◆『妄想図鑑』◆No.03:非常用侵入グチ(ヒジョウヨウ・グチ)
俺の脳内は色の名前を持たない闇だった。視界が白熱し、無数のコードと記号が虚空に浮かぶ。
まるで古代文明のプログラムが再起動するかのように、図鑑の文字は変換され、俺の脳に直接意味を刻み込む。
重力も時間もあいまいになり、ただひとつの真実だけが突きつけられる――。
「これは妄想じゃない。だが現実なのか?」
■図鑑No.03:非常用侵入グチ(ヒジョウヨウ・グチ)
■ 分類名
グチ:精神干渉系魔族妖精
非常用侵入:神経干渉型現像守護機械体
■ 通称
グチ:「妄想図鑑の裏ボス」。
非常用侵入:「試練の門番」。
「視線税を徴収する者」、「心拍の境界線に現る、妄想の守護者」などと、呼ばれることもある。
■ 二つ名:「エマージェンシー・ゲート」
■ 発動条件
『江戸っ子鼓動』の興奮度急上昇時(鼓動レベル3以上)。
特定条件下の”死線”暴走 or 意識の逸脱(通称:妄想過熱状態)。
甘い香り、あるいは過去の「ときめきの記憶」が刺激されたとき。
■ 外見特徴
非常用侵入:分厚い装甲は錆びた朱で、まるでレンズのような無機質な風貌の円いハッチは半ば開いたまま固まり、内側は闇に落ちている。枠の縁は歪み、パネルの一部は外れて垂れている。その機体は10mを越すこともある。ただしこれはゴクトーの精神状態に左右される。
機体は動かない。警報も、油圧の音もない。
ただ――彼女を支えていた。
グチ:操縦者は黒網ガーターに包まれる脚線美を誇る、異様に艶やかな美貌の持ち主。コックピットに座る彼女は普段その姿を滅多に見せない。
背中には細く鋭い装飾的な「封印黒羽根」が展開(妄想防衛装置)。
魔眼のように光る赤い双眸は、見る者の「羞恥と好奇心」を同時に刺激し、その身から漂う香気は「記憶の残り香」であり、ゴクトーの過去体験とリンクする。
■ 内面/キャラクター性
非常用侵入:寡黙。言葉は「グギャ」のみ発する。
グチ:その所作すべてが「誘い」と「威圧」を併せ持つ。
ゴクトーの深層心理が「見てはならぬ」と封印しつつ、「見たい」と願った存在。決して害意はないが、「通過」には「視線税」と「妄想負荷」が課される。
状況次第で「敵にも味方」にもなる。妄想体か魔族の拷問官か――本人の気分次第らしい。
■ 出現時の決めゼリフ。
「……このライン、通りたいなら「通行証」を見せてごらんなさい、坊や♥」
「足が速いわね。……鼓動、可愛いわ♥」
■ 神代魔法との関連
関連呪式【妄想転送陣】
妄想過熱時に強制発動される空間転移魔法。
使用者を妄想試練空間に飛ばし、精神負荷を測定する。
■発動副作用
現実空間の空気が「揺れ」を持つ(視覚的歪み)。
神代魔法の詠唱時に”彼女”が視界の端に現れることもある。
■ 戦闘/作用
幻術防壁を張り、敵の視線と攻撃を無力化する。
(ただし自他共に錯乱する)
一定時間、妄想空間内の行動を制限し、
「死線回避ゲーム」を強制スタート。
ゴクトーが冷静さを失うと、彼女の存在が「具現化」する。
神代魔法とゴクトーの魔力の暴走時。
■ 備考
赤絹シタギの出現を「阻む者」でもあり、出現条件が競合することも。
ゴクトーの精神空間にある「封印階層」の一部を守る番人的役割を担う。
出現率は低く、接触イベントの発生率は極端に少ない。
(ただしインパクトは大)
■ 図鑑メモ
「あの「脚線」を見た瞬間、世界の色が変わった。
……通さぬ門が、逆に誘ってくるなんて、卑怯すぎだろ……」
――ゴクトー、妄想陥落直前の独白より。
このグリモアールはただの図鑑ではなく、妄想と魔力の結晶だ。
図鑑を閉じたのに、どこかで「彼女」がまだ微笑んでいるような気がした――。
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