男爵令嬢ルルーリアのお話4
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「それで、この約束とはどういうことかしら?」
「……このご令嬢の勘違いでしょう。一体なんのことだか」
「それじゃあ、このご令嬢を呼んで聞いてみても問題ないわね?」
「……ご令嬢の勘違いか思い込みなのですからそこまでしなくても……」
「あなたはそこまでしないでしょうね。でも普通はウラを取るのよ。普通はね」
王妃さまは侍女に指示して分厚い書類を持ってこさせました。
その書類にはこれまでのレオニダスの言動と、元婚約者にかけられたいじめの疑惑が冤罪であったことが記されていました。
「これは何かの間違いです! 手紙のご令嬢がいじめの現場を見たと私に教えてくれたのです!」
「この分厚い書類の内容が全て間違いだと? 何重にもウラを取ったのよ。すぐに鵜呑みにしたあなたと違ってね」
「でも! ルルは本当に学園でいじめられていました!」
「はぁ。ちゃんと書類を読むこともできないの? すべてそこに書いてあるわよ」
王妃さまは大きくため息をつきます。
「まぁ……もういいわ。さっきのご令嬢からの手紙は1週間前に来たものよ。ちなみにそのご令嬢はすでに捕らえられて取り調べを受けているわ。最初はいじめのことを教える代わりに金品をねだられたんですってね? でも、あの小娘に貢ぎすぎて自分で使えるお金がなかったあなたはその場で適当な嘘をついたんでしょう。家に便宜を図ってやるとか、側妃にしてやってもいいとか。学園の用務員も証言したわよ」
「そんな……ルルとあの令嬢がグルだったなんて……これは嘘ではないですか!?」
書類には、手紙の令嬢は最初ルルーリアをいじめていたが、途中からはルルーリアとグルになった方が利益があると考えて手を組み、元婚約者の公爵令嬢に自分のやってきたいじめの罪を嘘の証言をして着せたことが書かれていた。
「何重にもウラを取ったと言っているでしょう。あの小娘、少しは悪知恵が働くようね。他はダメだけど」
王妃さまはとても疲れた様子で片手を上げました。
すると部屋に騎士たちが入ってきます。
「あなたの更生を母として願ってしまったけど、それが間違いだったわ。連れて行きなさい」
「なっ! 一体どこへ!」
騎士たちはレオニダスを両脇から簡単に抱えあげます。レオニダスは暴れますが鍛えている騎士たち相手に全く敵いません。
「あなたは塔に幽閉されます。多少手荒に扱っても構わないわ。連れて行って」
王妃さまはそう言うと、二度とレオニダスの方を見ませんでした。
「そんな! 塔だなんて! ルルはどうなるんですか! 母上!!」
レオニダスは叫びながら連れ出されました。そんなレオニダスを見る騎士たちの目はとても冷たいものでした。
『元婚約者の公爵れーじょーは罠にはめられたってこと?』
『はい、その通りです。お嬢様』
『王子さまは第2王子が大きくなるまで、かいごろしなのかしら?』
『お嬢様、難しい言葉をよく知っていらっしゃいますね』