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魔王になったら何をする?  作者: 蒼穹月


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21/27

ケースT ~先生の場合~

 Tが魔王に転生した!


 「あーあぶばー(おやまあ、なんという事でしょう)」


 Tは産まれた瞬間に状況を把握した!


 「あーあだだあー(私が魔王ですか。まるで映画の主役ですね。)

 あぶぶばだー(それはまあ良いとして、どうやら地球では無い様ですが、この星の文明人のなんと識字率の低さ!道徳すら無いなんて!こうしてはいられません!王となったからにはより良い文明の発達の為に尽力しなければ!)」


 Tは紅葉の手を握り締めて決意した!

 それよりナレーションは突っ込みたい!

 まず魔王は良い事にして良い事じゃ無いと思う!

 魔王は王だけど尽力する内容がなんか違うと思う!

 それより何より!言ってる言葉の長さと内容の長さが余りに違うんだけど良いのか!?


 「あだぶー(何を細かい事を気にしているのですか。王に貴賤はないですし、伝わるならそれで良いでは無いですか)」


 Tは真顔で講説した。

 乳幼児の真顔怖い。魔王フェイスが怖さの後押ししてる。


 「あーあーうー(しかし先ずは私自身自活出来るようにならねばいけませんね)

 うー?おーあー(おや?丁度良いところにいる青年、私を育てて下さい)」


 Tはたまたま近くにいた勇者に子育てを頼み込んだ。


 「え?は?何?魔王もが倒したら出て来た新しい魔王が寝言ほざいてんだけど」


 勇者はしかめ面でTを足で突いた。


 「あだー!(こらーー!!何をするのですか!こんなに小さな赤子に対して足蹴にするなど!どういう育てられ方をしたのですか!小さい頃お父さんお母さんに教わりませんでしたか!?人に優しくしましょうと!小さな子やお年寄りには親切に手を貸しましょうと!)」


 Tは僅か三文字の間に道徳を説いた!


 「うが!?」


 Tさんの道徳攻撃は魔力波となって勇者の常識に直接攻撃が当たった!


 「な!?何だ!?魔王なのに!赤ん坊に言われただけで胸が痛む!?」

 「何言ってんの勇者?赤ん坊は喋らないわ」


 胸を押さえてもがき苦しむ勇者を冷たい目で見下す女戦士!ぺっと唾まで吐いた!


 「はあ!?お前こそ何言ってんの!?さっきから滅茶苦茶喋ってんじゃねーか!」

 「あらまあ、赤ちゃんだものー。あぶぶーしか喋れないわよー」


 Tをズビシと指差し凄い剣幕で捲したてる勇者!

 しかし聖女に正論で諭される!聖女はTを抱き上げてヨシヨシとあやしている!


 「あう!?(うら若き女性が男を抱き寄せるものではありませんよ!?今すぐ離しなさい!?)


 Tは乙女の腕の中で逃れようともがいている!


 「あだだー(何だ勇者にしか言いたい事が伝わらないのか)」

 「え?そーいう事?」


 Tは暴れれば暴れる程強まる腕に諦めて脱力した!

 勇者は自分にしか言葉がわからない事に気付いた!


 「あーそういう。あれか。父性本能でも芽生えたか」

 「違う!?」


 男武闘家が頭上で電球をピコンと光らせてポンと手を叩き、勇者の背中を力強くバンバン叩いた!

 勇者はあまりの強さに前のめりになりつつ全力で否定した!


 「あら~、でもこんなに小さな赤ちゃんだもの~、きっと育ての親は必要よ~?」

 「確かにそうね。

 ちょっと勇者!あんたがこの子の親倒しちゃったんだから責任持ちなさいよね!」

 「ええい!?みんな騙されるな!

 こいつは魔王だぞ!」

 「はっはっは。何を言うのだ勇者よ。

 親の魔王は倒したが、その赤ん坊には罪はあるまい!何せ一人で立てない位チミっこいからな!

 わーはっはっは!」


 勇者パーティは勇者に辛辣で、子供に優しい仕様だった!

 流石正義のヒーローズ!勇者を除き!


 「あーあー。(これは、この子は一から道徳を教えないといけない様ですね。やれやれ、これではどちらが保護者かわからんが、まあ仕方ありません。私も保護して貰えねばならない身、一教育者としては情けない限りですが少しの辛抱です)」

 「誰も面倒見るって言ってねーーーー!!!」

 「「「は?」」」


 勇者を保護者として認定したT!

 それを大地を震わす勢いで否定する勇者!

 それを軽蔑と侮蔑の表情で見下す勇者の仲間達!


 ここに、


 勇者を始めとする種族を問わない全ての知的生命体を地球規模に再教育したい、前世で先生だったTと。


 魔王は何が何でも兎に角倒したい勇者と。


 子煩悩を炸裂させた勇者の仲間達。


 そんな彼等の子育て&教育奮闘記が幕を開けた!




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