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ルート2 転生先で、主人公(元親友)に婚約されそうになる。



 レオンことタクミは、庭園の片隅の生垣の陰で息を潜めていた。

何故なら、ガーデンパーティーの主役、皇太子と彼を囲む攻略対象者たちがあの後タクミの元へやってきて、キラキラとした笑顔で口説き始めたからだ。これが主人公補正…と感激していたが巻き込まれるのは勘弁なので、俺はスッとその場から逃げ出した。

そして俺がいないことに気付いたタクミは、攻略対象者から脱皮の如く逃げ出して、俺の後ろに隠れている。


「なあ、アキト。あいつら、なんか……俺のこと好きすぎん?」

「え?……さあ?タクミが目立つせいやろ。主人公補正ってやつやな。」


俺はぶっきらぼうに答える。


(あー……黒髪の美形(攻略対象A)、こっち来とるやん……)


「レオン、よろしければお花でも摘みに行きませんか?」

「い、いえ。遠慮シマス。」

「……そうですか。」


そう言い残し、黒髪美形は名残惜しげに去っていった。タクミはすかさずアキトの肩をぽふぽふ叩く。


「な、な?アキト、やっぱ俺たち一緒が一番やろ?BLやろ?運命共同体ってやつやろ?」

「……お前、ほんまにそっち行くんやな。」

「ん? あぁ、うん、そっちやけど?なんなら走ってる最中やけど?」

「お、おう……」


(なんでこんなにグイグイ来んねやろ……てか、俺はBLはちょっと……いや、だいぶ、ないな……)


俺の中では、相変わらず恋愛対象外判定。しかし、タクミは諦めない。


「アキト、これからもずっと一緒にいような?」

「え?何で?」

「なんでって言うなや!俺といたら、早よこのストーリーから解放されるかもしれんやん!」

「…そうか?」

「そやそや!思い立ったが吉日、早速親説得して婚約しよう。」

「急すぎるやろ?!つか、男同士は婚姻無理やろ?」

「アキト。ここはBLの物語の中や。それを忘れたらあかんで。」


タクミはアキトの顔をじっと見つめたあと、にっこり笑って言った。


「じゃ、決まりな?この世界でも、俺の隣はアキトや。」

「……決まってへんわ。」

「いやいや、もうフラグ立ったし。攻略対象外で無自覚な悪役令息が、主人公に落とされるやつ。」

「は?誰が落ちるか。俺はお前の親友やぞ、昔から!」

「はいはい、そのセリフもフラグね。あとで回想シーンになるやつや。」

「うっざ……」


アキトはため息をつきながらも、どこか懐かしいこの掛け合いに――ほんの少しだけ、心が和らいでいた。


「とりあえず俺は、アキトしか見てへんから。そこんとこ、よろしく。」

「……勝手にしろ。」


タクミの方が一歩前を歩いていく。

その背中を見て、アキトは思う。


(こいつ……ほんま、面倒くさいやつやわ。)


でも。


(――ちょっとだけ、放っとかれへんのが、また厄介や。)


アキトの心は、まだ恋と呼ぶには遠かった。けれど確かに、何かが静かに動き始めていた。




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