7話「違反と躍動」
なんだかんだで佳樹は、望月に学校をサボらされていた。まあ、望月と一緒にいろいろな所に行くというのが今までなかったし、これからもないだろうから良い思い出なのだが。
「先輩、最初からこれが目的でとぼけたんでしょう?」
「そうじゃないとでも言うのかね君は」
…良い思い出では絶対になかった。
「で、先輩、どこに行くんですか」
「まああせらずソフマップでも寄っていきましょうや」
ソフマップにはたくさんのPCや周辺機器、ソフトも売っていた。
もちろんそこにグロウアップが在るはずはない。
「こちらの2014春モデルはいいですよね?」
「へ?うちの2013夏ぐらいに買ったよ?」
そして二人は中古屋に向かった。
中古屋の店長(?)であるおじさんは「おいおい中学生がそんなことしてるとおじさんみたいになっちゃうぞ」と、笑っていいのかわからないギャグをかました。
中古屋から出ると時間はすでに3時。
「先輩どこいきます?」
「私の行きつけの店があるんだ、そこにいってみなよ」
言われた通りカフェ「STRANGE」についた。すると、店長さんが、
「おいおいまた学校サボったのか瑠華ちゃんよー」
というので、それには佳樹も少々驚いた。
「佳樹、注文は?」
「僕はアイスコーヒーでいいですよ」
「大人だねぇ。私はオレンジジュースにしようかな」
「先輩は子供ですねぇ」
…最後の「ねぇ」の部分でどつかれた。
しばらくすると店員がやってきた。かなり不愛想である。「ご注文をどうぞ」とだけ言うと自分たちの注文のメモを書いた。そしてささっと行ってしまった。
…いや。
何か声が聞こえた。
彼のささやき声だ。
「君がこの呪われた僕を殺してくれるの?」
と、だけ言っていた。何のことだろう。気にしないでおこう。
その後商品が出てきた。二人で会話を楽しんだ後、佳樹たちは帰路についた。
本当に「たち」なのであった。
「先輩僕の家まで来ようとしないでください!」
「いいじゃないかぁ。それともあたしじゃだめなの?」
「先輩じゃなくてもだめです!」
ひっつく望月を追い払い、家のドアノブを回そうとする。
だがしかし、目の前には見覚えのある少女が立っていた。
千代崎である。しかも何かに照れたように顔が赤い。
千代崎は、深呼吸をした後佳樹に向って叫んだ。
「あ…あのですねえ、佳樹さん!!きちんと学校に来てくださいよ!今日この手紙を送ろうとしたのに佳樹さんがいないから帰ろうとしたらだれかに中身見られてすっごく恥ずかしかったんですから!」
「あ、あのさ、その見たら恥ずかしいような手紙をなんで僕に」
と言ったところで千代崎は佳樹に抱きついた。