表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

十話 アビム要塞

 

 アウル達は無事に防衛戦域の軍港に着くことが出来た。陸軍の中には船酔いで体調を崩している者も居たが陸に着いた途端に元気になっていた。


「空気が重いですね」


「それもそうだろ。五十年に一度の頻度で起きていたテラス・キマ(魔物の波)が二十年も経たずに起きたんだ。気も重くなるだろう」


 前回のテラス・キマは十三年前であった。これだけ、短い期間でテラス・キマが起きたことは今までなかった。そして、修復が終わってない砦もあり、動揺している者は少なくなかった。


「テラス・キマの為にSR(セヘル・リッター)の装備も開発しました。ピグロ閣下にも声かけをして、防衛戦域にはDLダンテ・ライトマシンガンを優先的に配備いたしました。我々は出来る限りのことはしてきました」


「そうだな。出来ることはしたな」


「はい、その通りです」


 アルディートは十分にテラス・キマの対策をしてきたというがアウルはもう少し、何か出来たのではないかと考えていた。


 出来れば、無傷で兵隊を返したいがそんなに上手くはいかないだろう。


「部隊が揃い次第、要塞に向かおう」


「ハッ」


 それからすぐに部隊が揃い、出発した。そして、艦隊も輸送船とわかれて、出航した。


 港を出て、夕方にはピグロが居るアビム要塞へと到着した。この要塞が防衛線の最終ラインである。


「久しぶりだな、カラミタ卿」


「お元気そうで何よりです。ピグロ閣下」


 要塞の兵に待機場所を指示されて、荷物を下ろしていたらピグロが現れた。王都では会議や夜会では顔を合わせていたが二人だけで喋ることはなかった。


「防衛戦域に来た貴族はカラミタ卿を含めて、五家しか来ておらん」


「それは南辺境所属の貴族としての責任を放棄していますな」


「そう言われるな、カラミタ卿。貴卿みたいに勇猛な者は少ない」


「ブルーイン卿。しかし、南辺境の貴族はテラス・キマから王国と国民を守ることという使命を王国初代国王陛下から賜ったのです。その使命を果たさないのは王国への反逆に等しいと私は愚考いたします」


 ブルーインは王国唯一の獣人の貴族である。傭兵をしていた頃に戦争で王族の命を救い、報酬として爵位を与えられた。そして、他の貴族に疎まれながらも亜人の保護に力を注いでいた。


「今は生き残ることだけを考えなければならない。王都には救援要請を出しているが軍の再編が終わってないと言ってきた。当分、援軍にも期待は出来ない状況となった」


「厳しいですな」


「しかし、やるしかない。明日の朝、最前線に移動する」


 この後、会議室で陣の位置や補給線の確認などをした。カラミタ領軍はSR隊は遊撃部隊として、他の部隊はブルーイン領軍の支援となった。


 ブルーイン領軍の歩兵隊は獣人で編成されており、練度も高い。接近戦だけで言えば五人でSR一機と同等の戦闘能力を有していた。


「閣下、海上に海軍を配置しており、艦艇による砲撃も可能です」


「そうか、カラミタ領の海軍が居るなら力強い」


 フムス地方で港に砲撃したが威力がすさまじく、更地となってしまっていた。その被害は王国にも知れ渡っており、多くの国や貴族たちがカラミタ海軍の情報を集めていた。


「今日は兵にも酒や肉を出している。諸君らにも準備してる、移動しよう」


 明日からの戦闘を備えて、士気の向上を考えて豪華の食事を出していた。一部の兵の中には最後の晩餐だと言い、泣いている者が居たらしい。


 食事も終わり、アウルは自分が割り当てられた部屋では無く、カラミタ領軍が野営地まで戻った。


「アウル様、今日は要塞にお泊りになるではなかったのでは?」


「お前達が外で寝るのに俺だけが部屋で寝るわけにはいかんだろ」


 アルディートはため息をついた。主の様子だと要塞の兵に言うわずに出てきたのだろう。


「要塞には私から連絡いたします。今から兵にテントを張らせるますので私のテントでお待ちください」


「ありがとう、アルディート」


 アウルは会議の内容をアルディートに話していた。規模や確認された魔物の種類など多くの情報を共有し、更にモルトからの情報も併せて、対策を考えていた。


「アルディート、俺が死んだら軍を率いて、ミラと領地を守ってくれ」


「何を言われますか! 私の命はすでにカラミタ家に捧げております。アウル様はどんな犠牲を払っても守り抜きます」


 アルディートはアウルの両親を助けれずにサージとアウルに自分の命で償おうとした。しかし、二人は自分に生きろと言い、なにも罪に問われなかった。


 あの日から己の命はカラミタ家に捧げ、アウルとミラを守り続けてた。兵もカラミタ家を守る盾として、厳しく鍛え上げた。そして、息子たちには兵以上に厳しい訓練を幼い頃から施していた。


「ありがとう。アルディートの忠誠、確かに受け取った。俺も死なないようにする」


「お礼を言うのはこちらの方です。テントも張り終わっていると思いますので今宵はゆっくりとお休みください」


「おう、アルディートもな」


 外に出るとアウルは自分のテントに入り、休んだ。アルディートは要塞にアウルの所在を伝える使者を出した。


「星々の神々よ、アウル様をお守りください」


 南辺境をテラス・キマから救う戦いが始まろうとしていた。




 亀更新ですがよろしくお願いします。


 評価感想、大募集しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ