第6話「白い光 後編」
リューヤ・アルデベータ、初めての実戦に能力を使う。
飛行機が揺れたその瞬間、犯人達の目が一瞬宙に泳いだ。リッターはその隙を見逃さない。銃声が3発連続して鳴り、敵の三人が倒れた。
反撃の銃声が響く。リューヤはアレクシーナの身を守るようにして椅子の陰に隠れ、リッターも椅子を盾に応戦した。
銃撃が止み、操縦席の方から二人分の足音が聞こえた。
合流したか・・・・
「たいした腕だな、リッター大尉!」
リーダー格の男のそう言う声が響くと同時に銃声が響いた。リッター大尉の前の椅子に銃弾がめり込む。
「私が出る。」
アレクシーナは金色に光る護身用の銃を手に取りそう言った。
「そんな危険な真似はさせられません!」
リッターは当然の事を言った。警護役の二人ではなく、VIPがおとりになるなどという話は聞いた事がない。
「状況をよく把握しろ。5対3。私が戦力にならないならば、5対2だ。この状況で5対2ならば勝ち目はないぞ。」
「ですが・・・・」
「責任ある者が盾になる。自分の為に命を張る者に、命がけで応えねばよき指導者にはなれまい。ここで散る命ならば私のツキもそこまでだ・・・・・」
アレクシーナはそう言って軽く笑った。
「お言葉ですが、私達の命とあなたの命では重さが違います。あなたの肩にはクライ王国の、引いては世界の命運がかかっています。」
リューヤはアレクシーナを諌めようとした。
アレクシーナはリューヤの瞳を見詰め、フッと笑った。
「気持ちは嬉しいが・・・命に差などないのだよ・・・・・私が出る。これは命令だ。」
リッターが先に立ち上がろうとしたが、アレクシーナがその肩を押さえ制した。
「どうした?遺言でも残してるのか?」
リーダー格の男の声が響く。
「残念だが・・・・」
アレクシーナがそう言い立ち上がる。
「死ぬのはお前だ!」
アレクシーナが発砲すると同時に、アレクシーナの胸や頭に白い光の軌跡が当たった。
リューヤはバッとアレクシーナに抱きつき、彼女を引き倒す。
敵の弾丸は白い軌跡の上を正確になぞり、後ろへ通っていった・・・・。リューヤが引き倒さなければ間違いなくアレクシーナは死んでいた。
「信じていたぞ・・・・。」
アレクシーナは震えながらそう言った。
かつて、日本という国に、発射された弾丸を自在にかわすという武道の達人が実在した。それを人工的に作り出す事、それはアルファー研究所の研究課題の一つでもあった。アレクーシーナ・クライはその研究の成功例を知っている。
リューヤ・アルデベータはアルファ能力の初めての実戦投入に成功した・・・・




