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正しい冒険者との付き合い方2

 盗賊風のお姉さんが俺の事を誘ってる。

 

「お兄さん暇でしょ? 私の彼氏になって一緒に遊んでくれないかな?」

 

 キター!

 大人のお誘いがキター!

 危険な夜の遊びのお誘いが来たー!

 答えなんて決まってる!

 即答だ!

 

「いいですよ」

「じゃあ、明日ね」

 

 えっ?

 明日?

 なんで明日なのかよく解らないんだが?

 これから宿に行って、組んず解れずの大人のプロレスごっこでもして遊ぶんじゃ無いの?

 これはなんだ。

 俺の聞き違い。

 きっと今から行くんだよ。

 するとお姉さんは立ち上がると店の奥に向かって大きく手を振った。

 

「やったー! みんないいって!」

 

 店の奥からゾロゾロと現れる男と女。

 腰に武器をぶら下げててどう見ても堅気(かたぎ)じゃない。

 えっ? 何が起こるの?

 俺ボコられるの?

 五人位の男女に取り囲まれた。

 これはヤバいと思って身構えたけど、みんなニコニコしてる。

 その中の好青年ぽいのが挨拶をして来た。

 

「討伐依頼に一緒に参加してくれる事になってくださいまして、ありがとうございます」

「えっ? 討伐依頼? なんこと? 何の事だかさっぱり解らないんですけど?」

「明日、冥洞窟のアイアンゴーレムの討伐依頼に同行してくれる事になったんですよね?」

「そんなの初耳ですけど?」

「えっ? おい、ニケ! 話が違うじゃ無いか!」

「てへへへ。あたしの彼氏になってくれるのを受けてくれたから嬉しくて、討伐依頼の事を話すの忘れてた」

「おーーい!」

 

 青年がお姉さんの頭をポカリと軽く叩くと舌を出した。

 可愛いな、おい。

 青年は改まった感じで俺に詫びる。


「すいません、なんか手違いが有ったみたいで妹がご迷惑をお掛けしました」

「いえいえ」

「『青春騎士団』団長をやってるアレスです。もう青春ていう歳じゃ無くなってしまいましたけどね、ははは。改まってお願いなのですが、明日、冥洞窟というダンジョンにアイアンゴーレムの討伐依頼をしに行くのですが、タカオカ様でしたっけ?」

「タナオカです」

「失礼しました。タナオカ様は非常に大きなアイテムボックスを持っているとの噂を聞いています。そこで討伐依頼に同行して討伐対象のアイアンゴーレムの運搬をして貰えないでしょうか? アイアンゴーレムは重いので普通だと運搬が大変なので一匹しか狩れません。そこでタカオカ様にアイアンゴーレムの運搬をして欲しいのです。もちろん報酬は人数割りでは無くてタナオカ様一、我々全員で一の均等配分で構いません。受けて貰えないでしょうか?」

 

 一対一の報酬か。

 向こうは六人である事を考えると罠が有るんじゃないかと思うほどうまい話だ。

 もしこれで罠じゃ無ければこの人はいい人過ぎるだろ。

 明日は暇だから受けても何の問題もないし、罠に掛けられたらこいつらをアイテムボックスの中に収納してしまえばいいだけの話だ。

 それなら受けない理由は無い。

 それに騙されてる気もしない。

 この兄ちゃん目は凄く綺麗だからな。

 悪い事を考えてるようには思えない。

 俺は二つ返事をした。

 

「もちろんいいですよ。よろしくお願いします」

「ありがとうございます! それでは明日、よろしくお願いします!」

「じゃあ、明日の討伐依頼の成功を祈って俺のおごりで前祝といきましょう!」


 なんだか期待してたムフフ展開にはならなかったけど、この人達はいい人っぽいし初めての冒険らしい冒険という事で俺の期待度はMAXだ!

 

 *

 

 日が明けて討伐依頼同行の当日。

 昨日のどんちゃん騒ぎで寝不足で頭が痛い。

 馬車乗り場からメンバーと一緒にダンジョン前まで馬車で移動。

 馬車で二時間の旅路だ。

 多分距離的には二十キロは無くて十キロちょっとの距離だろう。

 移動中、昨日の盗賊の女の子が俺にベッタリと寄り添ってた。

 ダンジョンの入り口に着くと、俺とリーダーのアレスさん達とは別行動になった。

 

「ダンジョンの中はモンスターで溢れ返ってて危ないから、入り口の外で待っていて下さい。狩り終わったら遣いの者を寄こしますので、ゴーレムの回収をお願いします」

「解りました」

「あと、一人では危ないと思うので妹のニケを護衛に付けておきますね」

 

 この辺りは冒険者が常に出入りしてるせいかモンスターの姿をほとんど見る事が無く、安全が確保されている。

 それなのに護衛を付けると言うのは、俺に好意を持っているニケさんと俺を二人っきりにするという小粋な演出だったらしい。

 俺は盗賊の少女のニケさんと楽しくデートをしながら待つことにした。

 

「タナオカさんは異世界から来たって本当なんですか?」

「本当さ」

「向こうでも冒険者をしてたんですよね?」

「向こうの世界では学生をしてたんだ。第一、向こうには魔物なんて居ないから冒険者なんて職業は無いんだ」

「すごーい! 平和な国だったんですね」

「おう、平和と言えば平和な国だったな」

 

 俺達は際限なく話を続ける。

 ニケさんは話を引き出すのが上手で普段は二~三分も話せば話題の尽きるコミュ障な俺だったが延々と話し続けることが出来た。

 ニケさんと話してると凄く楽しくて、半日も一緒に居るとこの子とずっと一緒に居れたらなーと思うようになっていた。

 俺もニケさんの事を色々と聞いた。

 元々ニケさん達は辺境の村に住んでいたらしい。

 その村にハイオークの軍勢が村に攻めて来て村は全滅。

 親を亡くした子供達で騎士団を結成し、ハイオークへの復讐を誓いエストの街で冒険者稼業を始めたのが十年前。

 それからずっと冒険者を続けてるとの事だった。


 日没近くになってもアレスさん達は戻ってこなかった。

 帰りの為に待たせていた馬車も既に戻ってしまっていた。

 さすがにおかしいな?

 戻るのが遅すぎる。


「お兄さん達、遅いなあ」

「迎えに行くか?」

「二人だけで? 危なくないかな?」

「俺が居るから大丈夫さ」

 

 ランタンを持ったニケさんの先導でダンジョンを進む。

 道中は何の問題も無かった。

 正確に言うと、敵が現れたその瞬間にアイテムボックスに収納しまくったからな。

 戦いにならなかった。

 

「すごーい! タナオカ君すごーい!」

「すごいだろ?」

「もっともっと惚れちゃいそう!」

 

 アレスさんはダンジョンの四層までしらみ潰しに探して何処にもいなかった。

 どう考えてもこれより下の階層に向かったとしか思えない。


「おかしいな。何処にも居ないよ?」

「もっと下に行ったんじゃないか?」

「五層から急に敵が強くなるから、ここより下は兄さん達には無理だと思う」

「でも、ここ迄で居ないって事は、この先しか無いんだろ?」

「たぶん」

「じゃあ行くしかない。行こう!」

「危ないから止めようよ。タナオカ君怪我するよ? いったん戻ってから、誰か呼んで来てから潜ろうよ」

「それじゃ何か有ったら間に合わなくなるぞ。ニケさんはお兄さんを見殺しにするのかよ?」

「わかったよ。でも、無理そうだったらすぐに戻ろうね」

 

 五層の袋小路でアレスさん達を見つけた。

 敵に襲われて皆大怪我を負っている。

 すごい巨大な金属の塊で人型を模した敵だった。

 身の丈三メートルは有るかと思われる金属の塊の魔物だ。

 それをアレスさん一人が怪我した仲間を庇いながら耐え抜いていた。

 

「これがアイアンゴーレムなのか?」

「これはアイアンゴーレムよりもずっと強いヘビーメタルゴーレムだわ! 普段は十五層ぐらいに居るはずなのに、なんでこんな強い敵が五層に居るの?」

 

 細かい事を考えてる暇はない。

 俺は渾身の力を込めてヘビーメタルゴーレムを取り込んだ!

 

「消え失せて()()()!」

 

 突如、俺の身体に伸し掛かる超重量!

 重金属の重さが俺の身体を潰しにかかった。

 このまま取り込むのはヤバい!

 足や背骨が砕けそうだ!

 だが、止める訳にもいかない。

 人の命が掛かってるんだからな!

 俺は渾身の力を込めて奴を取り込む!

 

「どうりゃあああああああ!」

 

 そしてフッと消える重圧。

 俺はヘビーメタルゴーレムを取り込んだ。

 突然敵の姿が消え、キョトンとするアレス。

 

「助けてくれたのか。ありがとう」

「なんでこんな危ないとこに来るんだよ!」

「アイアンゴーレムが居なかったから五層のスチールゴーレムを狩りに来たんだけど、いきなりレアモンスターのヘビーメタルゴーレムに絡まれたんだ。それよりもこいつらを早く回復しないと!」


 アレスが治療の回復呪文を掛けるが全然効かない。

 

「俺の回復呪文じゃ効きもしない! でも聖女のセレネが大怪我を負ってるし! 動かせる状態じゃない! でも助けを呼んでくるまで持ちそうもないし!」

「回復する奴が居れば助かるんだな?」

「街の教会の僧侶が居ればどうにかなる!」

「それなら!」

 

 俺は怪我人をアイテムボックスに収納した。

 目の前から仲間が消えて動揺しまくるアレスさん。

 

「も、もしかして殺したのか!?」

「大丈夫。生きているから安心してくれ。アイテムボックスに収納した。中では時間が停まるらしいからもう安心だ」

 

 俺達は街に戻り、教会でアイテムボックスから怪我人を取り出す。

 教会の僧侶の回復呪文で治療が行われ一命をとり止めた。

 

「ありがとう! 君は俺達の恩人だ!」

「タナオカ君すごい! 私、みんなの命の恩人のタナオカ君のお嫁さんになるって決めたよ!」

 

 俺の素晴らしい能力を知ったニケさんに思いっきり懐かれてしまった。

すいません、テンプレなのでムフフ展開は有りませんでした。

嘘ついてごめんなさい。

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