番外挿入詩&第44話
全ての思いに終焉が訪れる・・・・・・感動のクライマックスへ
番外挿入詩 書かれたくない 詩の事
何もかもを失った部屋の中へ
彼は訪れた
かつての思い出を胸に
私の心は小さく弾む
白い奇跡が彼ならば
私は黒い災厄
それでも私は望む
彼が
私が
命の限り輝けるように
生きるという事
それが小さな喜びと大きな苦しみの連続だとしても
私達二人が共に生きれるように
それがかなわぬ
望みだとしても
心から
それを望む
第44話「銃声」
「やはり間に合ったか・・・・・・・」
アレクシーナはリーンに当たる直前で止まった弾丸を見ながら静かに言った。
「リューヤ!」
リーンが振返りリューヤに駆け寄った。リューヤは額を片手で押さえ、もう片方の手を何かを発するようにリーンの方に向けていた。
リューヤの力が「敵」の意識に勝った瞬間だった。リューヤの手に入れた「力」が弾丸を止めたのだ。
「リーン、近づくな!俺は、まだ・・・・・・」
リューヤが両手で額を押さえる。それと同時にリューヤの力で止められていた弾丸がポトリと床に落ちた。
リーンはリューヤの制止を無視してリューヤに近づきリューヤを抱きしめた。
「リューヤ・・・・・・リューヤ!」
リーンの両目から大粒の涙が零れ落ちる。
アレクシーナはその様子を見てホッと溜息をつき、振り返り微笑しながら玉座へ向かった。
「まだ終ってないぞお!アレクシーナああ!」
地獄から響くような声がリューヤの口から発された。アレクシーナが振り返る。リーンがリューヤとアレクシーナの間に入る。銃声・・・・・・・
リューヤの手に握られた拳銃から硝煙の臭いが発されている。間にいたリーンの胸と背中が赤く染まっていく。そしてリーンがドサッという音と共に倒れた。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
リューヤの絶叫が王宮中に鳴り響いた。
「リューヤああ!!」
アレクシーナが黄金銃をリューヤに向ける。アレクシーナの目にも涙が浮かぶ。
「ああ、うああ、ああああ」
リューヤが言葉にならない声を上げゆっくりとリーン・サンドライトの元に近づく。
「リーン・・・・・・・リーン・・・・・・」
リューヤは呟くようにそう言いながら、リーンの頬に手を添えた。
「リュ・・・・・ヤ・・・・・・・「彼」・・・・を・・・・・・私に・・・・・・・」
リーンは途切れ途切れの言葉でそう言った。リーンは死ぬ間際の自分に「敵」を引き込み、共に滅びようと考えたのだ。だが、リューヤは首を横に振り、しっかりとリーンの体を抱きしめた。
その瞬間、リューヤの体が白く輝きはじめる。強い光がリューヤを中心にドンドンと広がって行く。
(何だ?これは?)
アレクシーナはリューヤから発される白い光を見詰める。
アレクシーナの目に黒い塊がリューヤの体から飛び出し消え去っていく様子がまざまざと映った。
「うおお・・・アレクシーナ・・・・お前の思う通りにはならんぞ・・・・」
黒い塊が消える瞬間そう言うのをアレクシーナは確かに聞いた。
謁見の間を覆っていた白い光が忽然と消えた。
(幻覚・・・か?)
アレクシーナはリューヤに銃口を向けたまま、リーンを抱きしめるリューヤの姿を見詰めた。
「ア・・・アレクシーナ様・・・・・リーンが・・・・リーンが動かない・・・・・・・」
リューヤが消え入りそうな声でそう言った。
アレクシーナは唇を噛み、銃を降ろし威厳のある態度をなんとか保ちながら大声を上げた。
「誰か!誰かおらぬか!リーンを、リーン・サンドライトをただちに病院へ運べ!」
リーン・サンドライトに息が無い事は、誰の目にも明らかだった。




