんだこいつ。
「ありがとうミシア、助かったよ。あと、もうちょっと言葉を丸くしてほしいかな」
「あ!あ!あなた様に感謝されるなんて!!!も、申し訳ございません!ちょっとは気を付けます!!」
ちょっとかい。
まあともかく、この女の子の事はミシアに任せて、俺らはギルドを出るかな。
あ、もしかしたらロビならこれの事分かるかもしれないな!ちょっと聞いてみるか!




