第7話「実戦」
α能力者リューヤ・アルデベータ、初めての実戦でその能力を開花する
「二人は撃った。」
アレクシーナはそう言った。
「頭部には命中してませんね。多分防弾チョッキを着込んでいるので、すぐに起き上がると思います。」
リッターはシートの隙間から敵の様子を観察しながらそう言った。
「無駄弾か・・・・時間を稼ぐしかあるまいな。」
時間を稼げば機の異常事態は知らされる。幸いまだ離陸はしていない。時間を稼げば稼ぐほど有利になるのはこっちだ。だが、敵もその事は充分考えているはずだ。
「俺が出ます。」
リューヤは二人にたいしてそう言った。
「二人やれれば、残りは3人です。敵も無茶は出来なくなるでしょう。」
「実戦は初めてよね。やれて?」
リッターは顔を向けずそう言った。
「やらなきゃ生き延びれないでしょう。」
アレクシーナは目を細めて頷いた。
「任せる。死ぬな。」
リューヤは銃を構え、シートの後ろで立ち上がった。
「うおおおおおおお」
リューヤ立ち上がり、敵の頭部に銃弾を打ち込む。白い軌跡を避け弾丸をかわしながら・・・
「馬鹿な!」
敵の一人がそう叫んだ。その一瞬の隙にリッターの弾丸がその敵の頭部に命中する。
「化け物め・・・」
リーダー格の男は口元を歪めながら、銃を乱射した。白い軌跡が幾本も見える。リューヤはその白い軌跡の全てをかわす方向へ飛ぶ。
次はかわせないな・・・・
リューヤに注意が向いた隙に、リッターは2人の敵に弾丸を命中させた。
「くそおおおおおおおおおお!」
リーダー格の男は弾切れになった銃のカートリッジを入れ替えようとする。味方のいなくなった状況ではほぼ致命的な動きだろう。
「動かないで!」
リッターが立ち上がり銃を向けた。
リーダー格の男は一瞬動きを止めたが、再びカートリッジを入れ替える作業に入った。
リッターが腕を撃った。低い銃声と共に、男の体が反転する。
「ぐうう。」
「殺しはしないわ。いろいろと喋ってもらう事になると思うけど・・・・」
男は落ちている味方の銃を拾って、自分の頭に打ち込んだ。




