表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界への輪廻転生  作者: アークセーバー
ガルバドシア編
44/56

第44話 半血&決着&手負い



トレイは背中にできた翼を広げて飛び回りながら迅雷に向かって突撃してくる。迅雷はクナイでなんとか攻撃を受け止め続けるのに必死だ。



「あはは!貴方強いのね」


「そりゃどーも、おだてられても何も出えへんで」


「生身で私と戦い合う人なんて初めてよ…それならこれはどうかしら?」



そう言った瞬間、トレイの体が無数のコウモリへと姿を変えていく。そして、群をなしたコウモリは迅雷へと向かっていく。



「こんなん純血の吸血鬼のレベルやないか…!」



手に持ったクナイだけでは何体ものコウモリを相手にすることはできず、避けきれない攻撃を体にくらう。



(数が多すぎて…対応が)



対応が間に合わない足や腹部をコウモリが切り裂いて通り過ぎて行く。全てのコウモリが通り過ぎた後、まとまって人間の形へと戻る。



「あはは、これじゃあ倒れるのも時間の問題かしら?楽しめると思ったけど残念」


「こいつ、好き勝手言いおって」


「それじゃあ、いつまで耐えれるかしらね!」



再びトレイはコウモリ化して迅雷へと向かう。




「…疾風」


「キエエエエエエエ!」



疾風がブオンと大きく翼を動かすと、突風が巻き起こり、コウモリ化したトレイを吹き飛ばす。



「きゃあっ!…いつの間に!?」


「すまんなぁ、生身で戦うんは遠慮させてもらうわ」


「こいつ…!」



迅雷の無詠唱による不意打ちはトレイの裏をかくことに成功した。



「やってくれるじゃない、それじゃあこんなのはどうかしら?」



コウモリ化するのをやめたトレイは翼を広げる。すると、羽から脳天を揺さぶるような音が迅雷と疾風を襲う。



「頭…が!」


「どう?人間の耳にはきついんじゃないかしら?」


(あかん…これは聞き続けたら)


「くそっ!」



苦し紛れにトレイに向かって手裏剣を投げつけるが、当たる瞬間にコウモリに変身されて空を切る。



(音がなくなった、今のうちに)



迅雷はその場から疾風とともにトレイの正面を離れる。



「残念、もっと聞かせてあげるのに」


「すまんが僕は音楽の良し悪しが分からんからな、ご遠慮するで」


(コウモリへの変態…それに翼まで)



迅雷は頭を悩ませる。



(こいつ…ほんまに人間なんか)



純粋な吸血鬼は魔物に分類されるため、人間とは区別がつくようになっている。よって、迅雷はトレイのことを人間と吸血鬼のハーフであると確信しているのだが。それにしてもトレイのやっている行動は純血の吸血鬼と遜色ない強さだ。



「あら?どうしたの」


「なんでもあらへんよ」



ハーフの吸血鬼というのは、日があるところでも生活できるというメリットと引き換えに、純粋な吸血鬼よりも能力が劣るのが普通だ。しかし、トレイは純粋な吸血鬼でも上位の方しか使えないコウモリへの変態をいとも簡単に行なっていた。



「はぁ…ほんまに人間の血入っとんのやろな?」





「…今なんて言った?」





トレイの顔から余裕と笑顔が消えた。迅雷の一言がトレイの琴線にふれる。



「何をって…」


「貴方、少し楽しもうと思ってたけどやっぱりやめ。すぐに殺す」



トレイは先ほどまでの余裕から一転して容赦がなくなる。




_______________________________




ドン、という音が響くと遺跡内がグラグラと揺れる。



今のは、爆発音?



「ケイト!あっちに」


「あぁ、もしかしたらトレイがいるかもしれない!」



爆発音ってことは…誰かといる可能性が高い。エースじゃなければ誰かがいるはずだ。無事でいてくれ。




_______________________________




トレイは飛び回りながら超音波を乱発して迅雷を狙う。疾風はトレイを狙って追いかけるが攻撃が届く位置まで近づけない。



「あはは!さっきの威勢が嘘みたいね!」


「くっ、[旋風]!」



苦し紛れに疾風に魔法を打たせるが、トレイの体を捉えることはない。



「無駄よ、そんなの当たらないわ」



迅雷はかろうじてトレイの攻撃を避けながら疾風の攻撃で反撃しようとするが、逃げながらでは狙いが定まらず当たらない。



「私は人間よ、ケイトの妹なの」



(これは、避けられへん…!)



捉えられた迅雷に超音波が容赦なく襲いかかり、迅雷を苦しめる。



「くそ…疾風!」



迅雷の体を疾風が吹き飛ばす。かなり強めに飛ばされた迅雷は壁にぶつかり背中を打つ。



「……ゲホッ!おもったよりきつぅ」


「無理やり超音波から逃れるなんて…度胸があるわね」



迅雷は、当たった瞬間に逃れるため自分の体を犠牲に疾風を使ってわざと吹き飛ばされた。当然ながら少なからず迅雷の体にもダメージはかかる。



「疾風、いけるな?」


「キエエエエエエエ!」



「あら、私に追いつけない魔物が何かしてくれるのかしら?」



疾風とトレイは空中を縦横無尽に飛び回りぶつかり合う。空中戦が得意な疾風を圧倒するようにトレイは闘う。しかし、迅雷はそれを意に介していなかった。



(もっと全力でぶつかれ…そうすれば)



迅雷が狙っているのは疾風のカウンター。侑季との戦いでも使ったように一瞬の隙をついてトレイを攻撃する気だ。



「いいわね、結構楽しめるわよこの子!」



右腕だけコウモリ化させて疾風へと弾丸のように飛ばす。



(まだや、今じゃない)



多少の傷は覚悟させてそのまま疾風はトレイへと突っ込む。



「バカね、これで終わりよ!」



真正面から突っ込んできた疾風を返り討ちにしようとトレイが翼を広げて攻撃しようとした。



(…今や![影撃ち])



トレイと疾風が衝突すると思われた瞬間、トレイの目の前から疾風が消える。



「えっ!?」


「キエエエエエ!」



背後を取った疾風が大きく鳴く。



([旋風])



疾風から風の刃が現れ、トレイを切りつけていく。



「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」



背後からの攻撃を食らったトレイは大きく吹き飛ばされる。それを見て疾風はゆっくりと下りて迅雷の元へ戻る。



「…ナイスや疾風、助かったで」



ダメージを受けた体を引きずりながら迅雷は疾風のそばに駆け寄り軽く叩いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ