これからのことを考える
「ローゼル……っていうかハイビスカスのお茶だよ。クッキーが甘いからさ」
クッキーを口に含むと、蜂蜜の風味がした。
甘いとすっぱさ。二つの味を交互に楽しむ。
「師匠もこっちの世界の人が魔法を使って、魔法の世界に来るのは歓迎だって」
ひとしきり楽しんでいると、パッキーちゃんがさっきの話の続きをする。
「昔みたいに行き来するために師匠もレイ姉さんも忙しいみたいだし」
「魔法使うのって大変なの?」
「うん。まず弟子入りして、見習いになって魔法教えてもらってそれから」
「すぐ使えるものとばっかり」
「レイ姉さんだってまだ見習いだし、先は長いよ」
パッキーちゃんは懐かしそうな眼をして話す。
「レイさんってどんな人なの」
「家のすぐ近くに住んでいた年上の人でね。私の目標なんだ」
「そっか。私のお姉ちゃんみたいなものか」
お姉ちゃんの意味が違っていたことに気が付いて、ひとしきり笑いあう。
「あれ?ひょっとして私が本格的に魔法学びたいって言ったら……」
「たぶん師匠に弟子入りして妹弟子になったと思う」
パッキーちゃんは大きく伸びをする。
「それで安心したんだ」
「だって、めんどくさいんだもん。上下関係とかさ」
わかる、と頷いて部活の先輩からあれこれ教わったことを思い出す。
「魚食べようよとかの会話って苦手なのよね」
天文部の合宿で出された魚料理はパッキーちゃんにあげた。
「お魚は苦手なの!」
「お寿司は?」
「お寿司は別だよ」
「これからはアユに脂が乗るって師匠から聞いてさ、一緒に食べようよ」
「骨多いじゃん、アユ」
話が変わり、秋の魚から野菜や果物、旬についての話題になっていく。
(魔法の世界に行けたら。そのあと何をしようかな)
会話を終え、クッキーの甘さをお茶で中和しながら、先のことを考えてみた。




