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第96章「地底エネルギープラントで爆死!? 魂を燃やす下層の大動力」

 「山も川も雪山も駄目だった? いやいや、そんなの気にしちゃいられない。まだ“地底”という選択肢があるじゃねえか。そこで俺の新プロジェクト――**“地底エネルギープラント”**を作って、一気に世界を席巻してやる! え? 爆死ループ? もう卒業するに決まってるだろ!」



 幾度の爆死と炎上で荒れ果てた王都郊外。その黒く煤けた空き地に、例によって黒峰銭丸は現れた。後ろに控えるのは水無瀬ひかり、バルド、そしてメルティナ。この面子が集合している限り、また同じような“大破局”が訪れる気しかしないのだが、誰もが内心わかっていながら止められない。


 「地底エネルギープラントって……前にスラム発電だの廃材ボイラーだのやって、爆死したんですよね? あれよりもっと規模を拡大するんですか?」

 ひかりが書類を開きながら呆れを隠せないまま問うと、銭丸は得意げに笑う。


 「スラムの発電はただの試行錯誤だったろ? 今度は地底深くに眠る“魔脈”を直に取り出すんだよ。下層に潜れば潜るほど、魂の熱量だか地熱だかが高まってるらしい。そこをプラント化して、一気に街へ供給すれば大儲け間違いなしだ。もう爆死は勘弁だろ!」


 バルドは低くつぶやく。「いや、何回“もう爆死はない”と言って裏切られてると思ってるんだ……」

 メルティナも「地底に潜るのは、地盤崩落や有毒ガスもあるし、むしろ従来の火力や水力よりリスクが高いですよ。制御できるわけが……」と渋い表情を浮かべるが、銭丸は「細かいことを気にするな」と陽気に押し通す。



 こうして始動する“地底エネルギープラント計画”。狙いは王都付近の下層へ深く掘り進み、そこに存在する魔力の熱源を抽出し、大規模に発電&魔力供給を行うことだという。銭丸は闇金や裏ギルド、さらには冒険者ギルドの支援を仰ぎ、資金や人手を集めて巨大な掘削機や魔導パイプを準備。

 ひかりは「またか……」と思いつつも契約書の山を抱え、バルドが保安要員を率いて現場へ同行、メルティナが技術面の統括をやるという、いつもの布陣が繰り返される。


 実際に工事を始めると、地下には古いトンネルや自然の空洞がいくつも存在し、そこに魔力が充満している区画が見つかる。ただし、その空洞には怪しいガスが蔓延し、地底生物や魔物がはびこっていることも判明。バルドは護衛隊を展開し、メルティナが少しずつ浄化しながら進むが、余計にコストがかかるのは明らかだ。

 銭丸は「いいんだよ! そこにこそお宝が潜んでる。地底の魔力を吸い上げれば都市規模の発電が可能だ」とウキウキ。しかし、ひかりは「あちこちからドロやガスの報告が来てますけど……」と暗い顔をするばかり。



 工事終盤には、**“中央プラント”**と呼ばれる大きな魔導炉を地下深くに据え、そこから上層へパイプを伸ばす構成ができあがる。完成すれば、“深層から魔力と熱を吸い上げ、街へ供給する”という理想的なエネルギー源になるというのだが……。メルティナは「これ、負荷が高すぎる上に、あの魔力ガスを取り除けてない。もし圧が上がりすぎると……」と不吉な発言を繰り返す。

 銭丸は「まあ、多少のガスくらい大丈夫だろ。爆死なんかしないさ。むしろ安全装置が完璧だ!」と豪語するが、いつもと同じように不安感しか広がらない。


 オープン当日、地下プラントの入口には大勢の出資者やギルド関係者が集まり、銭丸がフロアで「さあ見ろ! 地底の力を吸い上げる夢の発電プラント、ここに誕生だ!」とアピール。バルドとひかりは「本当に大丈夫か……?」と緊張し、メルティナは最後の調整を必死に行う。

 最初のうちはそれなりに順調に稼働し、上層にある計器が「魔力電流が増加中」と表示。実際に街の一部に電力が送られ、驚いた住民が「おお、やるじゃないか」と期待を口にする。しかし、例によって内部には負の予兆が蓄積されていた。



 だんだんプラントの圧力計が急上昇し始め、メルティナが「ガスが紛れ込んでる。圧が異常に高い!」と叫ぶが、銭丸は「客も見てるんだ。今さら止めたら笑い者だろ!」と止める気なし。バルドが「制御室がヤバいことになってる」と走れば、現場では配管からガスがシューシュー漏れ、火花が飛ぶトラブルが起きている。

 それでも銭丸は上で「大丈夫です!」と宣言し続け、さらに出力を上げる愚行を選ぶ。結果、地下でガスと魔導炉が混ざり合って、いつものパターン――大暴走が本格化していく。


 最終段階で、プラント下層の**“魔力核”**が振動を始め、地震のように地面が揺れる。ひかりが悲鳴とともに「これ、地盤が崩れそう……」と叫び、バルドが緊急停止スイッチを探すが、そこに行くまでに爆風が轟く。プラントの魔導炉が耐え切れず弾けたのだ。

 銭丸は上階で最後まで「ああもう、なんでこうなる!?」と虚空に向かってわめくが、いつもの結末は容赦しない。大爆発が地底から突き上げるように発生し、床をまるで噴火のように破壊して火柱が巻き上がる。


 もちろん、あの恒例の台詞がこぼれる。「カ、カネは……裏切らない……女は……たまに……裏切る……。地底プラントは……爆死ッ……!!」

 すると凄まじい破砕音が響き、地下からの爆炎が上層設備までも連鎖的に燃え尽くし、会場ごと崩落する。あたり一面が土煙と火の粉で覆われ、見ていた客も悲鳴をあげて逃げ惑う。天井がガラガラと崩れ落ち、パイプや金属が空中を舞い、あっという間に施設が廃墟と化す。



 翌朝、救助隊がようやく地底プラント跡へ入り込んでも、そこには巨大なクレーターとゴツゴツした焼けた残骸が残るだけ。もはやプラントの形跡すらわからないほど崩壊しており、銭丸の死体など見つからないのはいつも通りだ。被害だけが山積みで、王都や出資者がショックで立ち尽くす。

 「また派手にやってくれたな……。あの男は本当に死んだか?」という会話さえ、もはや定番。何度言っても結果は同じだからだ。

 こうして“魔力ガスを吸い上げて街に貢献”という壮大なエネルギープロジェクトも、実施初日で潰えてしまった。あれほど銭丸が息巻いても、最後にはやはり大爆発へ落ちる運命。もはや輪廻か因果か、誰も止められない破滅の連鎖に、王都の人々は力なく苦笑する。


 結局、黒峰銭丸が何をやっても最終的に周囲を巻き込む爆死が待っている――これは今回も例外にならず、“地底”という夢も灰と化す。毎度似たような惨劇を見せられる王都の人々は、またしても「あーあ……」と肩を落とし、同じ台詞を交わす。「こんな衝撃で、さすがに助かるはずがないけど、あの男だし……」

 そう言う以外に対処のしようがないのが悲しくも愚かな現実。今日もまた、瓦礫と借金、焦げくさい香りだけが残り、ひかりやバルド、メルティナは呆然と空を見上げるばかりだった。輪廻を脱する兆しは、一向に見えないままなのだから。

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