第32話 連絡&師匠&手がかり
まさかここで知り合いの名前が出てくるとは思わなかった。迅雷さんとリリーが知り合いだなんて…ていうか師匠?
「迅雷…師匠?」
「はい!迅雷師匠とお知り合いなんですか?」
「知り合いっていうかまあ…そうだな」
知り合ったのほんと最近だけど。
「それはそれは!元気にしてるようで何よりです。でも早く私も会いたいんですけどね〜」
「ギルドカードで連絡とかはしてないの?」
ギルドマスター同士ならそういう連絡先とか持ってそうなものだけど。
「あのひとの連絡先は誰にも教えられてないで有名ですよ、風来坊を自称してるくらいですからね!」
「あれ?侑季君確か、迅雷さんと連絡取れたよね?」
ミーシャの不用意?な発言に場の空気が一瞬にして凍りついた。
いや大丈夫だミーシャ、そんなに私やっちゃった?みたいな顔をしなくてもいいぞ。
…たぶん。
「な..」
リリーが口をパクパクとさせて何かを喋ろうとしているのだが声になっていない。
「侑季君、そういえば迅雷さんから連絡はその後きましたか?」
「いや。それが音沙汰なしなんだよな。こっちから連絡してもいいんだけどさ」
でも魔道具に関する情報を見つけたらこっちから連絡するって言ってたしな。
「ちょ、ちょちょ!待ってください!なんなんですか!侑季師匠は迅雷師匠と一体どういう関係なんですか!?」
ダブルで師匠をつけて喋るな、ていうか1人いるんなら俺は師匠じゃなくていいだろ。
「なんていうか、以前ここに来た時に仲良くなった…のかな?」
「ここに来てたなんて…モラグの旦那、教えてくれたってよかったじゃないですかぁ」
リリーががっくりと肩を落としている。
言っておくが俺は悪くないぞ。これに関してはモラグが100パーセント悪い。
「かくなる上は!どうかあの風来坊のどこにいるかわからない住所不特定のあんちくしょー師匠と連絡を取らせてください!」
待て待て待て言われようが半端なくひどいことになってる。師匠って言葉では包みきれない悪意が溢れてるぞ。
「私たちも聞きたいことあるしちょうどいいんじゃないかな?」
「そうですね、まさかいたいけな少女の頼みを無下にするような鬼畜野郎ではないでしょうし」
エリル…その言い方はどうかと思うんだ、つーかちげえからな。
「仕方ないな、じゃあとりあえず連絡を取ってみるか」
「おおおお!!ありがとうございます!お3人方は天使、いや神様です!エリルの姉さま、ミーシャの姉さま、侑季師匠!このご恩は一生忘れませんぞ」
いやそんな命の恩人みたいな感謝をされても…困るんだけどな。
「とりあえずまあ、連絡取ってみるか」
ギルドカードを取り出して机の上に置いた。
えっと確か、連絡したい相手を念じながら魔力を込めれば...これでよかったはずだけど。
「うわっと」
ギルドカード全体が紫色に変わった。迅雷さんの色の称号だったし、たぶんこれであってると思うんだけど。
「...あってるよなこれで?」
初めてなので少々不安になっていると、ギルドカードから声が聞こえて来た。
『あー、侑季君。どないしたんや』
よかった通じたみたいだ。
「もしもし、迅雷さんですよね?よく俺ってわかりましたね」
『そりゃまあ、連絡取れるの君しかおらへんし』
本当に俺だけだったよ…師匠ならリリーにもあげといてください。ていうかギルドマスターがそれで大丈夫なんですか。
「いやギルドマスターがそれって大丈夫なんですか?」
『かまへんかまへん、そもそも僕は籍を置いてるだけみたいなもんやから』
「は、はぁ」
この人自由っていうか…不真面目なんじゃないだろうか?
『ほんで?そっちからかけてきたっちゅうことは何か用事かいな?』
「あーえっと、用事というか。まぁはい。1つは俺たちのですけどもう一つは俺たちのじゃないです」
『なんやよーわからん言い方やな。二つ用事があるってことやな』
「まぁ、はい。そうなりますね」
というわけで…先にこっちを片付けちゃおう。どうぞリリー。
「迅雷師匠!一体今どこにいるんですか!」
リリーが待ちきれんとばかりに話しに割り込んできて大声を出す。いやそんな出さなくても聞こえてるからたぶん
『お?…なーるほど、その声はリリーやな。ずいぶん久しぶりやないか?』
「そうですね〜っじゃないですよ!!今どこにいるんですか!早くリリーも師匠の旅に連れてってください!」
『侑季君、それにしてもえらい偶然があるもんやなー。どこで出会ったん?』
「宿屋が壊れたんで、リリーに直してもらったんです」
『なるほどな、ちゅうことは君も師匠呼ばわりしてるんとちゃうか?』
顔は見えないけど多分今この人絶対笑ってるな。絶対楽しんでるなこれ。
「師匠達!私をそっちのけで話をしないでください!」
いやそんなこと言われても…喋りかけてきたのあっちからだし。
『ほらやっぱり言われとった。大変やなーお互い』
いやお互いとか言わないでください巻き込まないでくださいほんと。
「うー!やっぱり顔は見えないけど意地汚いです、悪魔です!鬼です!」
『はは、これはえらい言われようやな』
「私が14才になったら旅に連れてってくれるって言ったのは師匠じゃないですか!」
『そりゃまあ言うたけど、誰も迎えに行くとは言うとらんし。自分で見つけれたら連れてってもいいで』
うっわ〜
いやそれは大人気ない。なにそんな屁理屈みたいなことを言ってんだ、大人だろあの人。
「これはさすがにリリーに同情しちゃうね」
「ええ、鬼ですねたしかに」
あ、女性陣がリリーの味方になったみたいだ。さぁどうなるか?
『そんな僕を悪者みたいにせんといてな』
「まぁ事実悪者だし、仕方ないんじゃないですか?」
俺もこの件に関してはリリーの味方につこう。理由?この流れではそうしないとミーシャとエリルから白い目で見られそうだし。
『そないなこと言うてもなー、幼子一人連れてとなると旅の範囲が』
「私はどこへだろうといけますよ!師匠のためならたとえマグマだろうと氷山だろうとモンスターの巣だろうとどこへでも!」
いやそれはさすがに誰も行かないんじゃないだろうか。
『わかった、今度ロンダの街にまた顔を出すさかい。そん時連れていくわ』
「いぃぃやったぁぁ!師匠!約束ですよ?逃げても追いかけ回しますからね!」
『はいはい、このことモラグに伝えといてな。近々帰るって伝言付きで』
「ラジャー!モラグのだーんなー!」
リリーは大はしゃぎしながらモラグの元へ走って言った。
「…本当に連れていく気あります?」
『…まあ考えとくわ』
うっわー、この人連れていく気ないだろ絶対。
「連れて行くって言う約束をしたのは自分なのにね」
「そうですね、無責任とはこういうことを言うのでしょう」
二人からの容赦ないボディーブローが決まった。まぁでもこれは自業自得というやつやな。
『ま、その話は置いといてや。もう一つの要件は魔道具のことでええんよな?』
「あ、はい。それですその話です」
ようやく俺たちの本題の方に話が進むことになった。
『結論から言うとな、魔道具は見つけたで』




