第22話「アレクシーナの功績」
目的地へ向かうリューヤ達、日本にいるエージェント、西城と陽子と共に紫炎教への潜入を計る。その車中で語られるアレクシーナの意外な一面・・・・加速する物語・・・・・進展の第22話
「私がアレクシーナ様を裏切ってるって言うの?」
陽子は感情を激しそう言った。
「俺としてもそこは納得いかんさ・・・・俺達がアレクシーナ様を裏切る理由が無い。裏切るなら金、恋人でも出来たかってとこだが、お前がそれで裏切る様な性格じゃないのは分かってる。ただな・・・」
「何よ。」
「洗脳されたって可能性はあるぜ。」
西城は粗暴ではあるが冷静な口調で言った。
「私は洗脳されたってアレクシーナ様を裏切らないわ!」
陽子の口調は激しい。余程頭にきているのだろうか?
「それをさせるのが、マインドコントロールであり洗脳だろうが。」
西城の口調はあくまで冷静だった。
「私達がアレクシーナ様に受けた恩がそんなに軽い物なの?」
陽子は泣き出しそうな声でそう言った。演技であるとすればたいした物だ。
「お前がそうなのは知ってるさ・・・・だが他の連中だってそうだ。だが、これらの件を知ってるのは日本じゃ俺達だけだ。お前が教団に潜入している間に催眠術か何かを掛けられたって可能性は充分ありうる・・・・」
「話しの腰を折って悪いが」
リューヤ=龍也は重い口をやっと開いた。
「そのシエンって男がβ能力者である可能性はあり得る・・・・」
「超能力か・・・俺には信じれんね・・・」
「悪いが俺は拳銃の弾だってかわせる。」
「知ってるさ。だがそいつは特殊な訓練で、人の微妙な動き・・動作を無意識に読めるようになっただけじゃねーのか?」
「銃弾の弾の軌跡が白い光で見えるんだよ。兆弾だろうとね。そういう能力が存在しないと考えるなら、人間の脳は物凄い量の情報を一瞬で処理してるって事になる。」
「人間の脳は通常30%くらいしか使われてないと聞くぜ。」
「使えば体が・・・この場合脳がもたないからリミッターがかかってると考える方が普通だろ。脳がそういう処理が出来るとしても、そういう能力が存在しないと断定はできないだろ。実際俺はβ能力者の一例を見てる。」
「そうかよ。超能力者様の言う事はいちいち理にかなってらあ。」
西城は嘲笑するようにそう言った。
「だがな。こいつが裏切ってる可能性だってゼロじゃないだろうが。今回の件、詳しい話は聞かされてないが、アレクシーナ様の進退に関わるほど重要な問題と聞いてる。失敗も許されない。俺達はアレクシーナ様には借りがある。そいつを返さなきゃならねーんだ。用心するに越した事はねーだろうが。」
「借り?」
「私達は・・・」
陽子が口を開いた。
「孤児なんだよ。」
西城がそう言った。
「アレクシーナ様の母君が俺達の孤児院を通常以上の状態にしてくれた。そして充分以上の教育を受ける権利をくれたんだ。そしてそれは、アレクシーナ様が実際の権限を握られてからも変わらない。小さな頃に遊んでも頂いたよ。アレクシーナ様は今も俺達の弟分や妹分、ようは同じ孤児院の連中に、充分なものをくれてる。アレクシーナ様の肩に俺達家族の命運が全てかかってるんだよ。俺達にこれだけの事をしてくれたアレクシーナ様に俺は借りを返したい。その為に慎重になって悪いか?」
西城の語気も荒かった。
「・・・私は裏切ってないわ。」
「信じたいさ・・・だが、紫炎のやろうが超能力者・・・・β能力者やらだとしたって危険な事には変わりねーだろうが!」
西城の苛立ちはどうやらそこから来ていたらしい。それが不満として湧き上がってきていたのだ。
「俺がなんとかしてみるさ・・・・その為に俺は日本に来たんだからな・・・」
リューヤはリーン・サンドライトの事を思い出した。孤児を助けているのは自国の事だけではなかったのだ。リューヤはアレクシーナの言葉を思い出し、少しだけ安心した。




