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【2-10】 洞窟の朝

 薄目を開ける。

 ……ん、朝か。

 なんか、空が薄暗いな。雨が降りそうなのかな?

 もう少し、目を開く。

 ああ、そうか。ここは草原ではなく、洞窟の中だった。薄暗いのは、頭上にあるのが空ではなく洞窟の天井だからか。


 さて、とりあえず水でも飲みたいな……と見回してみて……。

 ああ、そうだった。洞窟の中を、水が流れてるんだったな。

 寝転んだままで首を伸ばすと……、余裕で口が水面に届いた。おお、首を伸ばすだけで、寝床から立ち上がることすらなく水が飲めるぞ。実に快適だな、この洞窟。


 では、朝食にするか。

 ぼくが寝転んでいる洞窟の床も、すぐ横にある洞窟の壁も、全部が岩。つまり、舐めればどこからでも岩ミルクが出て来る。首を少し動かすだけで、寝床から立ち上がることすらなく食事までできてしまうのか。とんでもなく快適だな、この洞窟。


 いくらドラゴンでも、さすがにそれは酷すぎる気がする。ここは自主規制して、食事はちゃんと起きて食べることにしよう。

 寝床から起きて、洞窟の真ん中に立って周囲を見回す。

 さて、どの岩にしよう。うーん、岩がたくさんあって迷ってしまうな。いや、たくさんどころでは済まないな。洞窟の中では、どっちを向いても全方向が岩だ。

 そうか。岩から食べ物を取り出せるぼくにとって、前後左右上下すべてを岩に囲まれた洞窟の中は、世界て一番たくさん食べ物がある場所ということになるわけか。


 ドラゴンって、なんとなく洞窟で暮らしているイメージがあるよな。なんでわざわざ何もない洞窟で暮らすのかと思ってたけど、ちゃんと理由があったんだな。むしろ、洞窟の中こそが、ドラゴンにとってもっとも暮らしやすい場所だったのか。


 とりあえず洞窟の壁で適当に朝食を済ませて、これからどうしよう? 今までならそろそろ移動を始めるところなんだけど、定住することを決めてしまったので、もう移動する必要はないしなあ。

 ……移動の必要がなくなったんだから、その分のんびりするか。寝床に戻って、もう一度寝転んでみた。

 あー、やっぱり、誰にも邪魔されずにゴロゴロできる場所っていいな。

 いや、どこでゴロゴロしていたって、ドラゴンが誰かに邪魔をされることなんてあり得ないとは思うけど。それでもやっぱり、誰にも見られる心配のない場所は落ち着く。

 良い家が見つかってよかったなあ。

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