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第23話「不安」

新たな展開。紫炎とは何者か?アレクシーナを襲う不安を描く第23話

「リューヤ一人で大丈夫でしょうか?」

 リッター・フォーンフィールド少佐は言った。

「どうだろうな。うまくいかねば私も終わりだ。」

 アレクシーナ・クライ王女が答えた。

「私も同行出来ればよかったのですが・・・・」

「あからさまな外国人が行けば目立つ国だ。今回の任務から考えて目立つ事は出来るだけ避けたい。それに・・・」

「それに?」

「サイジョーもサトーも信頼できる部下だ。」

 アレクシーナは窓から外を眺めながらそう言った。リッターは膝上で手を組んだまま言葉を続ける。

「「シエン」とは何者なのでしょうか?」

「恐らくβ能力者だな。」

 アレクシーナは目を細める。

「日本でも能力者の開発を行っていると?」

「それは分からんが・・・シエンは天然タイプらしい。リーン同様何者かの干渉を受けている可能性が高い。シエンは「神」と言ってるがな。」

「リーン?」

「我が国のβ能力者の特殊タイプだ。お前の知らない人物だったな。」

「は!」

「日本には八百万の神がいるらしい。」

 アレクシーナは苦笑し続けた。

「そんなに神がいるのでは何を信じていいか分からなくなりそうなものだ・・・」

「はあ、我々の宗教観とはかなり違いますね。」

「意外と我々を動かす「神」とやらは多くいるのかもしれない・・・・・」

「「神」ですか」

「お前は本心から「神」を信じているか?」

 リッターは少しまごつく。

「ハッキリとは言えませんが、信じているつもりではいます。」

「我々の思慮を大きく上回る存在は一応確認している。」

「そうなのですか?」

「そうとしか考えられない事があるのだ・・・・問題はその存在が人間にとってプラスなのかどうかなのだが・・・なんとも言えん。」

「はあ。」

「シエンについている存在が敵なのか味方なのか?そこが分かれ道になる・・・出来れば私が直接シエンと話してみたかったのだが・・・」

「届いたのは脅迫状では?」

「金を要求する訳でも、政策の転換を求める訳でもない脅しの文章を、額面通り脅迫状ととるのは馬鹿げた話しだ・・・」

「何らかの交渉のテーブルに着かせる為の方便という事ですか?」

「そうだな・・・真意は掴みきれないが・・・。意外とリューヤ自身を狙っているのかも知れん。」

「α能力者の事も知っているという事ですか?」

「可能性は否めんな。」

 アレクシーナは窓の外を眺めたまま、静かにそう言った。

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