表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貧乏領主フランの領地改革  作者: レモンティー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/27

第十四章:国家の視線

それは、静かに届いた。

だが――

この領地にとって、最も重い一通だった。


◆ 王都からの書状

封蝋。

紋章。

無駄のない文章。


■ 王都通達

辺境領における経済活動の異常拡大について、調査官を派遣する

必要に応じ、統治権の再編を行う

執事の手が止まる。

「……来ましたな」

フランは頷く。

「遅いくらいだ」


◆ “異常”の意味

「異常、ですか」

「そうだ」

フランは言う。

・税に依存しない経済

・外に依存しない流通

・独自通貨

・人口増加

「普通の領地じゃない」

「国家から見れば、“制御不能な塊”だ」


◆ 調査官の到着

数日後。

馬車が一台、領地に入る。

護衛は最小限。

だが、空気は張り詰めている。

「王都より参りました。調査官です」

男だった。

年齢は中年。

目は静かで、冷たい。

「領主フラン殿、お話を」


◆ 第一の問い

部屋に通され、すぐに問われる。

「あなたは、何をしているのですか」

曖昧さはない。

まっすぐな問い。

フランは答える。

「回してるだけだ」

「何を?」

「人と、物と、信用を」

調査官は一瞬だけ目を細める。


◆ 観察

調査官は数日、領地を歩く。

見る。

聞く。

記録する。

・飢えがない

・犯罪が少ない

・労働が機能している

・貨幣が流通している

そして。

「……税が、ない」


◆ 問題の核心

夜。

再び向き合う。

「この領地は、王に何を納めているのですか」

フランは即答する。

「何も」

沈黙。

「それは、許されない」


◆ 国家の論理

調査官は淡々と語る。

「国家とは、徴税と再分配で成り立つ」

「軍も、道路も、治安も、全てはそこから」

「あなたはそれを、無視している」

正しい。

完全に正しい。


◆ フランの返答

「必要ない」

短く。

だが、重い。

「この中で、全部回ってる」

「外の仕組みがなくても?」

「ああ」

調査官は静かに言う。

「……それが問題なのです」


◆ 危険性

「あなたのやっていることは」

一拍。

「国家を不要にする可能性がある」

空気が凍る。


◆ 選択の提示

調査官は書類を差し出す。


■ 提案

・領内経済の王都管理下への編入

・労働証の廃止、国家通貨への統一

・税制の導入

「受け入れれば、保護されます」

「拒否すれば?」

「……討伐対象となる可能性があります」


◆ 領民の反応

噂はすぐに広がる。

「国が来るらしいぞ」

「税って何だ?」

「今より苦しくなるのか?」

ざわめき。

不安。

そして――

初めての“外への恐怖”。


◆ フランの思考

夜。

一人で考える。

・従えば → 安定するが、支配される

・拒否すれば → 戦争の可能性

どちらも正しい。

どちらも間違っている。


◆ 決断の前

翌朝。

調査官が問う。

「結論を」

フランはまだ答えない。

外を見る。

人が働いている。

子供が笑っている。

街が回っている。

それを壊すのは簡単だ。

だが――


◆ フランの言葉

「一つ聞く」

調査官を見る。

「このままでも、問題は起きてない」

「それでも、壊すのか?」

調査官は迷わない。

「はい」

「それが、国家です」


◆ 静かな対立

完全に理解する。

これは善悪ではない。

「……そうか」

フランは頷く。

「じゃあ――」


◆ 次章へのフック

答えは、まだ出さない。

だが、準備は始まる。

「こちらも、“国家として”答える」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ