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第86章「オールスター天変地異で爆死!? 輪廻の果てを覆す集大成」

 「八十数回の爆死を超え、愛も宇宙も神も竜も握ろうとしたが、どれも結局大崩壊だった……だがな、俺はまだ諦めちゃいない。これまでのすべての“やらかし”を一挙に融合すれば、この世界を塗り替えて“新世界”を創造できるんじゃないか? そうだ、過去の全プロジェクトを再結合して、いまこそ“最後の逆転”を起こすんだよ!」



 王都の一角で、これまで何度も炎に焼かれ、爆風に吹っ飛ばされてきた廃墟が、またしても謎の工事を始めている。その中心には懲りない男——黒峰銭丸。どれだけ大惨事を引き起こしてもなぜか生き延び、同じように新たな荒唐無稽なビジネスを企てては爆死するループを続けてきた人物だ。

 彼のそばには恒例の仲間たち、水無瀬ひかり、バルド、メルティナが揃い、皆が呆れと疲労を隠さずにただ見守っている。今回、銭丸が宣言したのは「オールスター天変地異」という謎のプロジェクト。過去のすべての計画——海底ビジネスや竜の秘境、神の玉座、宇宙樹、電脳空間、愛の帝国など、すべての要素を掛け合わせて、いまこそ“世界を新生”させようというのだ。


 「それ……要するに、これまで爆死を招いた装置や術式を全部まとめて、“新たな世界”を創るって話ですか? そんなことしたら、いろんな失敗要素が掛け合わさって、とんでもない終わり方しそうなんですけど」

 ひかりが書類をめくりながら、毎度のようにため息をつく。そこには星霊術、竜封印式、時空ゲート、神の玉座の残骸、愛の結晶に至るまで、過去の破滅を呼んだ要素が羅列されているのだから当然だ。

 しかし銭丸は自信満々。「過去にやらかしたものはみな失敗と見られてきたが、まとめて融合すれば“天変地異”を自在に操れるはずだ。海底大噴火でも時空崩壊でも、俺が手綱を握れば『最後に逆転』が可能なんだよ。何よりここまで何度も爆死を超えてきたんだ。次こそ、輪廻の果てを覆してやる!」


 バルドは「いつもそれを言いながら失敗してるんだよ」と苦笑し、メルティナが「“天変地異”を意図的に起こすなんて、世界規模の災害を呼びかねない」と渋い顔をするが、やはり銭丸の暴走は止まらない。かつてどこかで聞いたような台詞——“爆死などもう卒業だ”——をまた口にするので、三人とも「またそれか……」と心底疲れた表情を見せるばかり。



 こうして“オールスター天変地異計画”がスタートする。銭丸はまず、この廃墟地帯の地下に巨大な複合施設を建設し、過去の失敗プロジェクトで残った装置をすべて搬入する。海底事業で使った冷却装置、星霊術の炉、神の玉座の破片、電脳サーバーの残骸、精霊術式の断片まで、一切合切。

 さらに、“宇宙樹”から取り出された種の破片らしきものや、竜の秘境の結晶など、どこをどう手に入れたのか分からない怪しげな品も集結。バルドが思わず「これはまさに“爆死の博物館”だな……」とつぶやくほど、危険物のオンパレードだ。メルティナは数えきれないリストを作り、「衝突要素が多すぎる。絶対にまずい」と唇を噛む。


 それでも銭丸はやる気満々。「今度は俺がこの天変地異を起こし、同時に制御してみせるんだ」と豪語し、“世界を巻き込む大破壊”を演出しながらも、自分だけは生き延び、さらに何かの奇跡で世界を再生して“真のヒーロー”になろうという魂胆が見え隠れする。

 ひかりは「そんな都合のいい展開、あるわけない」と暗い顔で呟くが、周囲はいつものように準備を進めるしかない。借金や出資者たちは「今度こそ大逆転かもしれない」とわけもわからず乗り気になっている。



 やがて、すべての装置や術式が地下施設にレイアウトされ、一同はそのハイブリッド・コアを“天変地異結節点”と名づけた。起動すれば、世界中のエネルギーを引き寄せ、竜のブレス、星霊の衝突、神玉座の破片、電脳のデータ、愛と憎の感情、すべてを混ぜ合わせて一気に大規模破壊を起こす仕組みだが、銭丸の言い分では「最後に俺が制御して世界を救う。そうすれば大ヒーローになり、儲かる」とのこと。

 バルドが「毎回同じような事を言って、最後は自分が死んでるじゃないか」と苦言を呈すが、銭丸は「人生は挑戦だ」と笑って受け流す。メルティナは、過去最悪のカタストロフが起きると確信しつつも、装置の調整を余儀なくされる。


 いざ起動当日になると、ニュースを聞きつけた王都の冒険者やギルド関係者、さらには野次馬が大勢集まり、施設の外で見物する。まるで“爆死ショー”でも始まるかのように、誰もがどこか達観した目で待ち構えている。銭丸は懲りずに“歴史的大成功”を宣言し、テープカットならぬレバーを押し込んで、天変地異装置をスタートさせる。



 すると、予想どおり次々と不吉な兆候が現れ始める。まず、空が一瞬にして曇天になり、稲妻が地上に落ちる。続いて地面が揺れ、火柱が噴き出し、かと思えば海水が押し寄せるようなビジョンが施設の壁に映り、電脳ホログラムと現実の自然災害が融合したような狂気のシーンが展開される。

 メルティナのモニターには、「星霊ブレス」「竜の怒り」「神玉座の波動」「電脳崩壊」「愛と憎の逆流」など、過去に銭丸が引き起こした惨劇を再現する数値が並んでしまう。バルドは「これ、全部同時に発動してるじゃねえか……どうすんだよ!」と絶叫するが、銭丸は「あははは、これでいい! ここから俺が奇跡を起こして大成功だ!」と声を張り上げる。


 しかし、暴走は加速するばかり。地面が割れ、天に竜巻が舞い、竜か化け物か分からないものが頭をもたげ、電脳空間の映像が空に溶け込んで不気味な怪物を生み、さらに“愛の負の力”である嫉妬のオーラまで混じっている。もはやカオスを通り越した世界崩壊の縮図だ。

 王都の民衆は慌てて逃げ回り、外へ避難するが、それでもわざわざ見に来た酔狂な連中が携帯カメラ(魔導映像)を回して「これぞ銭丸クオリティ」と言い放つ。ひかりは顔面蒼白で「やっぱり……無理なんですよ。制御なんてできないんだから!」と必死に叫ぶ。



 決定的な破滅のカウントダウンが始まり、メインコアのエネルギーが振り切れて逆流しはじめる。アラート音がガンガンに鳴り響き、バルドの部下がどうにか避難を呼びかけるが、人々は半分パニックだ。銭丸はコントロールパネルを叩き、「おかしい、停止しろって!」と喚くが、そもそもこんな力をまとめて制御できるわけがない。

 最後の手段としていくつかの安全装置を試みるも、過去の装置を無理矢理繋いだ結果、配線もプログラムも支離滅裂。メルティナが「もう終わりだ……」と肩を落とし、バルドが「おい、ここを出るぞ!」と銭丸の腕を掴もうとするが、轟音とともにコアが白熱し、足元が吹き飛ばされて3人とも宙へ放り出される。


 最後に銭丸は、すべてを悟ったようにいつもの言葉を紡ぐ。「カ、カネは……裏切らない……女は……たまに……裏切る……。オールスター天変地異は……爆死ッ……!!」

 強烈な爆心が施設もろともすべてを呑み込み、空を割るような超大爆発を引き起こす。火柱や落雷、巨大な魔物の輪郭、闇や光が混じった閃光が同時に発生し、まるで世界が終わるかのような破滅シーンが瞬時に広がる。王都の一部が震撼し、衝撃波で建物がガタガタと揺れ、例によって跡形もなく破壊されてしまう。



 翌朝、そこには例の通り、クレーターと焼け焦げた地面、半融解した魔導機器の残骸が残り、並み居る野次馬たちは「あれだけ大掛かりだったんだ、さすがにもう……」と口を揃える。しかし、何度同じ言葉を繰り返してきたことか。

 「銭丸はさすがに死んだだろう」「でも、あの男だからな……」という苦い会話が繰り返されるのもいつものことで、みなもう“やっぱり”と半ば諦め顔だ。これだけの大破壊を繰り返しながらも、いつの日かまたふっと姿を現しては超無謀なビジネスを打ち立てるかもしれない。そんな輪廻を抜ける術が見当たらないのが現実である。


 こうして、過去すべての“天変地異”を掛け合わせて世界を新生しようとした銭丸の最終(?)プロジェクトも、やはりいつも通り最期は爆死に沈む。その壮大な破滅ぶりは、王都の記録にも残るほど強烈で、これ以上の大災厄はもうないだろうと人々は口にする。

 だが、結局何度聞いただろうか——「今度こそ本当に死んだ」「もう復活はない」という台詞を。しかし、あの男が再び帰ってくるやもしれないと思わずにはいられない。輪廻の果てすら覆えなかった“オールスター天変地異”の大爆発を経て、人々が学んだのは“死なないのは爆死のほう”かもしれないという皮肉ばかり。結局、黒峰銭丸の“爆死”は終わらない——たとえ世界が何度崩れても、そのループは止まらないのだと、人々はまた小さく苦笑するしかなかった。

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