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一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい  作者: 司真 緋水銀
二章第一節 一流警備兵イシハラナツイ、借金返済の旅

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百十九.ねこあそびと遺跡探索


<フルト・フランク遺跡群『コーラ遺跡内部』>


 俺達警備兵一行は発生源不明の魔物を産み出しているかもしれない魔物かもしれないというやつがいるのかもしれない、ただ本当かどうかはわからないかもしれないという、もしかしたら間違いかもしれないという遺跡の内部にたどり着いたかもしれない。


 内部はファンタジーのオーソドックスな『遺跡 内部』で検索すると出てくるようなそんな感じだ。

 毎度の事ながら描写説明は超面倒くさいから勝手に想像してくれ。


「ところで猫娘、その魔物を産み出している可能性のある魔物ってどんなやつだ?」


 俺は遺跡内部で宝箱とかを探索しながら何気なく猫娘に聞いた。

 宝箱には何も入っていなかった。

 

「ニャ、それには長々とした説明が必要なんニャけど……ナツイにゃん聞く気あるかニャ?」

「ない。至って簡潔に話せ。大体は想像する」

「ニャはは、言うと思ったニャ。じゃあ簡潔に言うけど……この遺跡には何者をも寄せ付けない【魔女】が住んでるニャ。【氷空の魔女】って呼ばれてるニャ。うちらは発生源不明の魔物の出処はそいつの仕業じゃニャいかと思っているニャよ」


 また話に出てきたな【魔女】。

 なんか随所で魔女の存在を聞くがそんなに一般的なのか魔女って。


「そうじゃよ。魔王の誕生よりも遥か昔に魔界を支配し、オルスに降り立った……人類史における昔ながらの存在じゃよ。今でこそ魔王に皆怯えてはおるが……それ以前では恐怖の象徴といえば魔女を皆思い浮かべたもんじゃ……」

「ニャ、その存在はかなり異質で……なんでも人智を越えるような技術を扱う事ができるらしいニャ。ただ魔女については解ってることが少ニャいニャ……魔女という職業についても……それに就(な)った人物の事もニャ」

「それで? ここにいる魔女についてわかっている事は?」

「……『氷の魔女が外に出る、空は青き、雪が降る……氷の魔女が涙を流す、空は暗き、雨が降る……氷の魔女が歌唄う、空は果てなき、澄み渡る。うつむき陰る氷の魔女、かくも醜い人の世よと貴女は憂い……』」

「待て、なんだそれは」

「シュヴァルトハイムに昔から伝わる歌ニャ、うちの故郷でも歌われるくらい有名ニャよ」

「そういうのじゃない。氷の魔女の歴史なぞどうでもいい、なんか『超強い』とか『弱点は背中』とかそういうのだ」

「………ニャ♪」

「知らないんだな?」


 なんて無駄な会話だったんだ、結局魔女がここにいるって事くらいしかわからなかったぞ。

 俺は見つけた宝箱を開ける、何も入っていない。

 

 つまり魔女についてわかるのは俺が以前にちょっとだけ関わったあの女から得られる情報くらいか。

 確か、【キャビア・ほうじ茶ミルクティー】

 解析不能な隔離空間を創ったり、危険予知をしても避けられないような攻撃をしてきた奴だったな。

 勇者一味に潜入してなにかを探っていたみたいだったけど何が目的だったのかわからなかった奴。

 

 しかし会話した事ないからどんな奴なのかまったくわからん。

 

 あと参考になりそうなのは地球においての【魔女】についての知識くらいか。

 確かエメラルドも本で読んだオルスの魔女と地球の魔女は相違ないって言ってたし。

 この世界では魔女は職業らしいし纏めるとこーいう事だろう。

 

 つまりは魔女という職業は昔からオルスにあって、それについた奴は超不思議な技術を使う。

 昔から今まで生きているベテラン魔女もいれば、新しく魔女に就(な)った新米魔女もいる。

 魔女になると歳とかそういったもんを超越するんだろう。

 そして魔女にも魔王軍に味方する奴がいたり無関心な奴がいたりする、魔物と同じ。

 

 ここにいる氷の魔女とやらは詳細不明、だが、遥か昔から生きているベテラン魔女。

 歌の通りであれば天候をも操り、主に氷系統の技術を使う。

 そういった歌詞は誰かが見聞きした事実を元に創られているだろうと仮定してそこから推測するにこの魔女は少なくとも魔王軍に与しているという事はなさそうだ、外に出る事が珍しいといった感じだし。

 ずっとここに住み着き、目撃証言もあまりないという事からもこの魔女はあまり俗世間に関心がなく、争い事が嫌いで人の世を嘆き悲しんでいる。

 きっとシュヴァルトハイムも接触を試みた事があるだろうが、強大な力にはね退けられて以来この地は禁忌とされて魔物の棲みかとなりそれ以降接触しない限り無害であった魔女は放置されて伝承になったとかなんかそんなところか。

 

「……凄いニャ……そんなことまでわかるのかニャ……確かに古い文献には王国が魔女と接触した記録があったニャ……けど追い返されて以来、ここに派遣された人達は魔女には絶対にたどり着けなかったらしいニャ……色々と大げさな記述ばっかりだったから気にしてなかったけどニャ……」

「ふぅん」


 まぁどうでもいい。

 この魔女とやらが魔物を産み出してここらに放っているんなら止めるように言う、話はそれだけだ。

 当てが外れてもここに長年棲んでいる魔女であれば、魔物増加の原因を何か知っているかもしれないし無駄足にはならないだろう。

 俺達をその魔女が歓迎するかどうかは別としてだ。

 

 まぁこれで魔女の話は置いておくとして、俺は何も入っていない宝箱を開けて猫娘に聞いた。


「それよりもあのヤンキーと爺さんはどうやら隔離されたようだけど良かったのか?」

「…………………え?」


 猫娘はキョトンとした後、周囲を見回して青ざめた顔をする。


「ニャ!? ビリー!? ジレ爺!? どこ行ったニャ!?」

「だいぶ前からいないぞ、会話に加わってこなかったろ」

「もっと早く教えてニャ!! 迷子になったのかニャ……? でもナツイにゃん……『隔離された』って……?」

「迷子じゃあない、『突然』いなくなったんだ。周囲警戒は怠っていなかったにも関わらず急に消えた。こんな芸当が出来るのは【魔女】くらいのものだろう」

「……じゃあうち達が来たのが魔女にバレて…………」


 ふむ、そんなところだろう。

 ヤンキーと爺さんは魔女の不可思議な技術により何処かへ連れさられた。

 いや、隔離されたのは俺達の方かもしれないな。


「ど……どうするニャ? ナツイにゃん……」


 猫娘は不安そうな顔をして人の腕にしがみついてくる。

 どうするも何もあるまい、魔女を捜しに遺跡の深部まで行くだけだ。


「ふ、二人は探さないのかニャ!?」

「子供じゃあるまいしそんな必要ないだろう。警備兵を名乗ってるんだからこのくらい自分で何とかしろ」

「……ニャ~……大丈夫かニャ……」


 俺と猫娘は更に遺跡内部へと突き進む。

 魔物がぞろぞろ出てくるかと思ったがそんな事はなく、快適にヒンヤリとした空気の遺跡を探索した。

 宝箱には何も入っていない、段々とイライラしてきた。


「……ナツイにゃん、何かおかしくニャいかニャ……? この通路……さっき来た気がするんニャけど……」

「今更気づいたのか」


 猫娘はようやく、俺達が同じところをグルグル回っている事に気づいたようだ。

 まったく仕方ないな。


「ニャあっ!! だから気づいてたなら言ってよぅ!!」

「さっきから同じ空の宝箱を開けてたろ、最初に開けた時に目印になるよう印をつけておいた、何度も確認してたのは同じものかどうか確かめてただけだ。それで異変を知らせてやっていたのに」

「わかるわけニャいでしょ! 口で言ってほしいニャ!! そうじゃなきゃわからニャいよ!」


 猫娘は彼氏の態度にヤキモキしている女みたいなセリフを言った。

 俺はそれに倣(なら)い、彼氏になったつもりで口で想いを伝えてみた。


「わかった、愛してる」

「…………」


 すると猫娘の尻の部分がモゾモゾ動き出した。

 なんだ? トイレか? 我慢してないでそこらへんですれば良かったのに。


「違うニャよっ!! 女の子に対してデリカシー無さすぎニャ!! ニャぁ~……せっかく隠してたのにぃっ!!」

 

 そう言って猫娘はホットパンツの尻部分にあるファスナーを開けた。

 そこからは尻尾が飛び出してきた、まるで猫みたいな尻尾だ。


「ニャぁ~~……実はうちは」

「亜人で猫人族だったニャ、なんて言うつもりじゃないだろうな?」

「……………そうニャ……やっぱりそんな眼で見られるニャね……冷たい眼……亜人差別はどんな世界でもやっぱりあるんニャ……ナツイにゃんが変な事言って喜ばせるからバレちゃったニャ……けど、今は気にしてほしくニャいニャよ……」

「いや、バカだろお前。最初からバレバレだ」


 猫語を話す異世界人なんて猫人族に決まっているからな。

 猫人族である事を隠すなら猫語を使わずに普通の人間のように振る舞うのが基本であり、それで初めて『実は猫人族でしたー』と読者をびっくりさせるのが常であると言うのにこいつは最初からニャアニャア主張していて更にはキャスケット帽を被っているのは猫耳を隠すためというのがバレバレでありミスリードや伏線の使い方というのが下手くそすぎであり、そんなんじゃ推理小説なんて書けやしないぞバカかお前と説教しようと思ったけど面倒だったので止めて代わりに冷ややかな眼で猫娘を見たのちに、帽子を取って耳に触った。


「ニャンッ!!? なにするニャあっ!? んふっ……」

「ほら、魚の骨だ」


 俺はヤンキーにカルシウムを摂取させるために店から貰った魚の骨を猫娘に差し出した。


「ニャ……ナツイにゃん……うちをバカにしてないかニャ……? はむっ、こんなもので餌付けされる種族じゃニャいよ!!」


 猫娘は嬉しそうに魚の骨を咥えてそう言った。

 俺は猫娘の喉のあたりを撫でた。


「ニャあ~~~♪ 幸せニャあ~~……ってバカッ!! うちで遊ぶのをやめるニャ!!」


 


 



 



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