表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/116

【2-09】 洞窟の夜

 洞窟内をあちこち調べて回ってたら、いつの間にか暗くなっていた。

 そろそろ夜かな? 窓がなくて外の様子がわからないのが、洞窟の難点だな。

 首を伸ばして入り口から外を覗くと、少し空が見えた。あ、もう星が出てる時間か。


 洞窟で過ごす、初めての夜。

 もう、森の中で寝るのに完全に慣れたぼくには、今さら洞窟で寝るくらいで特別な感想はない。むしろ、普通に部屋の中にいるのに近い感覚で、森の中で寝るよりも落ち着く。

 少し暗いけど、もし何かいれば、たとえ岩のむこうに隠れていても、ドラゴンは気配で全部わかるからな。暗闇や狭い場所を恐れる必要は何もない。


 というか、そもそも暗闇ではない。

 さすがに夜の洞窟の中となると、ドラゴンの目でも昼間のようにとはいかないらしい。ドラゴンになって以来初めて、本気で暗いと感じたような気がする。

 でも、それでも一応、周囲の様子はちゃんと見えてる。岩だらけで凸凹の洞窟の中を、何の不安もなく歩き回れるくらいには。


 寝る前に、少し洞窟の入り口まで行って、外の様子を眺めてみた。

 外の景色は、ドラゴンの目では昼間とたいして変わらない。少し薄暗いのと、空が暗くて星が出てるだけて……。

 あ、もうひとつ違う点が。例の大きな町は、洞窟の入り口からちょうど真正面に見える。その町に、明かりがついていた。

 まだ電気はないだろうから、たぶん炉とかランプの明かりなんだろう。正直言って、あまり明るくはない。ドラゴンの目ではもともと景色全体が明るいこともあって、夜景としてはいまいち映えないな。

『黒いビロードの上に宝石を散りばめたような』みたいな感じの夜景は、ドラゴンは見ることができないわけか。まあ、仕方ないけど。


 さて、特にすることもないし、そろそろ寝るか。

 どこで寝ようかなあ。洞窟の中なんて、どこで寝てもたいして変わらないとは思うけど。

 天然の洞窟だから床が完全に平らな場所なんてないけど、なるべく凸凹の少ない場所の方が寝心地はいいはず。改めて見回してみると、洞窟の床には途中に小さな段差があって、奥側の3分の1くらいが少し台状に高くなっている。あの台の上、他より凸凹が少なそうだな。

 上がってみると、広さもぼくが寝るのにちょうどいい感じ。よし、ここをぼくのベッドということにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ