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<サービス回>日支夫、読者の疑問に答える

「全国百〇八万人の読者の皆様、こんにちは。司会進行役の糀次です」

「回答役の日支夫です……って何これ?」

「もう、ちゃんと聞いてなかったんですか? 今日は本編から離れて、皆様から寄せられた質問にお答えするサービス回だって言ってたじゃないですか」

「誰が言ったんだよ、それ?」

「もう、察してくださいよ」

「どう考えても作者が面倒くさくなって、設定を後出ししてるだけだろ」

「なんでそういう所だけ察しがいいんですか!」

「まぁいいけど。それより俺としては、初っ端から嘘ついてんのが気にくわねーんだけど。百〇八万人も読者いねーだろ。この話、そんな人気ねーじゃん」

「それはほら、アレですよ」

「アレってなんだよ」

「アレとはですね、その……。……」

「さすがの賢い糀次くんも言葉に詰まってんじゃねーか」

「うるさいですね」

「そんなに黙っちゃって、ラジオだったら放送事故だぜ」

「あぁ、もう! オープニングだけでめちゃくちゃ時間押してるじゃないですか!」

「あ、逃げた」

「とにかく、お便り来てますから! 質問に答えてください!」

「へーへー」


—-------—-------

■質問■

素人質問ですみません。大根を抜いた後って数日漬けられないと思うのですが、日支夫が大根を抜いた日に糀次はぬか床を作っています。後日に日支夫もぬか床を作っていますし、糀次だけ先にぬか床を作る理由がわかりません。もしかしてサボってたんですか?

—-------—-------


「あー! あー!」

「ちょっと、人に指をささないでくださいよ」

「やっぱサボってたんだ! えこひいきなんだ!」

「サボってませんよ」

「でもお前、俺と同じくぬか床研修を受けてたよな。やっぱサボってんじゃん!」

「違いますよ。民子さんのぬか床を一緒に作ってたんですよ」

「そんなんババア一人で十分じゃん」

「いつ吐くかわからない状況で、ぬか床なんて作れませんよ」

「漬物のニオイで具合が良くなるって言ってなかったか?」

「それに調味料とか新品の樽とか、全部僕が用意したでしょう?」

「そうだっけ?」

「そうですよ! 日支夫さんでも使いやすいように、全部の調味料にわざわざラベル貼ったんですから」

「ああ、そういや書いてたな。あれお前の字だったのか。清楚系美少女が書いたと思ってたわ」

「この話に清楚系美少女なんて出てこないでしょうに」

「でもそれだけだと割に合わなくね? 俺一日仕事だったんだけど」

「まさか! スカーレット王女が突如見学に来たので、午後は色々と説明しましたよ」

「そんなに時間かかったのかよ?」

「まあ三十分もせずに終わったので、後はほぼ恋バナでしたが」

「やっぱ遊んでんじゃねーか! ムキー!」

「やれやれ。自称素人からの質問は厄介ですね」


—-------—-------

■質問■

日支夫たちのいる国の名前は?

—-------—-------


「どうせ漬物キングダムとかだろ」

「そんなわけないじゃないですか! ふざけすぎですよ」

「だって興味ねーもん」

「それにしても酷いですよ。前に諸見里さんに習ったじゃないですか」

「ほーん。それじゃあ賢い糀次君は、答えられるってことですねぇ(ニヤニヤ)」

「ええまぁ、いいですけど」

「じゃあはりきって答えてもらおうか、正解をどうぞ!」

「僕たちがいる国は、新生ピクルス王国といいます」

「……は? おい、お前がふざけんなって」

「ふざけてないですよ。初代ピクルス大公が亡くなった時に、南北にピクルス王国が分割されて、残った北ピクルス公国が、新生ピクルス王国になったって習ったじゃないですか」

「ピクルスピクルスうるせーわ! ふざけた名前なのに、しっかり重めの歴史辿ってんじゃねーよ!」

「ちなみに現国王は、ピクルス三世ですよ」

「あのおっさん、ピクルス三世っていうのか……」

「ここはテストに出るところなので、しっかり覚えましょうね」

「何のテストだよ……」


—-------—-------

■質問■

日支夫のいる国のほかに、国って出てこないの?

—-------—-------


「冷静に考えると、南ピクルス王国の成れの果てがあるわけだよな」

「言い方考えましょうよ」

「いずれにせよ、作者が今必死に考えてるらしい」

「へぇ。じゃあ僕たちが外国に行く話もあるかもですね」

「そんなんより、可愛いヒロインを考えてくれよ……」


—-------—-------

■質問■

なぜ女子が少ないのですか?

—-------—-------


「俺が知りてーわ!」

「僕の周りには結構いますけどね」

「うるせースケコマシが!」

「うわあ、久しぶりにスケコマシって聞きましたよ。リアルに言う人いるんですね」

「うるせー!」

「ま、これもひとえに『日支夫さんがモテナイから』ってことで」

「適当にまとめるな!」

「次章では、日支夫さんのモテなさを存分にいじったエピソードがたくさんあるので、どうぞおたのしみに」

「嫌だわ、そんな回!」



—-------—-------

■質問■

なぜ日支夫が主人公なのですか? ちっとも好きになれません。糀次君の方が断然主人公らしいと思います。

—-------—-------


「大きなお世話じゃ!」

「いやー、僕もそう思うんですけどね。なんででしょう?」

「やっぱ人としての魅力だろうな。お前は偽善者すぎて、個性がない。上っ面だけで薄っぺらいんだよ」

「まぁ作者の他の作品見てるとクズばっかり出てきますし、クズの方が書きやすいんじゃないですかね。クズの方が」

「遠回しに俺をクズって言うのやめろ!」


    ×    ×    ×


「はぁ、もう疲れたわ……。絶対何本か血管ぶち切れたわ」

「お疲れ様です。次で最後ですから、はりきって答えましょう」

「俺ほぼ回答してなくね?」


—-------—-------

■質問■

セドリックは何歳?

—-------—-------


「最後、俺らのことじゃねーのかよ!」

「まあまあ。読者のお便りは絶対ですから」

「なんだよこのノリ……」

「さあ、答えをどうぞ!」

「知るかよ! てかエルフだから、めっちゃ年上だと思ってたわ」

「この世界のエルフは五百年くらい生きるそうですよ」

「お前知ってるか?」

「ここは本人に聞いた方が早いですね。早速お呼びしましょう!」

「おいおい、セリフだけの世界に敬語キャラ増えたら、誰が誰だかわかりにくいんだけど……」

「お待たせしたました、セドリックです」

「よくぞいらっしゃいました、セドリックさん」

(ああ、わざわざ名前呼ぶ感じなのか)

「早速だけど、お前って何歳なの?」

「嫌味ですか?」

「なんでだよ! てか睨みすぎじゃね? めっちゃ邪悪な顔になってんだけど!」

「日支夫さんも私が若輩者だといじめるつもりなんですね」

「いきなり被害妄想でどうした!」

「あのー、もしかしてセドリックさんって、かなりお若いんですか?」

「お恥ずかしながら、今年成人したばかりなのです」

「へぇ、エルフの成人って何歳なんだ?」

「二十四です」

「は? もう一回言って」

「二十四です」

「あ、ああ、あれだろ。エルフ年齢でだろ。どうせ普通の人間に換算したら、二百四十歳とかなんだろ」

「いえ。人間の暦でも同じの、正真正銘の二十四です」

「……」


※この時、日支夫の脳裏に様々なビジョンが浮かぶ。


「セドリックさんって、日支夫さんと同い年なんですね」

「そうなんですか?」

「でも成人してまもないのに御石係だなんて、セドリックさんって出世株なんですね」

「いやいや、滅相もないです。ただの偶然ですよ。しかし御石係就任も妻帯したのも史上最速なので、先輩たちから『人生二倍速』ってネチネチ……いえ、ご指摘を受けるんですよ」

(エルフの世界も大変なんですねえ)

「ほらもう日支夫さん。セドリックさんに何かコメントしないと……って日支夫さん? どうしたんですか、青白い顔で小刻みに震えて」

「……げぼぉ!!」

「うぎゃああ! 日支夫さんが吐きましたよ、糀次さん!」

「これはいけない! 同い年なのに出世も結婚もできない僻みと、あんなババアを嫁にする神経が理解できないという精神的ショックの板挟みで、オーバーヒートしています!」

「糀次さん、何気にうちの妻をディスってません?」

「げぼおお!!」

「うぎゃああああ!」

「場が混乱を極めてきたので、今回はこれまで。また次回お会いしましょう。さようならー!」

「ちょっと、糀次さん!」

「げぼおお!!」

「うぎゃああ!」


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