【声劇団体リュシエル⑥】
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♂2:♀1:不問0
深さん ♀ セリフ数:13
〈④が初登場。初見では取っ付き難い印象だが、団員には意地悪を言いながらも優しい〉
知慧くん ♂ セリフ数:16
〈大学で演劇サークルに所属する新人団員。叫ぶ演技には苦手意識があるようだ〉
土鐘さん ♂ セリフ数:18
〈脇役を演じる事の多い中堅。主役を演じれなくとも、今の環境には満足している〉
[あらすじ]《6分程度》
秋季上演を来週に控えた平日の稽古場にて。役の微調整をしていた中堅の土鐘さんと、副団長の深さんの元に、随分悩んだ顔をした新人団員が近寄ってきました―――。
【土鐘さん】
―――…もうちょっと、此処は目立っても良い気がするんっすよね。『強盗!』って叫んで、主人公達に気付かせる為っすから。
【深さん】
うーむ…、ただ直前がシリアスシーンだからな。いきなり叫びが入るとなると、音響の関係で難しくなるんだ。
【土鐘さん】
あー……そっかぁ…。
【知慧くん】
あの…。深さん、土鐘さん…。お取り込み中の所ごめんなさい…相談があるんですけど、聞いて頂けませんか?
【土鐘さん】
お、知慧じゃん。演技の相談?
【知慧くん】
あ、いや、その。演技の事は大丈夫です。最終調整もだいぶ終わってるので…。
じゃなくて、その…。団体に入りたいって言ってる子が居るんですけど…。
【深さん】
知慧の知り合いか?
【知慧くん】
はい。その…、所謂ネット友達…ってやつなんですけど。
ただその…ソイツ、他の声劇団体にも入ってて…。
【土鐘さん】
えっ、マジぃ? それはヤバいんじゃないっすか、深さん。
【深さん】
(少し考えて)
知慧、その友人は何でウチに入りたいんだ?
【知慧くん】
えっと、僕が楽しそうにしてるのを良いなって思ったっぽくて。
いや、でも駄目ですよね? 他の団体に入ってるのに、リュシエルにも入ろうとかそういうのって…!
【深さん】
まあ、誠実ではないな。
団長も首を縦には振らんだろうよ。
【土鐘さん】
ん? ってか、知慧の相談って、ソイツを…
【深さん】
コラ、土鐘。知慧の友人だぞ。
【土鐘さん】
うぇ、サーセン。
…えっと、その子を団体に入れてあげたいけど、どうしたらいいですかって相談なの?
【知慧くん】
いや、うーん。友達のよしみで入れてあげたいけど…その、正直。掲示板とかでは結構叩かれてるみたい、だとか。あんまり良い噂聞かなくて…。
僕はあんまりそういうの詳しくないし、ソイツの良い所も知ってるから良いけど、でも団体に居るのは僕だけじゃないから…どうしようかなって。
【深さん】
ふむ…、その友人の団体名を教えてくれ。掲示板に書いてあるなら調べ易い。
【知慧くん】
あ、えっと。『WHISPER』です。
【土鐘さん】
ああ、そっか。暫く団長居ないんだっけ。
【知慧くん】
はい…。だから、団員募集も今してないじゃないですか。
でもどうしても入りたいから、話を通しといてくれって言われて…。
【土鐘さん】
まあ、外から見るとよく分からんよな。団体の構造とかその辺。つーか、ネ友さんだったらさ、リアルで会った事とか無いんじゃないの?
【知慧くん】
会った事は無いですけど、何回かビデオ通話した事あるので顔は知ってます。
…でも、その…。
【土鐘さん】
ん?
【知慧くん】
裏で劇する事が多いんですけど、ちゃんと読み込めてなかったり…、ルビ振ってあるキャラの名前とか間違えるし…台本を、というより文字を読んでるだけ、みたいな所もあるので…誰かに相談しないと不安だったんです。
【土鐘さん】
あー、居るよなぁ。そういう奴。
まだ読み込んでもねーのに、“このキャラってどんな感じで読めばいい?”とか、作者に答え聞きたがる奴とかも、オレ苦手だなー。
【知慧くん】
あーー……そのタイプですね…。
その友人ともう一人と、よく劇するんですけど。そのもう一人の方が台本書いてて、よく使わせてもらうんです。
台本渡されて、読み込む前にどういうキャラ? って聞いてた時には…何かもう…とりあえず読もう? って言うしか無くて…。
【土鐘さん】
ああ…、やべぇなその子。こんな事言っちゃあ悪いけど、典型的なオレの嫌いなタイプだわ…。
【深さん】
盛り上がっているところ悪いな。
大体分かった。真偽は分からないが、叩かれているのは団体内での色恋沙汰らしい。
【土鐘さん】
うわぁ…面倒臭ぇヤツだ…。ネットの世界でそういうのに熱くなって、周りを巻き込む奴が一番厄介なんっすよねぇ。
【深さん】
ネット恋愛を否定する訳ではないがな…。
なるほど、団体内で交際や破局を繰り返しているらしい。
【知慧くん】
え、でも…そんなに団員居ないって言ってましたよ? 全員で15人くらいで、音信不通になってるメンバーが大半だって。
そんな事が繰り返されるほど、団員は居ないと思うんですけど…。
【土鐘さん】
あ、分かった。他所で恋人作ってんすね。
【深さん】
土鐘、言い方。
…まあ、大抵合っているが。
掲示板に書き込んでいた元交際相手によると、団体の外で交際を始め、その恋人を団体に入団させて、人員を確保していたらしい。
そして、何らかの事情で破局した結果、音信不通の団員が増える、って事らしいな。
【土鐘さん】
うーわ、当たってたし。つーか、何それ。疑似ハーレムじゃん、きっしょ。
【知慧くん】
(ドン引きして)
……………………。
あの、深さん…。
【深さん】
ん? 何だ?
【知慧くん】
あの…さっきの話は、その…無かったことにして下さい。僕、ソイツと友達やめます…。
【深さん】
良いのか? 所詮は掲示板だ。ある事無い事書かれているだろうし、私が今読み上げたコレも、真実かどうかは分からないんだぞ?
【知慧くん】
いや、何か…よく考えたら、そういう片鱗見えてたっていうか…。友達フィルター通して、見ない振りしてただけなんだなって…。
【土鐘さん】
うっわ、知慧。マジ顔色悪いじゃん、大丈夫そ?
【知慧くん】
大丈夫です…。ソイツには上手く言って、ゆっくりフェードアウトしますね…。
いや、でも。相談して良かったです。一人で勝手に決めてたらとんでもない奴、団体に入れる所でしたから。
【深さん】
いいや、報連相をしっかりこなしてくれる新人が居るのは、こちらとしても嬉しいよ。お疲れ、また明日の総合練習でな。
【知慧くん】
はい…お疲れ様です。ありがとうございました…。
【土鐘さん】
(彼が出て行ったのを見届けてから)
………いやーー…声劇界隈も色々ありますね〜。
【深さん】
そういうものから彼等を守っていくのも私達の役目だぞ、土鐘。
【土鐘さん】
モチロン、心得てますよ。
STORY END.




