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第99章「国家統合構想で爆死!? 統一政府の夢は泡沫に散る」

 「何度も死んでは生き返り、失敗に失敗を重ねてきたが、まだ諦められないぜ……。今度こそ“世界レベル”で物事を動かし、一気に大きく成功すりゃ、爆死ループから卒業できるんじゃないかと思うんだよ。つまり、いっそ各国を統合して、一大政府を樹立すればいい! そこに俺がトップで君臨すれば、もう死ぬ暇なんかなくなるだろう!」



 王都の外縁。これまで数々の壮大ビジネスをぶち上げ、最後はすべて大爆発というオチに落ち着いてきた黒峰銭丸が、またしても大口を叩いている。その背後には、もはやおなじみになった三人の顔——水無瀬ひかり、バルド、メルティナ。長きにわたり銭丸の暴走を眺めながら付き合うことになった彼らは、またかと嘆きたげな視線を向けていた。


 「国家統合構想……ついにあなた、世界レベルどころか、政治レベルの事までしゃしゃり出るんですね。大丈夫なんですか? 一歩間違えれば各国の利害が絡んで、戦争に発展しかねない話ですよ」

 ひかりが厳しい声で指摘する。これまで銭丸は金儲けのためなら何でもやってきたが、今度は大義名分として「国をひとつにまとめる」らしい。


 「戦争なんざ起こしちゃいけねえ。統一政府を作るんだよ。そうすりゃ紛争の種は減るし、みんなが同じ法に従えばビジネスもスムーズだ。税制を一本化して、インフラを一気に拡充して、俺がそのトップに立つ……。こいつこそ、爆死から解放される最終手段だろう?」

 銭丸は自信満々だが、バルドは「王家の権限や他国の抵抗を無視して大丈夫か? そんな無理筋な統合なんて受け入れる国があると思うか?」と低く唸る。メルティナは「あんた、前に大規模ダンジョンや魔王封印の領分に手を出して、結果は全部大爆破だったじゃないですか。国家の仕組みに手を突っ込んだら、さらに最悪の結果になるかも」と呆れる。



 それでも動くのが銭丸スタイル。彼はまず、王都の有力貴族や商会、さらには裏ギルドなどを回って「世界統合のメリット」を説き、高名な学者や軍閥の首脳を個別に懐柔しようと試みる。「王都の権力を壊したいなら俺に乗れ」「地方の自治を守りたいなら、俺の“統一政府”に加われ」など、あべこべな口上で様々な派閥を取り込もうとしている。

 ひかりは「これ、内部の意見が絶対衝突しますって……」と顔を青くし、メルティナとバルドが警戒を強めるも、銭丸は「過去最大の金が動くんだぞ。みんなが賛成すれば爆死も止まる」と謎理論で突き進む。


 やがて、その国家統合構想に興味を持つ一部の勢力(貴族・商人・闇ギルドの首領など)が寄り集まり、銭丸を“仮の統合司令官”に仕立てて、連合政府のような組織を立ち上げる形になった。あまりに強引だが、利権を求める者たちが多数いるのが現実だ。

 バルドは呆れ返って「これ、マジで実現したら世界が混乱するぞ……」と囁くが、銭丸は「混乱をまとめれば儲かるんだ。爆死ループの打破なんて簡単さ!」とあくまで自信満々。



 暫定統一会議が王都郊外に立てられた仮設ホールで開かれ、銭丸が“議長”のような立場で壇上に立つ。そこに集まった各国・各派閥の代表は本当に多種多様で、目論見もバラバラだ。冒険者ギルド系、教会関係、貴族代表、地方都市の首領、闇商会長……。それらが“俺たちも利権を得たい”と熱を帯びる形で混在していた。

 当初は「どうせ形だけ」と思われていたが、銭丸が次々と“統合政策”をぶち上げる。たとえば「同じ税率」「同じ通貨単位」「ギルドシステムの一本化」など、聞こえはいいが滅茶苦茶なプランばかりだ。ひかりが裏で「こんなのすぐ破綻する……」と胃を痛めている。


 またしてもバルドとメルティナが安全策を懸命に探るが、銭丸は大スケールで動かそうとし、実質的には何の詳細も固まっていないまま“統一式典”を大々的に開催。各国首脳級の参加を呼びかけ、「これで世界はひとつ!」と宣言するムードを作り出す。

 しかし、裏では各派閥が「他所の国に飲み込まれるのは嫌だ」「権限が減る」と疑念を抱き、闇商人が「この混乱に乗じて一儲け」と企むなど、不協和音が膨らみつつあった。



 迎えた統一式典当日。王都には様々な国の代表や無数の観衆が集まり、銭丸が広場に設営した巨大ステージで「世界統一の調印式を行う」と宣言。優雅な音楽が流れ、貴族服を着こんだ銭丸が見栄を切る一方で、バルドは「これ絶対に爆弾が仕掛けられてるか、混乱が起こる」とひそかに警戒する。

 実際、複数の派閥が式典の裏で工作を仕掛けあっており、メルティナが「ここに怪しい魔導具が」「あちらに不審者が」と慌てる報告を入れるが、銭丸は「放っておけ。大きなプロジェクトには雑音がつきものだ」と余裕を見せる。


 式典が始まり、各国代表が壇上で順番にスピーチするが、当初は友好ムードで拍手が沸く。ところが短い休憩時間に、裏から「怪しげな兵器を搬入してる奴らがいるぞ!」という叫びが飛び、闇商人たちが「今がチャンス」と取引を始める始末。会場の警備がバタバタし始める。

 さらに挙動不審の一団が神殿の儀式を勝手にぶちかまそうとし、別の一派が「こっちが本当の統一だ」と旗を立てるなど、大混乱が燻りだす。ひかりが必死に止めに入ろうとしても、銭丸が「今さら中止するな!」と意固地になってしまい、バルドが一箇所に火種を消しに行くたびに新たな騒動が起きる悪循環になる。



 最終的に、式典のクライマックスで銭丸が“世界統一”を宣言しようとする直前、舞台裏から複数の爆薬や魔導兵器が一斉に噴き出す事態となる。誰が仕掛けたのか不明だが、いくつもの派閥が対抗して罠を用意したらしい。火炎と稲妻、闇ギルド式の呪爆、神殿の厳かな光など、相反する攻撃魔法が入り乱れ、一気に舞台は戦場化。

 ひかりやバルドが観衆を避難させようとするが、すでに大パニックで収拾がつかない。メルティナが保護結界を張るも、あまりに多方向からの発破で耐えきれず、式典会場が地鳴りを上げて崩落を始める。複数の貴族や代表が逃げ遅れて悲鳴を上げる中、銭丸だけはまだスピーチをしようと壇上にしがみついている。


 例によって最後の瞬間が訪れる。炎と爆発音が増殖し、ステージが落ち、足元が崩壊して宙に舞う形。銭丸が「こんな馬鹿な……こんな結果、あるかよ……!」と叫んだ末に、お馴染みの台詞がこぼれる。


 「カ、カネは……裏切らない……女は……たまに……裏切る……。国家統合は……爆死ッ……!!」


 それと同時に派手な大炸裂が起こり、複数の兵器と魔導爆発が連鎖。ドーンという凄まじい衝撃が空を切り裂き、ステージも広場も全部吹き飛ばされる形で一気に破壊が波及。群衆が四散して逃げまどう惨劇になり、黒煙と火柱が王都を揺るがす絵面が広がる。

 もちろん、銭丸は爆心地で姿を消し、いつものように「行方不明」扱いに。王都にはまたも被害だけが残った。



 翌朝、現場には瓦礫と焼け焦げが散り、あちこちでうめき声が聞こえる。数日前まで「新統一政府ができるかも」と盛り上がっていたのは嘘のように、何もかも煙と化し、再び廃墟が追加されただけ。貴族や派閥の代表たちも大怪我か失踪する人が多く、「もはや国同士の統合どころか、王都がバラバラだ……」と人々は嘆息するばかり。

 「さすがに今度こそ銭丸は死んだだろう」と皆口にしつつも、これまでも同じ言葉を何度繰り返してきたか分からない。結局、彼が“世界をまとめる”どころか、全方位から爆弾を呼び込んで終わった形で、また大爆発が記録に残るという最悪のオチ。輪廻のループはいよいよ加速するばかりだ。

 こうして“大義の名のもと”に行われた壮大な国家統合構想も、いつもと寸分違わぬ結末に収まる。もはや呆れるのを通り越し、王都の人々は例の一言を繰り返し呟くばかり。「あんなに派手な爆死なら生きてるわけがない……でも、あの男だし……」——そう、輪廻はまだ続いてしまうのだろう、と誰もが諦めに近い苦笑を浮かべていた。

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