第87章「禁呪の宝庫で爆死!? 知識を求めた狂宴の終幕」
「毎回、神や竜、星や愛に挑んで爆死を繰り返してきたが、ここにきて思ったんだ。結局、全部足りなかったのは“知識”……いや“知識の深奥”だろう? 最強の術や仕掛けをバラバラに集めたって、真の理に到達しなきゃ爆死の輪廻は止まらないってわけだ。だから俺は今回、“禁呪の宝庫”を開拓する! そこに眠るあらゆる秘術を手に入れて、今度こそ爆死の呪縛から卒業するんだよ!」
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王都の外れ。廃墟と化した空き地で、黒峰銭丸がまたしても派手な身振りで計画をまくし立てている。並んでいるのは相変わらずの仲間たち、水無瀬ひかり、バルド、メルティナ。すでに「何度同じ終わりを見たか分からない」というほど爆死の惨劇を目撃してきた彼らだが、今回の銭丸の言動もまるで懲りていない。
「禁呪の宝庫って、伝承で“人間が触れてはならない古代の魔法書が集まる場所”とか、“大破壊を呼ぶ呪いばかり詰まっている”と言われてるところですよね?」
ひかりが書類をめくりながら問いかける。銭丸はうなずき、悪びれずに笑う。
「そうだよ。だが、それを逆に利用すれば、一気に“最終知識”を手に入れられると思わないか? おかげで爆死の連鎖も止められるし、ついでにその秘術を使って大儲けできるはずだ。とことん突き抜ければこそ、成功を掴めるんだろ?」
バルドは眉をひそめ、「前に“世界の知識を全部集める”とかやって爆死しましたよね……」と低く苦言するが、銭丸は「今回は‘禁呪’だ。格が違う」と押し通す。メルティナは「そうやって特殊な魔法に手を出しては爆死のトリガーを引いてるんですよ……」とうんざりするが、もう止める術はない。
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こうして「禁呪の宝庫プロジェクト」が動き出す。銭丸の狙いは、王都から馬車で数日の距離にある“封印の塔”と呼ばれる古代施設に向かい、その最深部にあるとされる書庫を開放すること。そこには古代魔導士たちが集めた無数の禁呪——国を滅ぼす力や邪神の召喚術、魂逆転の術式など、恐ろしい術が山ほど封印されているらしい。
銭丸は闇ギルドと交渉して資金を用意し、バルドが警備隊をまとめ、メルティナが封印の情報を調べる。ひかりは「封印を解いてどうするんです? 危険すぎるじゃないですか」と嘆くが、彼は「そこから全部吸収して、最後に俺が完全な知恵を得るんだよ。爆死のループを抜けるにふさわしい結末だろ?」と自信満々。
まさしく過去に見たような状況が再現されるが、バルドとメルティナは「もはや運命かもしれない」と苦い顔を見合わせるしかない。
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現地へ向かった一行は、封印の塔へ足を踏み入れる。古びた外観の塔だが、内部は複雑な魔力の封印が何重にも張り巡らされ、人の立ち入りを阻んできたのが見て取れる。バルドが護衛しながら層を登り、メルティナが封印を一つずつ解除していく。
最初のうちは簡易な呪文陣を解くだけだったが、上のフロアに進むと強力な結界が襲いかかり、炎や氷、幻覚などさまざまな罠が次々と作動。バルドが剣を振るい、メルティナが魔法で応戦する中、銭丸は後ろから急かす形。「早く宝庫まで行くんだ。途中で爆死するなよ!」と笑うが、その台詞が最もフラグ感満載なのはいつものお約束だ。
やがて塔の最上階へ到達し、中央に巨大な扉がそびえる空間を見つける。そこが“禁呪の宝庫”への入り口らしく、何重にも施錠され、古代文字が浮かび上がる。ひかりが「ここを本当に開けちゃうんですか? 大惨事の予感しかしないですけど……」と震える声を出しても、銭丸は「ああ、開ける。ここに世界を変える鍵があるんだからな」と突き進む。
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封印解除の仕上げをメルティナが行い、扉がゆっくりと開かれると、中には驚くほど広大な書庫が並んでいた。棚の中に詰め込まれた巻物や魔道書、その隅には実験道具や魔獣の遺骸まで混在している。まるで人智を超えた闇の知識があふれているのが、空気だけで伝わってくる。
それを見た銭丸は大興奮で駆け寄る。「これが全部あれば、もう爆死なんてちっぽけな問題にできるぞ。さあ、吸収させてもらうぜ!」と鼻息荒く、本や道具を手当たり次第に開こうとする。バルドが「不用意に触れるな!」と制止するが、もはや止まらない。
結果はいつも通り大惨事に直結する。いくつもの禁書を同時に開けば互いの術式が干渉し、古代神や悪魔の刻印が湧き出して本気で命を狙ってくるケースもある。メルティナが「せめて一つずつ慎重に読み解いて」と言っても、銭丸は「時間がもったいない」と一蹴。結局は、書を開くたびに炎が巻き上がり、無数の魔物が半実体化して、本棚が弾け飛ぶ状態になってしまう。
扉を開いたままにしているせいで、塔全体に呪波が広がり、下層で待機していた作業員たちが次々に倒れる。バルドがやっとの思いで上階に駆けつけ、銭丸を無理やり止めようとするが、あちこちで呪術が暴走して封印がまた新たに爆発的に破られ、まるで連鎖反応のように書庫が混沌に陥る。
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ついに書庫の中央部で大きな魔法陣が浮かび上がり、禁書が何冊も宙に舞ってはページを勝手にめくり、呪文を唱え始める。古代語が響き渡り、あたかも意志を持った魔法陣が空間を呑み込もうとしているかのようだ。メルティナが「これはやばい……世界そのものを壊しかねない規模」と声を上げるが、銭丸は半狂乱で「何とかしろ!」と絶叫する。
しかし、その魔法陣は人間をすでに見ておらず、ただ破壊と混沌を求めるように膨張を続ける。辺りに暗い光がじわじわと湧き、棚や床を浸食しながら、まるで生き物が首をもたげるような動きで天井に触れ、塔全体を揺るがす。
ひかりが「これ、また爆死の匂いしかしない……」と涙目で呟けば、バルドも無力感に呆れたような顔で首を振る。メルティナが最後の足掻きで封印再構築を試みるが、もはや力が大きすぎてはじかれ続ける。銭丸は「ふざけるな、そんなに死ぬかよ……!」と叫ぶが、いつもの自信は完全に空回りだ。
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最後、書庫の奥から巨大な影が現れ、古代の神か悪魔か——あるいはその複数が混じったかのような不気味な存在が姿を見せる。幾多の呪術が積み重なった結果、実体化してしまったのだろう。化け物じみた人型が塔をぶち破りながら立ち上がり、怒りと狂気の眼差しで人間を眺める。
この時点で銭丸は震えながら、それでも「こんな……こんな終わり、認めない……爆死を超えるんだ!」と足掻き続けるが、既に間に合わない。化け物が息を吹きかけるだけで床が砕け、柱が倒れ、本が燃えてあらゆるものが粉々に。バルドが咄嗟に盾を上げるが吹き飛ばされ、メルティナが放った魔法は届かず、ひかりが祈るしかない状態に。
最後の定番——銭丸のいつものセリフが響き渡る。「カ、カネは……裏切らない……女は……たまに……裏切る……。禁呪の宝庫は……爆死ッ……!!」
叫んだ途端、化け物が狂乱の咆哮を上げ、塔の上階全体が猛炎と暗黒の混合エネルギーで爆発。凄まじい衝撃で床も壁も吹き飛び、ひかりたちが弾き飛ばされるのが見えつつ、銭丸は爆心地に呑み込まれて姿を消す。書庫や封印の扉もろとも大破壊が起こり、炎と崩落が塔を全壊させてしまう。
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翌朝、現場はまたもや廃墟。崩落した塔の瓦礫がただ山を成し、そこから時折魔力の名残が立ち上がるが、もはや何が封印されていたかすら判別不能なほどである。言うまでもなく、銭丸の姿はどこにもない。
王都の人々は「見ろよ、今回も派手に爆死してくれたな」「あれだけの禁書を乱雑に扱ったら当然だ」といつもの絶望を嘲笑まじりで語るが、一方で「どうせまた戻ってくるかも?」と半ば諦観している。
こうして、“最後の知識”を狙って開いた禁呪の宝庫もまた、黒峰銭丸の壮大な狂想の巻き添えを食らい、一夜にして大爆破で消えていく。もしかすると世界を滅ぼしかねない危険が起きる前に爆死で止まったともいえるが、それで喜ぶ余地はない。いつまでたっても同じオチの繰り返しだからだ。
この結末すら越えて、彼が再び“もっと無茶な企画”で戻ってくるのかどうか。普通ならありえないが、銭丸の爆死が何度も不可能を覆してきた以上、「もしかすると……」という疑念を誰も否定できない。
輪廻を超えるどころか、ひたすら爆死し続ける不条理が、またひとつ積み重なる形になった。王都の人々が「もう勘弁してくれ……」とため息をついて終わるのが、黒峰銭丸という男の物語の恒例だ。結局、次のビジョンも何かどこかで練られているのかもしれない——そんな不気味な予感だけが、焼け落ちた禁呪の宝庫跡に漂うばかりだった。




