【2-11】 洞窟の庭
洞窟の入り口から外を覗いてみると……。今日は、良い天気みたいだな。
ドラゴンって洞窟の中でじっとしてるようなイメージがあるけど、何もない洞窟の中で一日中ゴロゴロしてるのもさすがに退屈だ。ちょっと外に出てみるか。
洞窟の前には、草に覆われた広場がある。けっこう広い。
これ、普通の家で言えば庭だよな。この洞窟、庭付き一戸建て物件なのか。
洞窟の入り口に座って、のんびり外を眺めてみた。
広場の向こうには、森の斜面が広がる。多少の凸凹はあるにしても、全体としては緩い下り斜面が、かなり遠くまで続いている。
地形がなだらかなので見た目はあまり感じないけど、こうして見るとこの洞窟、平地に比べると標高はかなり高いんだろうな。
そして、その斜面を下りきったあたりに広がるのが、城壁に囲まれた大きな町。石なのかレンガなのか、白っぽい建物と深い緑の森との鮮やかな対比が美しい。
屋根に高い塔がある建物がいくつか見える。それらの塔の中には、鐘が設置されているらしい。洞窟の中にいても時々鐘の音が聞こえてくるんだけど、時報みたいなものかな。
町の向こうにも、森に覆われた丘がさらに続く。
なかなか雄大な眺めだな。これなら、タワーマンションにだって負けない……かもしれない。
広場のほぼ真ん中、入り口のすぐそばに、大きな岩がある。上がたいらになってて、いかにも登ってみろと言ってるような。庭のテラスかな?
登ってみると……、あ、展望台みたいでいい感じ。まあ、地面から数メートル高くなっただけなので、実際には眺めはたいして変わらないけど。
岩の上で寝転んでみると……、あー、暖かくていい感じ。ここは、天気が良い日の昼寝場所に決定だな。
ところで、お腹すいたな。
太陽の高さから見て、そろそろ昼ごろのはず。昼食にするか。
せっかくだから、昼食はこの岩から岩ミルクを出してみよう。これって人間で言えば、「庭のテラスにテーブルを出して昼食を」みたいな? あ、ちょっとお洒落かも。
夕食なら、庭でバーベキューパーティーだな。ぼくだけしかいないので、パーティーは変かもしれないけど。




