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信長Take3【コミカライズ連載中!】  作者: 松岡良佑
20.5章 永禄7年(1564年) 弘治10年(1564年)

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235話 警戒下見旅 今龍城の身分比べ

【お詫び】

8話 戦う前に勝つ(1)の無料公開は5月5日になります。

戦う前に勝つ(2)は来月までお待ちください。(人ω<`;)

その代わり(2)は本当にお楽しみに!


分割連載WEB版:https://x.gd/Euxzi (ファンレター待ってます☆)


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作画担当先生は、八坂たかのり(八坂考訓)先生です!(旧Twitter @Takanori_Yasaka)

八坂先生の作品一覧→https://x.gd/Gj9zO

よろしくお願いします!!

挿絵(By みてみん)

【近江国/今龍城 斎藤家】


「先触れの報告では、大体あと1刻(2時間)。何するにも中途半端に持て余す時間ね……」


 やるべき決済は済ませてある。

 産後による体のダメージも抜けきっていないので、当主代理の斎藤龍重にある程度任せでいるので負担も少ない。

 なら少しでも体を動かそうかと思ったが、何せ無理をしていいのか分からない体なので下手な事は出来ない。


「結局、休んでいるのが一番の近道なのね」


 考え事をしながら帰蝶が決断し命令した。


「私は今から寝ます。今日、客(三好長慶)が来るけど、その時起こしてくれればいいわ」


「はい!」


 この『起こせ』は『呼びかけて起こせ』ではない。

 これは『殴って痛みで起こしてみせろ』の意だ。

 いつもその意味で、家臣が尋ねる度に、帰蝶を起こせず途方に暮れる於勝丸(織田信正)に奇妙丸(織田信忠)を気遣う斎藤家の家臣達。


 そんな風習を、よりによって三好長慶の訪問にまで当てはめてしまった。

 流石に今日だけは通常の対応に戻すべきだが、帰蝶は何か考え事をしながら縁側で寝てしまった。

 縁側で寝るにはいい日差しだ。

 一瞬で眠りに落ちてしまった。


 そんな剛毅な母を困惑しながら奇妙丸が確認した。


「これは今日であっても、対処に変わりはないと言う事でしょうか、兄上?」


 まだ10歳にも満たない奇妙丸でさせ、三好長慶相手に本当に大丈夫かと兄に問う。

 何せこれから来る男は、日本最強の男なのだ。

 それなのに、こちらは通常の対応だ。

 不安になるのも仕方ない。


 於勝丸も悩んだが腹を括った。

 曲がりなりにも戦国時代で10年以上生きたのだ。

 それなりに死生観を持っている。


「……これは試練だ。三好様が来る前に起こして見せよ、との母上からの試練だ!」


「成程! わかりました!」


「およそ1刻後と聞いておるが、半刻からが勝負だ!」


 子供特有の、子供なりの無理に筋を通し繋げた未熟な考え。

 迷ったら聞けばいいのだが、そこは戦国時代。

 主君たる帰蝶が特に明示しなかった。

 ならば『通常通り』と判断してしまうのが子供だが、元服前なら責任は信長と帰蝶にある。


 半刻後――

 兄弟による、普段より猛烈な滅多打ちが始まるが、帰蝶はグッスリスヤスヤだ。

 そうして大惨事の事故が起きた――


「お、お主達!?」


 廊下を曲がって見えた光景に、案内役の仙石久勝が目も飛び出る程に驚き、こんな突然襲い掛かる大ピンチに対処できずうろたえる、というか、誰も対処できない。


「?」


 三好家一行も、全員の動きが止まった。


 これは帰蝶の考え事が、今日の来客を忘れさせてしまった事による自損事故。

 10対0で帰蝶が悪い。

 悪いが、三好長慶と家臣団は、あまりの光景に、来る場所を間違えたかと勘違いしたり、驚愕で固まったり反応は様々だった――


 何せ小姓らしき少年2人が、寝ている帰蝶を木刀で殴っているのだ。

 少年とは言え、全力の滅多打ちだが、それでも寝ているので脳がバグる。


「ッ!?!?」


 流石の日本の副王も驚き戸惑った。

 無礼な対応とかそんな次元ではない。

 事件だ。

 主君を小姓が武器で殴りつけているのだ。

 大事件だ。       


 普通こんな事はありえない。

 通常の対応なら、長慶一行を待たせた後、責任者、今回は帰蝶が準備を済ませて身なりを整えた後、長慶一行を広間に通し、そのあと帰蝶が入室する手順だ。


 だが主君を滅多打ちにしているこの事実をどう評価(?)していいか分からず、とりあえず思考の順番を後回しにした。


 どこかで手順に手違いがあった可能性大だが、もちろん原因は帰蝶だ。

 その帰蝶が目覚めた。

 痛みではない。

 大量の異変を察知したのだ。

 感知した気配が殺気じゃなかったのが()()()、完全に起きるのが遅れた。


「……? あっ!? よ、ようこそいらっしゃいました。あのそのえっと……斎藤帰蝶です」


 只ならぬ気配を察知し、目覚めた帰蝶が廊下で寝ながら見上げ言った。


「……三好しゅる、修理大夫であるが。だ、大丈夫なのかね? 突然押し寄せたのは無礼であったが……」


 只ならぬ気配が霧散し、困惑する長慶が見下ろしながら言った。


 長慶は『突然押し寄せた』『無礼』と言うが、事前に信長からの書状が届いているはずなので、礼節と配慮を最大限したつもりであったが、廊下を歩く長慶一行と、廊下で寝そべる帰蝶と鉢合わせてしまった。


 言葉を嚙んだのも仕方ない。

 無礼と勘違いしたのも仕方ない。

 驚愕の光景が広がっていたのだから。

 日本の副王にして、神算鬼謀の頭脳を持つ三好長慶をして、まったくの予想外だった。


 こうして両者がよそよそしくロボットの様な動きで広間へ案内されたが、ここでもまた一波乱が起きた。


「三好殿、どうぞこちらへ」


 帰蝶が当主の席へ長慶を案内する。


「……え? そ、そこは其方の座る場所では? 先の件でしたら気にしておりませぬ故……」


「そう言う訳にはいきません!」


「ッ!?」


 最初は長慶が最上段に案内されたが、別に長慶は斎藤家の主君ではないので当然固辞するが、帰蝶も混乱して譲らない。


「何卒、こちらの誠意と謝意を受け取って頂くまでは!!」


 しかし帰蝶は頑として譲らない。


「ッ!! そう言われても!? (何なんだこの状況は!? 『気にしていない』と言うのに『受け取れ』とはどうしろと!? どうすればこの場は収まる!? こんな無理難題がこの世に存在するのか!?)」


 加害者が全力で謝罪し、被害者が受け入れたが、加害者がまだ足りぬと謝る。

 混沌がそこには存在していた。


 だが、そこは日本の副王三好長慶。

 起死回生の手段を思いつく。


「じゃ、じゃあ、上座に座れと言うなら、我が三好家の配下に加わるとの認識でよろしいですな? それなら手打ちとして釣りが来ます」


 長慶も混乱し無茶を言ったが、これが飲めない条件なのは承知の上。

 だから、もう不毛な争いは辞めようと話を持っていきたいが故の作戦だ。


「そ、それは!?」


 確かに釣りが来る提案だ。

 だができない。


「も、申し訳ありません! それだけは出来ませぬ! 何よりも織田殿とは夫婦大名でありますれば、何卒ご勘弁を!」


 そこは断る理性が帰蝶にはあった。

 夫婦大名が断る理由になるかは史上初の事例なので分からない。

 だが、長慶は理由として納得した、と言うか、自分でも『無茶を言った』と思うぐらいには混乱していた。


「そ、そうでしたな! で、では次の戦では斎藤殿は不参加と言う事でどうでしょう?」


 長慶が混乱しつつ、願いのランクをもう一つ下げた。

 そう来るのは当然わかっている。

 混乱していてもだ。

 来年の戦という、センシティブな情報がアッサリと漏れたが、もう誰もそんな事を気にしている状態ではない。


「そ、それも出来ません!」


 そこも断る理性が帰蝶にはあった。

 何せ出産後の初陣として大暴れするつもりだからだ。


「でしたら、もう謝意も貰った事ですし、もう宜しいでしょう!」


 長慶は無理難題を言い過ぎたと反省し、ギブアップしたフリをした。

 これで、収まるはずだ。


「そう言う訳にはいきません!!」


(何でじゃ!? ワシは何か罪でも犯したのか!? あ……犯したな。大仏燃やしたし)(203話参照)


 それが理由なら納得できる、帰蝶はまるでゾンビの様に、撃たれながらもしがみ付く惨状だ。


「ッ!! (何で!? 誰か助けて!!)」


 三好長慶は、この一件だけ真に負けを認めた。

 背後の力で従わせた家臣達を見るが、弟達も譜代家臣も含め全員が一斉に首を背けた。

 だれも『負けた』などと思わないし嘲笑もしないが、長慶は己の意のままにならない存在を認めてしまった。


「あっ?! そうですな。ならばお互い同格大名であれば下段で……」


 長慶が願いのランクを下げた。

 極めて妥当で本来あるべき形式を提案する。


「それでは申し訳が立ちませぬ!」


 しかし帰蝶が譲らない。


(……まさか、これはワシへの挑戦か!? 対応力で差を見せようというのか!?)


 本当は違うが、ここまで頑固だと違う思惑があるのかと勘違いしてしまう。

 真実は帰蝶も混乱しているからだが、天才長慶は天才過ぎて、余計な推測をしてしまう。


『斎藤帰蝶程の者が、こんな無茶苦茶を迫るからには何か理由があるのだ!』


 と――

 上述の通り、もちろん理由など無い。

 混乱の極みなだけだ。


 その時、長慶が起死回生の天啓を得た。


「ッ!! わかりました。ならば今から行う無礼で帳消しと言う事にしましょう」


「無礼? いったい何を……!?」


 母性が芽生えたのか帰蝶が胸元を隠し、長慶が否定する様に叫ぶ。


「力比べです!」


「力比べ……それならまぁ。しかし三好殿は前線に出る武闘派の武将ではありますまい?」


「其方も産後で万全では無いだろう? 丁度いい加減ではないかな?」


 こうして両者による押し相撲が始まった。

 勿論、前代未聞だ。

 日本の副王vs美濃の独眼姫。

 ルールは簡単、相手をラインの外に押し出せば勝ちだ。

 投げも組み打ちも無し、単純に押すだけだ。

 この時代にTVがあるなら、超高視聴率確実のカードだろう。


 事実、白熱した試合になってしまった。

 前線に出る訳では無いが男の武将にして、波乱万丈の人生を跳ね返し頂点に立った男。

 一方で最前線に出る事も辞さないと言うか、出たがりで猛者とも互角に戦う女。


 長慶と帰蝶はお互いの両肩を掴むと押し始める。

 即座に伝わる相手の力量と粘り強さと圧力だ。

 もはや筋繊維の一本すら感じ取れる押し合いだ。


(クッ! やはり強い! 本当に産後か!?)


 押してはいるが、大岩でも押している錯覚に陥る長慶。


(押される! 体格差は仕方ないとしても、こんなに力が出せない体だったっけ!?)


 押されつつも、体の不調を分析し、力を出せる場所から強引に引っ張り出す帰蝶。


(そんな細腕でどこからそんな力を! ならば! こんなのはどうだ!?)


(力が流される!? 殿の技!?)


 結局、長慶が帰蝶を上座に寄り切って勝負がついた。

 下腹部を痛める帰蝶にとって、丹田(ヘソから指3本分下辺り)を操れなかったのが敗因だ。


 長慶の押しと流しに負け、さすがの帰蝶といえど産後では、相手にならなかった――と言うほど圧倒的な差でもなかった。

 帰蝶は産後で、木刀で滅多打ちにされていた直後なのだ。

 長慶は勝つは当然、本当なら圧勝したかった。

 だが『それは無理だろう』とも思う自分も居た。


(本当に女で良かったわ。男なら手が付けられん大豪傑だっただろう)


 長慶はようやく一息付けた――

今月はエイプリルフールの1日と最後の30日しか投稿できず申し訳ありません。


別作品がもうすぐ終わりそうなので集大成を書くべく比重が傾いてしまったことと、母の死のダメージ、それに伴う諸手続きがまだ終わらず、謎の身体へのダメージ、といったところで執筆が遅れ在り申し訳ありません。

5月からは通常運転に戻せるように頑張ります!

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