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第81章「星々の城で爆死!? 宇宙統合の顛末」

 「神の玉座まで狙ったが、あえなく玉座そのものに拒絶されて爆死してしまった……と、皆は思っているかもしれない。だが、そんなことじゃ俺は終わらないさ。今度こそ“この世界”だけじゃなく“宇宙全体”を一つにまとめて、大いなる統合王になるんだよ!」



 王都郊外の荒れ地で、またしても黒峰銭丸が豪語していた。何度爆死してもなぜかしれっと姿を現し、さらに大きな企みを口にするのがいつものパターン。いつもの仲間、水無瀬ひかり、バルド、メルティナも、もはや彼の言動に驚きはしないが、今回ばかりは大きすぎる規模に唖然としている。今度は「星々の城」を建てて宇宙全体を統合しようなどという、とんでもない新計画らしい。


 「宇宙の星々をまとめるって……どういうことなんですか? 前にブラックホール観光だの月面だので爆死しておきながら、さらに宇宙を統一なんてあり得ます? どう考えても無理でしょう」

 ひかりが書類を見ながら力なく言うが、銭丸は胸を張って答える。

 「星の力を結集すれば、この世界だけでなく、あちこちに浮かぶ恒星や惑星をひとまとめに“ひとつの大帝国”を作れるって話さ。魔導研究所が最近“星霊召喚”の理論を確立したそうだし、それを応用すれば星のエネルギーと空間ごと全部取り込み、“星々の城”を造れるはず。もう爆死なんて言葉からは卒業だ!」


 バルドは横から「聞いたこともない話だぞ……星霊召喚なんて、下手をすれば星そのものが落ちてくるとか大災害につながりかねない」と疑念を口にするが、銭丸はむしろ興奮を増す一方。メルティナが「星の制御は神の領域に近い。やるなら心してかからないと……」と慎重になるよう促しても、銭丸は「儲けられるならやるしかないさ!」と高笑いするばかりだった。



 こうして「星々の城プロジェクト」が一気に動き始める。銭丸は資金をかき集め、王都の端に巨大な“星霊陣”を刻んだ広場を設営。そしてそこに“星の門”を建設し、数々の魔導具を組み上げて、「空に散らばる星々を呼び寄せ、その力を一極集中させる」と公言した。これを聞いたメルティナは汗をかきながらも仕方なく協力し、バルドが警備と危険対策を準備。ひかりはいつものように「大丈夫か?」と頭を抱えながら書類を整理している。

 やがて、中央広場に大きな円形の石壇が築かれ、そこへ強力な魔導石と精霊の媒体を設置する形で“星霊陣”が描かれた。見た目は壮麗で、まるで天に伸びる祭壇のような仕掛けだ。星夜になるとそこから光が立ち上り、遠くからも見えるほどの派手さで人々を驚かせるが、危険な香りが同時に漂っているのはいつものパターンだった。



 最初のうちは、小さな星の欠片――流星や微小な宇宙岩を呼び寄せる実験が行われる。これはある程度うまくいき、夜空からキラキラした石や鉱石が降ってきて、見物人を沸かせた。銭丸は「ほらな、儲かるじゃないか。星の破片が希少鉱物になり、高値で売れる」と胸を張る。

 一方、メルティナがせめて“星霊”の怒りを買わないよう、定期的に供物や儀式を行っているが、それを軽視する銭丸は「そんなの形だけだろ?」と手抜きをしたがる。加えて貴族や闇商人が「もっと大きな星を呼び寄せろ」と言い出し、見境なく要求を突き付ける。バルドは「これ、やりすぎると空から落ちてくるものが巨大化して街を破壊しないか?」と懸念するが、銭丸は相変わらず「爆死なんてもう終わりだ」と笑う。


 そして、やがて“星霊陣”にさらなる魔力を注いで一気に拡張する段階へ移る。銭丸は「星々のパワーを取り込み、“城”を具現化すれば、そこへ人を住まわせて宇宙規模の貿易を行える」と壮大な計画をぶち上げる。ひかりやメルティナが「空に浮かぶわけでもないのに、“星々の城”ってどういう構造を想定しているんですか?」と問うが、銭丸のビジョンは曖昧で、「いずれ天まで伸びるかもしれないだろ?」と根拠のない自信に満ちている。



 案の定、過剰な魔力注入が齟齬を起こし始める。夜になると星霊陣が青白く震え、上空に巨大なうず巻くような光輪が浮かび、地面が唸りを上げる。メルティナが機器を見て「もうこれ以上出力を上げると制御不能だ」と告げるが、銭丸は「客が待ってるんだ。大規模な星の力を呼び出して“一晩で城を出現させ”るショーをやらないと儲からない!」と強硬を貫く。

 バルドが星陣周囲の警備をさらに固めるが、実験が始まると同時に異常振動が広場全体を襲い、光輪から流星が立て続けに舞い降り始める。最初こそ小さな石の輝きだったが、やがて次々と大きさを増し、ついには建築物ほどの隕石が落ちてくる寸前まで膨れあがる。客たちが悲鳴を上げ、そこらへんで火の粉が飛んでパニックに——それでも銭丸は「あと一歩だ、城が完成する!」とブレーキを踏まない。



 そして最後の限界が訪れる。星霊陣が赤い火花をまき散らしながら暴走し、広場中央で結界が破れたのか巨大な星塵の竜巻が生まれる。そこから“星の化身”らしき謎の存在が現れ、人間をなぎ倒す形で力を振るう。バルドが一撃試みるが、相手は空気を切り裂くような光刃を放ち、メルティナは魔法で防御するも歯が立たない。

 銭丸は星霊陣の中心で顔を青ざめ、「こんなバカな……計算じゃ星々の力を城として固めるはずだったのに!」と叫ぶが、もうどうしようもない。化身が天空へ向けて咆哮し、ドドドッという地響きとともに天から無数の光の破片が降り注ぐ。周囲の建築は砕け散り、客や作業員が絶叫しながら逃げ惑う。


 最終的に星霊陣が崩壊し、地面の裂け目から大量の光と火炎が噴き出し、転移石や魔導具も次々に誘爆。いつものように銭丸は最後まで足掻くが、結局は豪快な爆発に巻き込まれて宙へ舞わされる。

 「カ、カネは……裏切らない……女は……たまに……裏切る……。星々の城は……爆死ッ……!!」



 悲壮な断末魔とともにドカンと大爆発が起き、周辺数百メートルの広場もろとも火柱が高くそびえ、空まで届かんばかりの閃光に呑み込まれる。星の化身も巻き込まれながら崩れ、飛び散る流星の破片が上から降り注いで街の一部を焦がす。

 翌朝、焦げ跡しか残らない現場には大きなクレーターが形成され、多くの犠牲者と破損した魔導機器が散乱しているが、やはり銭丸本人は見当たらない。「さすがに今回はもう無理だろう……」と人々が言いながら、もはや何度目かわからない“爆死”の結末に苦笑するばかり。


 こうして“星々の力を集め、城を作って宇宙規模の支配を狙う”という野望も、いつもどおり巨大な自爆劇で潰えた。王都の住民は「最初から分かってた」と肩をすくめ、出資者はまた大損害を抱える。あれだけの隕石混じりの大爆発に巻き込まれたら助かるわけがないが、それでも「またかよ……」とぼやく声が絶えない。

 結局、どの領域を狙おうと、どんな未知の力を使おうと、黒峰銭丸の企みは最後に“爆死”というお約束を呼び寄せるらしい。この長きにわたる連続爆死伝説が続くなか、果たして本当に終わる瞬間は訪れるのか? 星々の城の跡に広がる廃墟を見て、皆が同じ疑問を抱きながら、また呆れと疲労を重ねるだけだった。

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