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圧倒的ガチャ運で異世界を成り上がる!  作者: ケンノジ


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101/114

99話

ガチャ運シリーズ3巻目が6月15日発売予定です!

各書店や通販サイト等で予約受付中ですので、この機会にぜひどうぞ!

 黒い炎を包まれた魔焔剣の構えを解いて、おれは息をつく。


 レベルの上がる音がして、久しぶりに確認すると、大幅に能力が上昇していた。


 クリスティ戦やジギー戦、さっきの一撃の経験値のおかげだろう。


―――――――――――

種族:人間

名前:風見仁太

Lv:81

HP:55000/55000

MP:900/26000

力 :4800

知力:3500

耐久:2000

素早さ:1200

運 :999999


スキル

黒焔 灰塵 真・恫喝 ホモキラー


勇者見習い ←NEW(戦闘時全ステータス上昇 戦意高揚)

ジャイアントキリング ←NEW(対象が自身より高レベルの場合、レベル差に比例して全ステータス上昇)

―――――――――――


 勇者になるって言った後に神に一撃を与えたせいか、クリスティにあったスキルをおれも覚えていた。


 ふと気づいた。


 倒したのなら、何かしらの痕が残るのに、ジルエルのいた場所には何も残っていなかった。


「おかしな剣を持っているな、貴様」


 後ろから聞こえた声に振り返る。

 斬ったはずのジルエルがそこにはいた。


 手応えは十分あったはず。

 どうやら神様ってやつは、一筋縄じゃいかないらしい。


「いいだろ、この剣」


 軽口を叩いて、剣を掲げて斬りかかる。

 あっさりかわされるが、魔焔剣を横に薙いだ。

 蜃気楼か何かのようにジルエルの姿がかすんで消える。


 クソ、鬱陶しい……。


「どうした、一般人。こちらからもゆくぞ」


 指を差された。

 は? ゆくぞって……、何それ。


「消えろ」

「――ジンタ! 避けて!!」


 リーファの金切り声におれは切羽詰まった何かを感じ、後ろに飛びのく。

 次の瞬間、手品か何かのように、おれがさっきまでいた地面が消え去っていた。

 ベコッ、と大きなクレーターが出来たようにくぼんでいる。


「……何だよ、それ――」

「気をつけて、ジンタ。わたしたち神族が持つ【創造力】のスキルよ」


 リーファのスキル欄にあったあれか。

 何にでも変えられるって能力。


 ……けど、自分の意思ひとつでスキルが発動するわけじゃないらしい。

 対象を指差して、どうするのか発声する必要があるようだ。

 それなら、そうさせないように戦うまでだ。

 魔焔剣を横に構えジルエルへ突進する。


「フン、小賢しい」


 ジルエルの背後には、十字架を模したいくつもの短剣が円になって浮いている。

 おれが接近するや否や、切っ先がこちらへむき飛んできた。


 ギン、と一本を叩き落とす。さらに、二本、三本と弾きながら前へと駆ける。

 にっとジルエルの口が笑むのが見えた。


 空気の裂ける音。

 後ろからかすかに聞こえる。


 予感と共に振りむきざまに剣を振った。

 最接近した一本を砕き、他の三、四本を回避。


 追跡機能がついていたらしい。


 神のくせに姑息な手使ってきやがる。うるさいくらい頭の中ではレベルアップの音がする。

 背をむけていたせいで、ソレに気づかなかった。


「死ね」


 冷たい声に神を振り返れば指を差されていた。

 ジギー戦で使った全方位の防御用【灰燼】で防げるのか――?


 少なくともジルエルの『指差し』は物理現象の類じゃなかった。


 まずい――。


 一瞬、死を覚悟したとき、おれの目の前にリーファが割り込んだ。


「【神域(フォース・エリア)】ッ!」


 無色透明の何かを止めようと、両手をジルエルに突き出した。

 凄まじい炸裂音と同時に大きな地震が起きる。


「大丈夫よ、ジンタ。【神域(フォース・エリア)】は物理、魔法、概念現象のすべてを防ぐ世界最高の神盾だから」


 少しだけ横顔をのぞかせて、いつものようにリーファは笑った。


「見てるだけなんて……嫌なの」

「いいのかよ?」


「神同士が下界で争えば、その世界に多大な影響が出るし、最悪滅ぶけど、それはむこうも知っている。人質とって、回りくどくわたしを従わせようとしたのはそういうことなの。滅ぶと、神サマも色々と困るのよ」


「じゃリーファは、ジルエルの抑止力になるってことか」

「そういうこと。けどこれは、ジャンケンでずっとグー同士を出し続けているようなものだから、勝つためにはパーが必要」


「パーつっても、魔焔剣の【灰燼】は効いてないみたいだし……」

「え? 効いてるわよ? HP、五分の一減ってるけど? あ。ジルエル様のステータスは見えないんだっけ」


 早く言えよ、それ。

 焦りまくった割にケロっとしてるから効果ないもんだと……。


 本当に効果がないんなら、おれが接近しようが何しようが問題ないはずだ。

 それをジルエルは嫌がった。

 二回目の攻撃のときも、きちんと回避した。

 リーファの話はマジらしい。


「魔焔剣は効果あるんだな!?」

「うん。わたしたちと出自の違う『神』が宿っているからだと思う!」


 ジルエルを倒すことに、希望が見えてきた。


「防御と回復は任せて! 回復はともかく【神域】はわたしの近くじゃないと無理だからね?」

「リーファが戦闘ではじめて頼もしく感じる……」

「余計なひと言はいいからっ」


 いつものノリでのやりとりに、おれがどこか懐かしさを感じていると、ジルエルは不機嫌そうに眉間に皺を寄せていた。


「リーファ、貴様。この世界、滅んでもいいということだな?」

「そんなことさせない! わたしは、あくまでジンタを守るだけだから」

「この後、神でいられると思うなよ」


 リーファはジルエルをまっすぐ見据えた。


「上等よっっ! あそこの事務仕事も結構限界だったしね! 有休もないし、女神同士なんかちょっとギスギスしてるし」


 ほぼ愚痴じゃねえか。

 おまえんとこの職場環境なんて知らねえよ。


「フン。だから戻りたくない、と」


「「いや、そこじゃない」」


 おれとリーファは揃って手を振る。


「それだったら、わたし、ただ職場から逃げ出したダメな子みたいじゃない」


 違うのか? と思ったけど口にはしなかった。


「……違うのか?」


 聞いちゃったよ、上司が。


 もしかすると、天界ではそういう認識だったのかもしれない。

 仕事サボって下界で遊んでいて、交信に応じない駄女神。

 客観的な情報を総合すると…………その通りだった。


「な。何よその目……何か誤解してない? ねえ? ねえってば。……違うからね?」


 おれはジルエルに魔焔剣をむける。


「というわけだ。リーファはここにいたいし、おれもリーファにいて欲しい。大人しく帰ってくれないか?」


 鼻で笑うと、ジルエルはこっちを睨んだ。


「女神が味方するとわかれば、ずいぶんと強気になるのだな」

「ここにいたいってリーファが言って、そうなるように協力してくれる。それだけで十分心強いんだ。女神の力は関係ない――」


 言い終わる前におれは駆けだした。

 ジルエルがまたおれを指差し「死ね」と命じた直後だった。

 リーファがジルエルを指差す。


「キャンセル」


 空気が張り詰め、少し息が苦しくなる。

 おれ以外の生物もそうなのかもしれない。


 神同士の力がぶつかれば、それだけこの世界に影響を及ぼすんだろう。

 ジルエルの力を相殺してくれるんなら、おれは回避することも考えなくていい。

 チ、とジルエルが舌打ちした。


「私が直に串刺しにしてやろう」


 光が手元に収束すると、そこにはさっき現れた十字架を模した剣があった。

 足下でヒョンと振り、こちらへむかってきた。


「人間風情がッ」

「なんか文句あんのかよ、神風情が――――ッ!」



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