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第47章「竜族の山脈開発で爆死!? 鉱山と巣の大バトル」

 「大陸各地に鉱山はあるけど、あの竜族が棲む山脈の地下には、もっと豊富なレアメタルや宝石が埋まってるらしいんだよ。そこを開発できれば、一攫千金じゃないか?」


 黒峰銭丸は王都の資料室で地図を広げ、いつものように得意げに言った。毎度のことだが、相棒の水無瀬ひかりは深い溜息をついている。竜族が住む山脈といえば、危険極まりないエリアとして有名で、誰も本格的に鉱山開発を仕掛けようとしなかった場所だ。


「そこに手を出すなんて……普通なら竜族に焼かれて終わるって考えません? 本当に大丈夫なんですか?」


「竜族って言っても全部が凶暴じゃないらしいぞ。上手く交渉すれば共存だってできるはずだろ? そしたら、山脈の資源を掘り放題、稼ぎ放題じゃないか!」



 こうして銭丸は、複数の商人や冒険者ギルドから出資を取り付け、**「竜族の山脈開発プロジェクト」**を打ち立てる。狙いは山脈内部に眠る高純度の鉱石や希少宝石で、どれも大陸随一の価値があると噂されていた。バルドは護衛および工事隊の指揮、メルティナは未知の鉱脈調査と坑道での魔導器設置を担当。ひかりはやはり契約書や資金を管理する。


「これがもし実現すれば、どの国も欲しがる鉱石を独占できる。あんたが言うには、竜族と共存して山を分け合う構想なんですよね?」


「そう。竜族を全面的に敵に回す気はないさ。むしろ彼らにも利益を分配して、鉱石の採掘権を共有する形にしたいんだよ!」


「それ、竜族が応じてくれるかどうか……」



 開発隊が山脈の麓に拠点を築き始める。何年も前に何者かが作った小さな鉱山跡があり、それを足掛かりにして本格的に坑道を掘り進め、周囲に作業場や宿泊施設を整備するという段取りだ。竜族と交渉するために使者を出そうとするが、これまで接触事例が少なく、どこに行けば竜族長老と会えるのかも分からない。

 バルドは隊の警護に徹し、メルティナが鉱脈の簡易調査を進める。ひかりは「どこまで進んだか」を日々記録し、銭丸は竜族との交渉方法を模索する。


「まあ、森の奥や山頂付近に竜族の巣があるらしいが、無闇に近づくと焼かれるかもしれん」


「危険すぎますよ……。でも、交渉しないと彼らが『勝手に山を掘るなんて』って怒り出しますよ」


「そこだよな。上手いことタイミングを図って会いたいんだが……」



 開発が進むにつれ、山の一部坑道から希少鉱石が実際に採取され、商人たちは歓喜する。銭丸は「見ろ、やっぱり大当たりだ」と胸を張り、現場の作業員に発破(爆薬)を使った本格的な採掘を指示。ひかりは「竜族への影響は?」と心配するが、彼は「大丈夫、山脈は広いし爆発の音ぐらいで彼らが起きるわけない」と言い切る。


「本当に……。過去の爆死歴が頭をよぎりますけど」


「言うなって。今回は慎重にやってるから!」



 しかし、案の定、爆薬を使った採掘が山脈全体に響く振動をもたらし、ほどなくして「竜族が怒っているらしい」という噂が作業員の間で飛び交うようになる。実際、夜間に遠くの山頂付近で轟音が轟き、火のような光が見えたと言う者も。

 バルドは工事隊を引き締めて警戒させるが、手遅れ感が出始める。メルティナが「せめて爆薬の使用量を減らそう」と言うが、銭丸は「採掘スピードが落ちて儲けが下がる」と渋る。


「竜族と交渉するまでは、大きな発破は自粛したらどうです? 衝突になったらまずいですよ」


「わかった、そこそこ自粛する……ただし工期を遅らせるわけにもいかないからな」



 そんな折、山脈の高地から竜族の斥候らしき姿が確認される。大柄な人型の竜人や小さな竜が、空を舞って開発拠点を見下ろしている。バルドが旗を振って「友好」を示そうとするが、相手は無言で旋回し、すぐに姿を消す。どうにも一方的に偵察されている様子だ。

 銭丸は「でも攻撃してこないなら、交渉できる可能性があるはずだ」と希望的観測を語り、「よし、もう少しだけ採掘を進めて、成果を見せてから交渉しよう」となり、結局爆薬を使った本格掘削を再開してしまう。


「いや、だからそれが挑発になるかもしれないって……」


「ふん、大丈夫さ」



 そしてある夜、拠点の周辺で空気が張り詰めたような感覚が起き、上空を大きな竜が群れて飛び回るのが確認される。明らかに大量のドラゴンや竜人が動員されている雰囲気だ。作業員たちが怯え始め、バルドが警備を厳重にするが、どうしようもなく不安が募る。

 メルティナが緊急に「交渉の場を作りましょう!」と提案し、銭丸が急ぎ旗を持って山の中腹へ向かおうとするが、その前に――


ゴォォォッ……!


 上空から強烈な火炎ブレスが降り注ぎ、拠点の建物が一瞬で火に包まれる。竜族の本格的な攻撃が始まったのだ。



 真夜中の闇を裂くように、複数のドラゴンが火炎を浴びせ、整備されたばかりの道やテントが次々と燃え上がる。地上を走る竜人の戦士たちも、槍や魔法で設備を破壊。坑道口が崩され、資材倉庫には火矢が打ち込まれる。大パニックで銭丸が「待ってくれ!」と叫ぶが、誰も聞く耳を持たない。


「もうダメだ……こんな勢いで来られたらどうにもならん!」


「とにかく避難を! バルド、メルティナ、みんなを安全な場所へ!」


 ひかりが声を張り上げるが、飛び回るドラゴンが爆薬庫に火を放ち、ドォンという連続爆発が拠点を揺るがす。そこから火柱が立ち、連鎖的に近くの施設も吹き飛ぶ地獄絵図が展開される。



 銭丸は火と土煙の中を逃げ惑い、燃え上がる坑道の入り口で足を取られて転倒する。上空では竜の咆哮が鳴り響き、さらに大きな火炎が地面を焼き尽くす。

 数メートル先に落ちた爆薬箱が誘爆を起こし、銭丸は吹き飛ばされながらいつものように絶叫する。


「カ、カネは……裏切らない……女は……たまに……裏切る……。竜族の山脈開発は……爆死ッ……!!」


 彼の言葉が悲鳴と爆発音にかき消され、次の瞬間、上空から特大の火炎ブレスが降り注ぎ、周囲の建物や地面を一気に溶かす勢いで襲う。銭丸は灼熱の爆風に包まれ、もう何も見えなくなる。



 翌朝、山脈の麓にあった開発拠点は広範囲が灰と化していた。建築物は跡形もなく焼失し、採掘坑道も入り口が崩れて埋まり、一部が崖崩れで消滅。大勢の作業員は逃げ帰り、出資者は大損害を抱えて頭を抱える。

 竜族は詳しい事情を明かさず、ただ「ここは我らの聖域だ。今後一切近づくな」と警告を残したらしい。もちろん、黒峰銭丸の姿はなく、あれだけの火炎に巻き込まれたら死んで当然と誰もが思うが、過去の例からまだ安心できないという曖昧な空気が残る。

 こうして、鉱山開発による巨利を求めた壮大な企ては、わずかな抵抗を見せる間もなく竜族の怒りで押し流されて終わった。人々は「あの男が関わると最後は火柱だ」と呆れ、山脈の麓で崩れ去った拠点を呆然と眺めるしかなかった――爆死の残骸は、どこまでも銭丸の後を追うように広がっているようである。

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