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第21話「郷土の土」

日本へ上陸したリューヤ。待ち受けるのは何?言葉の端に出る謎の教団。リューヤとアレクシーナの運命はいかに!旋風の第21話

成田空港で飛行機を降り、リューヤは出迎えの車を見つけた。「シルバーのスカイライン」ということ、そしてナンバープレートのナンバーが伝えられていたので、意外と早く車を見つけた。

 車の窓をノックする。窓が開いて筋肉質の男が顔を出した。

「なんだ?」

「ライターを貸してくれないか?」

「タバコかい?」

「いや、風向きを知りたくてね・・」

「乗りな。」

 用意された合言葉だった。リューヤは、元々両親が日本人だった事やα研究所で学んだおかげで、日本語は堪能だった。

 リューヤが後部座席に乗り込むと車はエンジン音をたてて発進した。

 運転席には筋肉質の男、助手席には背の高いほっそりとした若い女が座っていた。

「話は聞いている。進藤 龍也・・・・いやリューヤ・アルデベータの方がいいか?」

 男の振る舞いはどこか暴力臭を匂わせる。恐らく暴力の専門家だ。

「進藤 龍也でいい。」

「俺の名前は聞いてるかい?」

「西城 真治だろ?」

「そうだ。連れを紹介しとくぜ。佐藤 陽子。現在「紫炎教」に潜入している。これからのあんたの相方だ。」

「陽子でいいわ。よろしく。」

 佐藤 陽子と呼ばれた女は少しリューヤの方を向いて会釈した。シートベルトが窮屈そうだ。大き目の目がリーン・サンドライトを少し思出ださせた。

「よろしく。」

「あんたも日本人だそうだが、久々の故郷の土はどうだ?」

 西城が言った。

「大きな都市の側はどこだって排ガス臭いさ。それを差し引きゃ悪くはないね。」

 リューヤは強がるように言った。この西城という男には何故か反発心が生まれる。

「そうか、これからもっと排ガス臭い所にいって、そっから森の奥に向かって貰う。」

「トーキョーにそんな森があるのか?」

「いや、先方はもうアレクシーナ様の動きを知ってるのさ。あんたが飛行機に乗ってる間に既に一悶着あったって訳だ。」

「どういう事だ?」

 リューヤは訝しげに聞いた。西城は答えず、代わって佐藤 陽子が答えた。

「教祖 紫炎はあなたの事も知っていたわ。当然私がスパイだという事もね・・・・」

「たいした情報網だよ。」

 西城は不満気にそう言った。

「どういう事だ?」

「紫炎は神のお告げで知ったと言ってるわ・・・・今回の事を考えると本当かも知れないと思うわ・・・」

「β能力者?」

「そう言うの?日本では先見とか遠心通とかいうのだけれどね。私は最近まで偽者だと思っていたわ。」

「おいおい、超能力なんてもんが本気であるって考えてるのか?お笑い草だぜ・・・」

 西城は笑って言った。

「そうね。特殊な情報網があるだけだと信じたいわ。」

「裏切り者がいるんじゃねーのか?単に。」

「私を疑っているの?」

「それしかありえねーからな。」

 リューヤは二人の喧騒を静かに聞き入った。 

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