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街でのくつろぎタイム01 噂の名物

 一瞬にして巨万の富を手に入れた俺達。

 残りの鍵は二つ。

 砂漠の鍵が簡単に手に入った事だし、他の二カ所も簡単に手に入る事だろう。

 

「まだまだ赤ちゃんが産まれるまで時間があるから焦る事は無いわね」

 

 アウ王女のその言葉に推され小休止する事にした。

 金もある事だし思いっきり贅沢して休憩をする事にしよう。

 美味い物でも食おう。

 

 そう思ってやって来た、フィルド国の首都ランド。

 もちろん魔王城封印の鍵を守るスライムが住む砦の有る国でも有る。

 この国は魔王軍の幹部の砦が有る割にはとてものどかだった。

 至る所に羊や牛が放たれた牧歌的な風景。

 国のほぼ半分がそんな感じの牧場で、残り半分が森だ。

 一言で言えばど田舎だ。

 とてものどかで心が癒される。

 そんな風景の国。

 でも首都はそんなのどかな風景と違い、いかにもファンタジーって感じで洗練されたヨーロッパの綺麗な都市の街並みと言った感じ。

 活気ある市場に行くと、アウ王女一押しの屋台が有った。

 

「あれ食べたい!」

「おう、好きなだけ食え! 金はタンマリ有るからな」

「マッカラの屋台よ。子供の頃からずっと食べてみたかったのよ」

「マッカラってどんな料理なんだ?」

「肉料理らしくてね、噛むと肉汁が飛び出してくるのよ」

「それはウマそうだな」

「それだけじゃないのよ。その肉にハーブが加えられているから肉と肉汁にとても爽やかな風味が有るそうなのよ。子供の頃にこの国の王子に話を聞いてからずっと食べたかったんだ」

「俺もアウの話を聞いてたら食べたくなってきたぞ」

「食べましょ!」

「おう!」

 

 アウ王女は屋台に飛び込む。

 

「おっちゃん! マッカラ十個お願い!」

「十本ですか? はいよ! まいどー!」

 

 アウ王女は皿に載せられたマッカラを見てガッカリしていた。

 

「これがマッカラなのね」

「そうらしいな。俺、この食べ物に物凄く既視感が有るんだけど?」

「奇遇ね。私もあんたと一緒で見た事有るわ」

「これウインナーだよな?」

「わたしもそう思う。私達同じ事考えるなんて似たもの夫婦ね」

「いやいやいや。そこらへん歩いてるおっさんを捕まえても同じ事言うと思うぞ」

「こんな物に十年も想い焦がれていたの? なんかガッカリだわ」

「でも、見た目はウィンナーだけと食べたら美味しいかもよ。食ってみよ!」

「うん!」

 

 ガブリッ!

 ポキッ!

 ハムハム!

 ぷはー!

 

「あれだな。ウィンナーだな」

「ウィンナーね」

「うまい事はウマいけど、話の中のマッカラの方が遥かに美味かったな」

「それ私も思った。似たもの夫婦ね」

 

 ガッカリな名物だった。

 「精神的に疲れた」と言うアウ王女をホテルのスイートルームに残し、俺はアリの処分に向かう。

 アリの死体は素材として買い取ってくれるらしいからな。

 俺のアイテムボックスの中には軽く一万匹のアリさんが入ってる。

 さすがに邪魔だ。

 捨ててもいいが売れるなら売った方がいい。

 とりあえず相場を見極める為にも十匹ほど売る事にしよう。

 俺は状態のいい十匹を一纏めにして取り出しやすいとこに収納して冒険者ギルドへと向かった。

 

 *

 

 冒険者ギルドはエストの街のギルドよりもずっと大きく、ずっと綺麗だった。

 中には複数のカウンターが並んでいて、行列の一番短いカウンターに並ぶ。

 二十分ほど並んで俺の順番が回って来た。

 

「素材の買取をして欲しいんですが」

「買い取りですね。分りました。では買取の前に身分証明書となるギルド証の提出をお願いします」


 俺のギルドカードを手にしたお姉さんは顔を引きつらせていた。

 

「あのー、捜索依頼が出てますが? 一つはアレスさんと言う方からの個人的な依頼で、もう一つはファーレシア王国の神殿からの指名手配ですね。あなた一体何をしたんです?」

「なんにもしてないよ。なんにもしてない」

「でも、二件の捜索依頼が出されてるんですが?」

「一件は家出みたいなもので、もう一件はえん罪と言うか単純なミスですね」

 

 さすがに神官や騎士団から暗殺のターゲットになってるとは言えない。

 

「ならいいんですが。とりあえずこのギルドカードを発行したエストの街の冒険者ギルドに照会しますから、二週間ほど冒険者ギルドの資格は停止されるので依頼を受ける事は出来ません。このギルドカードもこちらで預かる事になります。よろしいですね」

「はい」

 

 なんか面倒な事になったな。

 まあ、逆に考えるとあれだ。

 エストの街に連絡が入って戻ってくるまでは俺は自由の身だ。

 それまでは捕まる事は無い。

 のんびりとこの街を堪能する事にしよう。

 

「あと、この街から逃亡すると犯罪者となり、討伐対象として指名手配されるのでけっしてこの街から離れる事の無いようにご注意ください」

 

 まじか?

 それじゃスライム退治に出掛けられないじゃないか!

 すげー面倒くさい事になってしまったんだけど!

 どうする、俺?

 いつも読んでくれてありがとうごさいます。

 今回も短くてすいません。

 集団転移の書籍化作業で忙しくて書けませんでした。

 たぶん今週半ばまでこんな感じです。

 遅筆なので帰宅して二時間で書ける他の作者さんが羨ましい。

 

 *

 

 元ネタの『クラスごと集団転移』もよろしくお願いします。

 

(連載中)

クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。

http://ncode.syosetu.com/n7017dt/

水土更新予定

※書籍化作業中です


正しいスキルの使い方 。~商人の俺がアイテムボックスで魔王討伐!~

http://ncode.syosetu.com/n7297ec/

平日(月火木金)更新予定

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