第97章「封じられし魔王契約で爆死!? 遺跡の闇から蘇る災厄」
「地底プラントも駄目か……いや、こんな失敗、何度繰り返しても俺は死んでないわけだ。そろそろ“爆死”って言葉にも飽きてきたが、どうにも卒業できないらしい。ならば、今度こそ別の視点から攻めるしかねえだろ? ……そうだ、魔王だよ、魔王! どこかの遺跡に封じられた魔王を解放し、そいつと“契約”して力を利用すれば、爆死ループも終止符を打てるはずだ!」
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焦げや瓦礫が散乱する王都外縁部の定番スポット。ここに相変わらず立ち尽くすのは黒峰銭丸。過去に幾度となく壮大な事業を立ち上げ、最後には大爆発を迎えて失敗してきたが、なぜか生きて毎回戻ってくる姿はもはや風物詩のようでもある。そばにはいつもの仲間たち――水無瀬ひかり、バルド、メルティナ――が不安げに集まっていた。
「魔王って……さすがに危険すぎませんか? 封印されてるなら、それを解けば世の中に甚大な被害が出るでしょう? あなたは何を考えてるんです?」
ひかりがため息混じりで問いかけると、銭丸はあっさり軽視した態度で言い返す。
「何度爆死しても死に切ってない俺には、それぐらい過激な方法がちょうどいいのさ。魔王なんて言ったって、契約して利用すれば最強のパワーを得られるだろ? そうすれば輪廻のループなんか一瞬で乗り越えられる。金の山も、女の山も、魔王パワーで全部思いのままだ!」
バルドが低くうめくように「毎回、そんな野心をぶち上げては結局……」と呟けば、メルティナは「魔王封印には厳重な結界が施されているし、解けば魔物災害が起こりかねません」と顔を青くする。しかし、銭丸は最後まで同じ口調で言い切る。「ぐだぐだ言うな。俺はもう死ぬか爆死かなんて気にしない。今回は魔王の力でどうにかしてみせる!」
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こうして始動するのが「封じられし魔王契約プロジェクト」。銭丸の狙いは“魔王の封印”を解いて、その力を借りる代償に契約を結び、世界を手にして“爆死の宿命”を覆すことだと豪語している。かつての神の玉座や竜の秘境で痛い目に遭ったのに、魔王に手を出すなど常軌を逸しているが、彼自身は恐れを知らぬ様子。
ひかりは「これまで以上に最悪の結果になるわよ……」と吐き捨て気味に言うが、銭丸は「最悪を超えれば最上だろ?」と危険思想を繰り返すに留まる。
バルドが下調べをする中、どうやら王都から少し離れた地方に“魔王封印の遺跡”があるという噂が見つかる。そこは今や立ち入り禁止となっており、古い結界が残され、複数のギルドが密かに見張っているという。銭丸は闇金のツテを使い、ギルドの目をかいくぐって遺跡を探索しようと計画する。メルティナは呆れながらも、結局は同行して安全対策をするしかない。
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遠征隊は少数精鋭の形で遺跡に向かう。闇金関係者や冒険者の一部も混じっているが、大半が「報酬次第」とか「魔王の力を拝むだけでも面白そう」など不純な動機ばかり。ひかりは再三「こんな危険な真似、やめてください」と懇願するが、銭丸は「やるしかないさ。ここで爆死ループを終わらせるんだからな!」と意気込む。
やがて見つけた遺跡は、古い石造りの要塞地下に通じる坑道の奥にあり、入り口には強固な結界が幾重にも張られていた。バルドが警戒しながら扉を押し、メルティナが封印呪文を解こうとする。だが封印が強すぎて簡単には崩れず、銭丸が「ちんたらするな」と呷り、闇ギルドの術師を動員して強引に破壊する方法を選ぶ。
闇ギルド術師が闇魔法で結界を壊すと、激しい逆噴射のような衝撃波が走り、周囲に妖しい黒い霧が立ち上る。バルドが一気に後方へ退避させるが、一部の術師や冒険者が霧に呑まれて倒れてしまう。メルティナは焦りながら結界の残骸を踏み越え、中へ突入。「この時点で既にヤバいわ……」と青ざめるのも当然。
しかし銭丸は「こんなの毎度のことだろ?」と笑い飛ばし、奥へと突き進む。視界には石柱や不気味な紋様が刻まれた壁が並び、そこを抜けると空気が重く、まるで巨大な魔力の塊が眠っているかのようだ。
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やがて地下最深部へ到達し、そこには魔王封印の祭壇らしき台座が鎮座していた。中心に大きな鎖のような魔導具が浮かび、そこから紋章が広がっている。いかにも“ここに魔王が封印されている”と示している風景に、バルドは「見ろ……これが魔王の墓場か」と息をのむ。
銭丸はうっとりした様子で祭壇を眺め、「ここに書かれた契約文らしき呪文を解けば、魔王は蘇るはず。あとは交渉で俺がそいつの力を手にするんだ」と意気揚々。ひかりは「交渉相手が魔王って……正気じゃない」と声を絞るが、彼はもう耳を貸さない。
メルティナが渋々調べたところ、この封印は相当古く深い呪術であり、一旦緩めると周囲の魔力が激しく乱れる恐れがあるらしい。だが銭丸はお構いなしに「よし、封印を解いてくれ。爆死からの卒業が待ってるんだからな!」と強要し、闇ギルド術師を呼び寄せる。
しかし、その術師の力でも簡単には解けず、銭丸が「もう面倒だ! 一気に壊すぞ!」と強行命令を下してしまう。結界を制御できないまま、何人かが石碑を打ち砕き、呪印をこじ開けるかたちで力任せに封印を破る……想像するまでもなく最悪の展開である。
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封印が壊れた瞬間、もの凄い漆黒の波動が祭壇から吹き出し、空気を裂くような衝撃が周囲に走る。メルティナが悲鳴を上げて膝をつき、バルドが盾を構えて踏ん張る。ひかりは後ろへ倒れ込む形だ。闇ギルド術師たちは軒並み吹き飛ばされ、あちこちから悲鳴が上がる。
暗黒の霧が渦になって祭壇上に集まり、そこに巨大な影が形成されていく。いかにも“魔王”を思わせる人型シルエットが揺れ動き、低く唸り声がこだまする。銭丸はその場で怯むどころか、「お、おお……出たな、魔王! 俺と契約してくれ!」などと勇み足で叫ぶが、影はまったくそんな雰囲気ではない。
むしろ魔王の力は封印の破壊を逆手にとり、周辺の魔力や人々の負の感情を一気に吸収しているように見える。あっという間に闇ギルド術師の一部が倒れ、魂を抜かれたかのような姿で崩れ落ちる。メルティナは「やばい……これ、封印が解けただけじゃなく、魔王がさらに力を増してる!」と青ざめる。
バルドが剣を構えるが、相手は空気を振るうだけで衝撃波を送り、兵士たちを吹き飛ばす。銭丸はそれでも「ちょっと待て! 契約だ契約!」と駆け寄ろうとするが、魔王の視線が彼を射抜き、いかにも嘲りの笑みを浮かべるかのように動く。
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結果、いつものパターンが訪れる。魔王は言葉を発するかしないかのうちに、周囲のエネルギーを暴走させて大爆発を誘発する。祭壇下の魔導回路が連鎖的に燃え上がり、あちこちに張り巡らされた結界や罠が同時に弾けるように破裂し、地下空洞が大崩落の危機に陥る。
銭丸は自分の“魔王契約”を果たすどころか、逆に巨大な火柱と闇のエネルギーに巻き込まれ、いつものようにあの言葉を絶叫する。「カ、カネは……裏切らない……女は……たまに……裏切る……。魔王契約は……爆死ッ……!!」
当然のごとく凄まじい衝撃が響き、石壁が落ち、無数の瓦礫が吹き飛び、暗黒の閃光が広間を埋め尽くす。バルドやひかり、メルティナが倒れ込む中、奇妙な咆哮とともに天井が一瞬で崩壊し、まるで地下空間全体が潰れてしまうかのような最終破壊が爆ぜた。
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翌朝、やっとのことで生き残った数人が地上へ脱出。彼らが見たのは地面に大きく穿たれたクレーターと凹み、封印の遺跡そのものがほぼ消滅した景色。闇ギルドの術師たちもほぼ全滅状態で、もはや魔王の気配どころか、一面が崩れた土と破損した石材の山だ。
銭丸の痕跡など当然見当たらない。「あれだけ大爆発が起きりゃ今度こそ……」と人々がまた口にするが、「いや、彼だし……」と首をかしげるのもお決まり。結局、封印を解いた結果、せっかくの遺跡も消滅し、魔王が完全に解放されたかどうかも分からないまま、ただ一夜の惨劇と大量の負債を残した。
こうして“魔王と契約して爆死の輪廻を乗り越える”という壮大な野望も見事に失敗し、いつものルートで銭丸は消息不明へ。多くの人が言うまでもなく、「これでようやく終わりか」と嘆息する一方、もう飽きるほど繰り返し聞いてきた言葉に過ぎない。
こうしてまたしても、黒峰銭丸は大破局のど真ん中で煙のように消え、残された者たちが苦い顔をして後片付けを始める。封印の遺跡がなかったことになり、周辺には負の残骸が転がるのみ。
死にも生にも振り回され、謎めいた力で毎回爆死から戻る銭丸の運命は、これでも変わらないまま――王都の住民は“どうせまた復活するのだろう”と呆れ半分で囁くばかり。魔王ですら味方につけられないという事実が、いっそう救いのなさを際立たせる結果になった。もはや、何をどうしても最後は爆死するのがこの男の永遠の定め……あるいは、次のひらめきへ進む切符なのかもしれない。




