61話 魔法が使えない俺と黒い教会
町の男から女性を助けた俺は、現状を聞いてるところ。まじでセーフって感じだよ。
「ぐす、えっと、温泉入ったら2人とも様子が変になって、えぐ、それで神とかよく分からないこと言うから、指摘したら、うえ、宿屋の人が入ってきて・・・」
「温泉!?・・・まじかよ」
結構妄想になるけど、温泉に何かの成分が入ってて、それでおかしくなったとしたら?
でもこの女の人はなんともないよなあ。特別性?
やば、男が起きたよ!
「うーん、あれ俺は・・・っ!あれ、なんで俺今までミシア様とかよくわかんないことを!?」
「え、正気に戻った?」
俺が殴ったからか、正気に戻ったみたい。間違いなくない?
「ねえ、一応記憶はあるの?」
「ああ、ちゃんと今までの事は覚えてるんだが、ここまで宗教にのめり込む意味が分からない」
女の人もその様子を見て少し安心してるみたいだね。
「あの協会で何が起きてるのさ?」
「そうだな、俺らは妄信して神を崇めるんだ。そして、偶に宗教を嫌うやつがいるから、そいつに酷いことをして教会の人に明け渡すんだよ」
へーひっどいね。信じる信じないもその人次第なのにね。
「あと、信者の中から優秀だと認められた奴は、ミシアの加護を受けるとか言って、教会の中で暮らすことになるさ。それからそいつが外に出ることはない。クソ、普通に考えたら分かることなのにな!!」
教会はかなりやばいことをしてるみたいだな。端的に、妄信させた奴から選抜して、そいつを監禁するってこった。これは黒だね。
「あと聞きたいんだけど、いつからみんなそんな風になったの?」
「・・・分からない。気がついたらこうなってたし、教会も立ってた。あそこには、源泉があるのにな・・・」
源泉、教会?
それって温泉に魔法が掛かってるってことじゃないか?
アンジェ達が正気だったのは、俺が一緒に温泉に入ってたからってことか。
やーばいことになったぞ。早めに何とかした方がいいなこれ!
◇◆◇
とりあえず、女性と男に変になったふりをしろって口裏を合わせて、俺は宿に戻ったと。
んで、部屋にいた3人に今起こったことを話したとこ。結構みんな驚いてんね。
「つまりですよ?あの温泉に入るとみんな信者になるってことですよね?何かの魔法が掛かってるみたいな?」
「ニナたちが無事なのは、ご主人様のお陰なのです!」
「これは怖いトラップだねえ。監禁して何をさせてるんだろうね」
なんとなく理解してくれたみたいだね。
でも、もとになる原因を探らないといけないし、どちらにしろ教会に潜入するしかないかも。
「今から潜入しない?夜なら警備が手薄だと思うけど」
「そうですね。もしかしたら、他にも被害が出てるからもしれませんし」
「即断即決なのです〜!」
「夜の教会に入るって、ワクワクするよね!」
んじゃ決まりだね。昼に回った時、ある程度場所は把握したし。
はい、では潜入開始!
◇◆◇
町の奥の方、教会前に来た俺らを待ってたのは、大きい煉瓦造りの協会で、所々にステンドグラスがついてる、2階建てで大き目の教会。
周りは火が灯ってて明るいし、中も薄っすら明るいね。
それにしたって結構敷地広いんじゃない?温泉町に似つかわしくないし、こんなもんいらねえだろ。
入り口前に何人か見張りが要るなあ、こいつら気絶させるか。
「ちょっとあいつら寝かせてくるから、みんな周り見張っててね」
「分かった」の3人の了承を聞いて俺は『気配遮断』と『縮地』を使って、見張り全員をみねうちで気絶っと。ほい終了。
「流石ですねたくやさん!」
「ご主人様はアサシンなのです!」
「たくや君はなんでもできるねえ!」
「なんでもは出来ないよ、出来ることだけだし。んじゃ、入るか」
夜とはいえ、この警備の数はざる過ぎるんじゃないかな?




