ルート3 転生先で、主人公(元親友)にセクハラされてます。
「勝手にしろ」って俺は言った。言ったけどな?
ガーデンパーティー後、……まさか、本当に婚約者にされるとは思ってなかった。
前世から、タクミが“ハマったら一直線”な性格なのは知ってる。でもなあ。転生してきたとはいえ、俺たち、まだ十歳やぞ?早まったらアカンって、何回言うたと思てんねん。しかも俺が止めれば止めるほど、「婚約者なんやから」って――やたら触ってくる。
そして今日も、例によって――
「アキトぉぉぉぉぉ……!」
ばふっ!
「またかよ!」
王立学園寮の自室のベッドで本を読んでいたら、タクミが急にやって来て、俺の胸に顔を押し付けてきたかと思えば、そのまま体重をかけてハグモード突入。両腕は腰に回って、ぎゅぅぅぅっとしがみついてくる。
ちなみに本人いわく、これは“浄化タイム”。
「無理やって、あんなん……。婚約者いるって言うてるのに、しつこく言い寄ってくるし。それに、俺に向けてたあの目!」
「あの目?」
「絶対、攻略ルートで使ってくる目やった!!」
「知らんがな……」
「アキトぉ……やっぱここが一番落ち着くぅ……」
ぐにゃりと俺に体を預け、タクミは小さくぽそぽそと喋りはじめる。背中をぽんぽんされて、少しずつ静かになっていくのも、いつものパターンや。
「まったく……お前は。」
俺が拒まないのをいいことに、タクミの手がするりと下がり――腰から、尻へ。
ぴくり、と肩が跳ねる。
(おいおいおい……!)
「……こら。手ぇ動いてんぞ。」
「え、動いてない。これ、婚約者特権やし。」
「どこの国の法律やねん……!」
「アキトの国♡(にっこり)」
「……アホか。」
そう言いつつも、俺はタクミを振りほどかなかった。──いや、正確には振りほどけなかった。
ぐっと力を込めれば離せる。けど、あまりに落ち着いた表情で俺にくっついているタクミを前にして、その気が失せたのだ。
(あぁもう……俺、ちょろいんかな……)
ほんの少しだけ、背中を撫で返した。タクミはぴくりと反応したあと、満面の笑みで顔を上げ──
「好き♡」
「──それ言うなって言うてるやろ!!」
「言ってへん。否定もしてへん♡」
「くっそぉ……!」
タクミの掌は、またじわじわと下半身に向かって伸びてくる。
(──次の攻略対象にフラグ立てられるより、こっちのがまだマシなんか……?)
そう思った時点で、もう俺の負けなんやろな。でも──
「お触りは、いただけへんからな。」
ぽかっと軽く頭をはたいた。




